ヴー
ヴー
「…おい、スマホ鳴ってんぞ。」
「ん〜、大丈夫ー。」
ヴー
ヴーッ
授業をサボって昼寝していると、私のスマホが鳴る。
電話だろうか。
「授業時間にかけてくる奴なんか切っちまえよ。」
「いや、多分これは、」
ヴヴ
ヴヴ
「え、何。今度はメール?」
「いや、LINE。」
そう言ってだるそうにスマホに手を伸ばし相手を確認する。
「…やっぱり。二宮さんだわ。」
「…え、二宮さん!?何で!?理解が追いつかない!」
「さっき登校中に出会して、面倒いから説明しなかったんだよ。…てか、当真のテンションに私の理解が追いつかない。」
ええ〜!なんて言う当真を他所に適当にLINEを返す。
横で当真がうるさいので、眠気がどっかに飛んでった。
「いや、二宮さんの話はいい。あんま聞きたくない。それより、その眼帯。どした?中二病卒業出来てなかったのか?」
本当に心配そうに当真が聞いてくるもんだからイラつく。
「中二病じゃないわ!昨日、たまたま暴力男に当たっちゃって、顔とか殴られたんだけど、」
「マジかよ…病院行ったか?」
「いや、目は殴られてない。これは、」
「なに、」
あまりにも真剣な眼差しで聞いてくるので、答えるのが戸惑われる。
「これは、」
「うん。」
「…笑わないでよ?」
「笑わねえよ。」
「…相手の、精液入った。」
「………っははは、何だそれ!」
「っ、笑わないって言ったのに!」
案の定当真は大爆笑。
だから言いたくなかったんだ。
ため息をつきつつ、まだ目がゴロゴロして痛む。
眼帯に手を添えていると、それに気づいたのか、当真の笑い声が止んだ。
「てか、それこそ病院行かなくていいのかよ?」
「…行った方がいいんだろうけど、行きたくないわー。」
「は?何で?痛くねーの?」
「…物凄い痛い。でも、説明したくない。」
またしても当真は大爆笑し始めた。
そんなに笑ってると、先生に見つかるからやめて欲しい。
「っひ、はは、ふぅー。俺がついてってやろうか?」
笑いすぎて出た涙を拭って当真がそう言った。
「…ありがと。でも、二宮さんが連れてってくれるって言うからいい。」
「…あ、そう。」
拍子抜けしたようにそう言って、当真はまだ寝れる。と眠ってしまった。
当真の明るさにはいつも助けられている。
今日だって、本当は顔中怪我をしている状態で学校になんて来たくなかったし、登校中に二宮さんに会った時は本当に帰ろうか迷った。
でも、廊下で欠伸をしながら歩いている当真を見て、咄嗟に声をかけていた。
当真の隣に座った途端に安心して眠ってしまっていた。
今の私が笑っていられるのは、間違いなく当真のおかげだ。
「…ほんとに、ありがと。」
小さく呟いた本音は、空中に溶けて無くなった。