「家、どの辺だ?」
車に乗り込むとカーナビを弄りながら二宮さんが聞いてくる。
「…あー、二宮さん家がいいなあ、なんて。」
てへっとぶりっ子しながら言ってみると、二宮さんはしらけた顔で睨んでくる。
この顔怖いんだよな。
「その体で俺ん家に来て何ができるんだ。」
「…二宮さんって、私がただヤリたいだけの快楽主義者だと思ってます?」
「違うのか。」
「そんな、二宮さんは私の事こんな風に見てたんですね!?ショック!」
心外だ!と抗議しようとしたら、面倒だと思ったのか、ハンドルに手を伸ばして運転を始めた。
「隣で騒がれると事故るから、黙ってろ。」
そう言ってすました顔で前をみつめるので、私はそれ以上何も言えなくなってしまった。
本当に事故られても困るし。
あっという間に二宮さん家について、車から降りようとすると、当然の様に手をさしのべられた。
「…何ですか?」
「手すり変わりに掴んでろ。」
私が掴むまで歩き出す様子もないので渋々捕まると、満足げにゆっくりと歩き出した。
おっぱい好きの癖に、紳士みたいな事して…。
心の中で二宮さんを貶してみるけど、心は穏やかだった。
何とか二宮さんの部屋に着いて、ソファに座らせてもらう。
「何か飲むか?」
「ココアがいいです!」
手が離れていくのをほんの少しだけ寂しいと思ってしまい、照れ隠しにわがままを言ってみる。
絶対二宮さん家にココアなんて常備されてないだろう。
そう思っていたのに、数分後には暖かいココアを片手に二宮さんが私の隣に座った。
「…ありがと、ございます。」
「ああ。」
安心する甘みが口いっぱいに広がって、急激に眠気が襲ってきた。
「ふふっ、」
「…急に何笑ってんだ。」
「にのみやさんのおうちにココアがあるのが、おもしろくって。」
眠気のせいか呂律がちゃんと回ってない気がするが、何となく気分がいいので気にしない。
「俺だってココア位飲む。」
「そうですか、」
そういった割に二宮さんが飲んでいるのはコーヒーなので、説得力がまるでない。
暖かいココアのおかげで、ポカポカと体温が上がってきて本当に寝てしまいそうになる。
思っていたより殴られたのが体力を削ったのだろうか。
私がうとうとしていると、二宮さんはブランケットを持ってきてくれた。
「後で聞かせてもらうからな。」
「…なにを?」
瞼が重くて狭まる視界の中、少し眉間に皺を寄せた二宮さんが見えた。
「…お前の事をだ。」
「…すう、…すう、」
最後の言葉を聞く前に、私は意識を手放した。