09.Alone by myself.

「家、どの辺だ?」

車に乗り込むとカーナビを弄りながら二宮さんが聞いてくる。


「…あー、二宮さん家がいいなあ、なんて。」

てへっとぶりっ子しながら言ってみると、二宮さんはしらけた顔で睨んでくる。

この顔怖いんだよな。

「その体で俺ん家に来て何ができるんだ。」

「…二宮さんって、私がただヤリたいだけの快楽主義者だと思ってます?」

「違うのか。」

「そんな、二宮さんは私の事こんな風に見てたんですね!?ショック!」

心外だ!と抗議しようとしたら、面倒だと思ったのか、ハンドルに手を伸ばして運転を始めた。

「隣で騒がれると事故るから、黙ってろ。」

そう言ってすました顔で前をみつめるので、私はそれ以上何も言えなくなってしまった。

本当に事故られても困るし。

あっという間に二宮さん家について、車から降りようとすると、当然の様に手をさしのべられた。

「…何ですか?」

「手すり変わりに掴んでろ。」

私が掴むまで歩き出す様子もないので渋々捕まると、満足げにゆっくりと歩き出した。

おっぱい好きの癖に、紳士みたいな事して…。

心の中で二宮さんを貶してみるけど、心は穏やかだった。

何とか二宮さんの部屋に着いて、ソファに座らせてもらう。


「何か飲むか?」

「ココアがいいです!」

手が離れていくのをほんの少しだけ寂しいと思ってしまい、照れ隠しにわがままを言ってみる。

絶対二宮さん家にココアなんて常備されてないだろう。

そう思っていたのに、数分後には暖かいココアを片手に二宮さんが私の隣に座った。

「…ありがと、ございます。」

「ああ。」

安心する甘みが口いっぱいに広がって、急激に眠気が襲ってきた。

「ふふっ、」

「…急に何笑ってんだ。」

「にのみやさんのおうちにココアがあるのが、おもしろくって。」

眠気のせいか呂律がちゃんと回ってない気がするが、何となく気分がいいので気にしない。

「俺だってココア位飲む。」

「そうですか、」


そういった割に二宮さんが飲んでいるのはコーヒーなので、説得力がまるでない。

暖かいココアのおかげで、ポカポカと体温が上がってきて本当に寝てしまいそうになる。

思っていたより殴られたのが体力を削ったのだろうか。

私がうとうとしていると、二宮さんはブランケットを持ってきてくれた。

「後で聞かせてもらうからな。」

「…なにを?」

瞼が重くて狭まる視界の中、少し眉間に皺を寄せた二宮さんが見えた。

「…お前の事をだ。」

「…すう、…すう、」

最後の言葉を聞く前に、私は意識を手放した。