03.Wolf sends.

卒業式以来に会った迅くんと、連絡先を交換して別れてから一週間。

特に連絡も無くて、一人安心しきっていた。

ティロリン

バイトの合間、ポッケのスマホが鳴ってマナーモードにしていない事に気付いた。

「っ、やば。」

慌ててスマホをマナーモードにして、ついでにさっきの通知がなんなのかを確認する。

画面に映し出されるのは見慣れ無い迅悠一の文字。

親切に名前の下に「今日時間無い?」というメッセージも映し出された。

その文字列を理解し、スマホをポッケにしまってバイトに戻った。

きっと幻覚だ。

一週間何も無かったのに、急に連絡があるわけ無い。

そう、昨日あんな昔の夢見たから、それにつられて変な幻覚見てんだよ。

自分にそう言い聞かせ、バイトを終わらせポッケのスマホを確認する。

迅悠一
今日時間無い?

幻覚じゃ無かったー!!

電車の手すりに頭をぶつけ、周りからの視線が痛い。

「…はあ、」

ため息をついて、迅くんにLINEを返す。

今からならあるよ。

そんな短い文章を五分くらい送るか送らないか悩んで、結局送った。

中学生の初恋かよ!?と脳内でツッコんで、最寄り駅に着いたので電車から降りる。

家路を歩いていると、見覚えのあるシルエットを見つけ目を疑った。

「…迅くん?」

「よっ、お疲れ。」

家路の途中に割と会いたくない人が立っていた。

「そんな所で何してんの?」

「…あー、実は俺未来が分かるんだ。」

「…はあ、?」

「…なんつって。」

ちょっとよく分からないボケでここに居た理由は流されたが、道端で立ち止まるのもなんなので、歩き出した。

「家まで送るよ。」

「…ありがとう、」

断っても着いてきそうなので、とりあえずお礼を言う。

「…あー、俺が言っても説得力無いけど、その、男の言うことを鵜呑みにしない方がいいよ。」

「うん、迅くんじゃなかったら断ってるから大丈夫。」

そもそも迅くん以外に私を送るなんて言ってくれる人いないよ。と心の中で言ってみる。

「高校の時も思ってたけど、苗字さんは危ういよね。」

「…え?」

そう言った迅くんの瞳は、あの日と変わらずとても綺麗で、あの日感じた罪悪感を思い出して目を逸らした。

それっきり家に着くまで会話も無く、家に着いた途端に迅くんは安心したように笑って私に向かって手を振ってきた。

「んじゃ、俺はこれで。」

「え、あのっ、LINEで時間無い?って言ってたけど、」

「ああ、あれはいいんだ。ただ顔が見たかっただけだから。」

そんな事を言い残して颯爽と帰ってしまった。

本当に私の顔が見たかっただけなのだろうか?

このままでは迅くんの事で頭がいっぱいになってしまう気がして、明日の予定を確認して寝ることにした。

私が家に入るのを誰かが見てるなんて、少し浮かれていた私は気づかなかった。