10.Valkyrie.

ボーダー正式入隊から一年。

私は結構凄い孤月使いになっていた。

自慢じゃないが、忍田さんが絶賛する程だ。(ドヤァ!)

で、す、が、最近ボーダー内では密かにシューターというポジションが流行り出している。

何故なら、最近入隊した人達がトリオン量が多めで、銃型よりもトリオンをそのまま攻撃に使った方がいいらしいのだ。

孤月で太刀川さんに勝てないと思って迅がスコーピオンを開発してから、スコーピオンブームも来ていたが、今はシューターブームが来ている。

スコーピオンブームの時、私がスコーピオンに乗り換えようかと言う話を忍田さんにしたら、忍田さんが目に見えて落胆したので、自分の好奇心を抑えて孤月でやってきた。

だが、スコーピオンができてから迅にも負けっぱなしなのがぶっちゃけ超悔しい。

太刀川さんは強すぎて、まぐれで何回かしか勝ったことは無いが、スコーピオンさえ無ければ迅を勝ち越したかもしれないのに!!

それに、風間さんもスコーピオンでグイグイ来ている。

私の地位が危ういのだ。

その点、シューターなら私のトリオン量だったらまず弾切れの心配はない。

いざ寄られても、近距離戦にも対応できるし?少なくとも、新隊員達にでかい顔される事は無いだろう。


「いやいや、別に二宮さんでかい顔してるわけじゃないでしょ。」

「っな、迅?迅のサイドエフェクトって未来視でしょ!?何で私が考えてる事分かったの!?」

突然現れた迅に図星を刺されて焦っていると迅が笑いながら話しかけてくる。

笑い方がムカつく。

「はっはっは、あのままほっとくと名前ちゃんが二宮さんに噛み付く未来が見えたんでね。歳上の胸ぐら掴むのはどうかと思って。」

「…まじか、確かにそれは、まずいな。」

「ていうか、シューターに乗り換えなくても名前ちゃん孤月でNo.3じゃん。別に舐められはしないでしょ。それに最年少だし、一番これからに期待されてるじゃん。」

「うう、そのNo.3って、忍田さん太刀川さん、の次に私だよね?」

「そこ!?まあ、そうだけど。」

「舐められるとかはぶっちゃけどうでもいいけど、私より優秀な人が増えて、忍田さんの役に立つ役目が私から取られるのが嫌なの。絶対に。」

「ああ、」

「…何よ。」

呆れたように言うもんだから、ジト目で返す。

忍田さんの役に立つのは私にとっての生きがいな訳で、それが減るのは死を意味するのだ。その辺分かってないだろ、こいつ。

「変な心配しなくても、ここぞって時に忍田さんが頼るのは名前ちゃんしかいないから。心配しなくても大丈夫だよ。」

「…根拠は?」

「俺のサイドエフェクトがそう言ってる。」

私が聞くと、ドヤ顔でそう言うので肩パンしてやった。

「…まあ、何があろうといい機会だから、一回孤月使うのやめようと思ってたんだよね。」

「ありゃ、やっぱそうなる?」

「…珍しくいい事ばっか言ってると思ったけど、やっぱり見えてたんだ。なら分かるでしょ、私がトリガー変える理由。」

「…はいはい、でも一つ助言すると、向き不向きがあるから最初はスナイパーを試してみるといいよ。」

一番最後に試そうと思っていたのに、未来が見えている迅に言われてしまえば、スナイパーを試すのがいいのだろう。

迅に言われてというのは癪だが、東さんにお願いしてスナイパーを試すことにした。

「……あの、」

「……これは、その、」

「…やっぱ、向いてないですかね、」

どの距離からやっても的にかすりもしない。それどころか、トリオン量が多いせいか、調節が上手くいかず、イーグレットははるか遠くに飛んでしまうし、ライトニングは高速でどっかに消えるし、アイビスに至っては空中爆発した。

フォロー上手な東さんですら、何も言ってくれないので相当だろう。

迅が最初にスナイパーを試せと言ったのはそういうことか。

向き不向きをはっきりさせた方が後が楽だもんね。

初めて迅に感謝した。