「やほー、冬島さーん。」
「お、名前どうした?」
やってきたのはエンジニアルーム。
私のトリガーの調節をしてくれているのは、この人冬島さんである。
「あのね、唯一無二の武器というか、戦い方したくって、」
「おお、それで?」
「なんかいい感じの無いかな?」
ざっくりとした要望を述べ、あとは丸投げした。
さすがに無理らしく、考えてはくれているけど今日中には出来なそうだ。
「ふふっ。」
「…なんだ?急に笑って。」
「冬島さんは私のお父さんにどこか似てる。」
懐かしさに顔が緩むのが分かったが、その表情を見て冬島さんが吃驚していた。
「あー、お父さんってーと本部長の事か?」
「あ、違う違う。ほんとのお父さんの方。」
私がそう言うと今度は言いにくそうに答えてくれた。
「確か名前の親御さんは第一次侵攻で亡くなったんだっけか?」
「あー、お母さんはね。」
「ん?お父さんは?」
「侵攻よりも大分前に離婚して、三門市を出てっちゃったよ。今はどこで何してるのかも知らない。」
「…そうか、」
そう言って俯く姿が、遠い記憶の父と重なる。
「やっぱり、優しいところがそっくり。」
「…まったく、しゃーないな。新しい戦い方ってのは具体的にどうしたいんだ?」
私は本当に思ったことを言ったつもりだったのだが、冬島さんにはお世辞に聞こえたらしい。
しかもそのお世辞に乗せられて、私の提案に早く応えようとしてくれている。
優しいな。
「んー、こう、シュータースタイルに近接の武器を足すとかどう?」
「…確かに名前ならトリオン量多いから出来そうだけど、孤月を腰に挿したままシュータースタイルはやりにくくないか?」
「…それもそうか。じゃあ、スコーピオン?」
「名前スコーピオン使えるの?」
自分から言っておいてギクリとする。
「…まだ使った事ない。」
「うわっ、ついこの前旋空弧月使えるようになってたからまさかと思ったけど、何?新しいものに染まるのは嫌ですか??」
聞き方がちょっと意地悪な気がするんだが。
「だって、一番最初に教えて貰ったのはノーマルな孤月だけだもん!どんどん増えて戦い方増えるのもいいと思うけど、なんか流されやすいの嫌じゃん!」
「…思春期だな。」
適当にあしらわれたことにムッとするが、トリガーチップをいじって私の要望に答えてくれたので、文句は言わないことにした。
「ありがと、冬島さん!」
「おお、まだ試作ってことで戦闘に使うなら孤月にしとけよ。」
「はーい!」
何だか、冬島さんと話すと落ち着くのである。
その理由が今日分かった。
やっぱり、お父さんに似ているからだ。