今日は厄日か。
そんな事思いながら呆然と空を見上げる。
非日常的な怪物が私を見下ろしている。
さっきまで元気に腰を振っていた男は、あの怪物に踏み潰されてしまった。
なんで私が無事なのか、それは聞いて驚け。いや、私も驚いてるから聞いたら驚くと思う。
さっきまで抵抗も出来ず、名前も知らないあの男に好きなようにされて、もう死んでしまいたい。と思っていたのですが、あの怪物が近づいてきていよいよ本当に死ぬかと思った。その時、私を囮にして逃げようとしたあの男を捕まえ、逆に囮にしたのです。
あんなに屈辱的な事をされたのに、どうやら私はまだ生きたいらしいのです。
そりゃそうだ。
私、まだ12歳だよ。
まだ恋だってしたことない、友達と呼べる人だってまだいないのに、死んでたまるか。
そう思うんだけれども、まだ私、助かってないんです。
さっきからあの怪物の目?かはわかんないけど、なんか光ってる目みたいなのと目が合っちゃってるんです。
見つめ合っちゃってるんです!
なんかまだ、止まってて私を潰す心配は無さそうだけど、ってやばいやばい。
ズン
ズン
「っやばいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
どんどん近づいて来ている怪物。
私の歩幅と絶対あってないよね。なんて考えてたら、走馬灯みたいなものが流れてきた。
父親と公園に行った時の事。
楽しかったな。
母親と喧嘩した時の事。
あれはムカついた。
染井さんが親切に呼びに来てくれた事。
無愛想な返ししちゃったんだよな。次は気さくに返そう。
そうだ。今ここで潰されて死ねば次なんて無い。染井さんに無愛想な子だと思われたまま死ぬ事になる。
「っそんなの、やだ!私まだ、友達もいないのにー!」
何を血迷ったか、私は走るのをやめて怪物に向き合っていた。
真下から見ると本当に大きい。
一体何なんだこの怪物。
そんな事を思っていたら怪物の口が迫ってきた。
まさか、食われる!?
さっきまで踏まれるのを必死に避けていた私は咄嗟に動けず、ついには怪物の口に咥えられてしまった。
もう死を覚悟した。
「友達くらい、欲しかったな。」
ガキンッ
「大丈夫よ。生きてれば友達くらい出来るわ。」
「…え、」
羽みたいな髪のショートカットの女の子が笑いながらそういった。