今日は、日曜。
昨日、玉狛支部に行ったお土産に貰った桐ちゃんの作ったカレーを食堂で食べている。
「はあ、美味しい…。」
まだ朝の八時なので周りにはまばらにしか人が居ない。
この味が落ち着くのである。
「お、名前。この匂いは桐絵の作ったカレーか?」
「げ、嵐山!」
隊員はほぼ居ないのに、なんでこんなに朝から来てんだこいつ。
と、顔に出ていたようで、嵐山は困ったような顔をした。
「相変わらず名前は俺を邪険に扱うな。」
「…だって、迅にそっくりで苦手だし、さりげなく桐ちゃんの従兄弟をアピールしてくるのはぶっちゃけ嫌いなんだもん。」
「アピールしているつもりは無いんだが…」
全部本音である。
初めて嵐山を見た時は、視力のせいもあって迅が髪色を黒くしたようにしか見えず、眼鏡をかけている今も苦手なままなのだ。
こればかりは体が拒否反応を示すので仕方が無い。
「そう言えば、桐絵とは仲直り出来たのか?」
「は?仲直りも何も、喧嘩してないよ?」
何言ってんだこいつと言う思いを込めて嵐山を見るが、あまりに澄んだ目でこっちを見てくるので逸らしてしまった。
「そうか、それは良かった。」
「…。」
「…俺の事嫌いか?」
「えっ、」
いつもならこんな扱いをしていても、特に気にすること無く明るく振舞っているのに、今日は少し落ち込んでいる。
その表情に良心が痛む。
「…嫌いでは、無い。んだけど、、その、どうしても苦手というか、」
「苦手という事は、克服出来るという事だな。」
私の歯切れの悪い返答に何故か純度100%の明るさで返してくる。
なんなんだ、こいつ。
「それなら良かった。克服して貰えるように、今度からも話しかけるな!」
「…え、ええ〜。」
嵐山との長話のせいで美味しい桐ちゃんのカレーがすっかり冷めてしまった。
まあ、冷めても美味しいてけど。
「今日は、本部長に呼ばれているんだ。じゃあな!」
そう言って颯爽と去っていく嵐山の後ろ姿は、どう見たって黒髪の迅にしか見えない。
「…そういうとこが苦手なんだけど。」
「どゆとこ?」
「ん?邪気がない所。こっちが隠してる汚いもん全部見透かしてそうに思える、、って、迅!?」
ナチュラルに会話していたのは、気づかない間に近付いて来ていた迅だった。
「おはよう。」
「…人混みに紛れてきたな、私のサイドエフェクトが集団に弱い事を知ってるくせに、」
「いやいや、だから紛れたんでしょ。」
悪びれる事無くヘラヘラしている奴に苛つく。
「…嵐山に言わないでよ。」
「俺そんなに言いふらすタイプに見える?」
「うん。」
「そっか、それじゃあ期待に答えなきゃ、」
「迅はボーダー一口が硬そうな男のだよ。うん。木戸司令より!」
わかりやすいお世辞を並べれば満足したのか、誰にも言わないよ。と言って迅もどこかに去って行った。
「…迅は何しに来たんだ?」
モヤッとしたまま休日が始まった。