「おーい、寺さん!」
「ん?おお、どした?名前、」
ここはエンジニアルーム。私は目当ての人物に声をかけた。
彼は寺島雷蔵。攻撃手だったのに、最近はエンジニアの方も手伝っている。
そして私のトリガーを見てくれている。
「なーんか、トリオン体と生身で違和感あるんだけど、トリガー正常か見て欲しくって。」
「…マジか、さすがにそれは俺よりも鬼怒田さんだろ。」
「えー、たぬさんだと忍田さんにも話がいっちゃうでしょ。あんまり心配かけたくないの!お願い!雷蔵!」
そう言って顔の前で両手を合わせて懇願すると、やれやれといった表情でトリガーを受け取ってくれた。
呼び捨てにしたことは特につっこんでくれなかった。
最近私がツッコミ待ちの発言をするも、誰も拾ってくれない。寂しい。
雷蔵は私のトリガーを解析しているらしく、私にはよく分からない機会をカタカタと動かしている。
「違和感って、具体的にどんな?」
「えー?んっとね、生身と換装後で感覚が違うというか、」
「?、どう違うんだ?」
「なんだろ、鈍いというか、全身タイツ着てるみたいな?」
私がそう言うと、動かしていた手を止めてこちらを見て眉を顰めた。
「全身タイツ?」
「そう。」
「…確か、名前のサイドエフェクトって、」
「…?、強化触覚だけど…」
私がそう答えると、雷蔵はハッとした顔でどこかに連絡をした。
「…なんで精密検査?」
「確かめなきゃいけない事があるから。」
「…そう、それはいいけど、」
「大丈夫なのか?どこか不調なのか?病気か?病気なのか??」
「なんで忍田さんも呼んじゃうかな…。」
雷蔵は精密検査の申請をした後に、わざわざ忍田さんを呼んだのだ。
私がさっき言った事聞いてなかったのかな?ひどい仕打ちだ。
突然連絡を受けた忍田さんは、状況が分かっておらず、狼狽えながら私を心配している。
こっちが心配になるほど狼狽えているので、そろそろちゃんと説明してあげて欲しい。
「…あー、名前のサイドエフェクトが
、その、成長?してるかも知れません。」
私の思いが通じたのだろうか。雷蔵は慌てふためいていた忍田さんに説明をした。
てか、サイドエフェクトが成長ってなんだ。私も聞いてないぞ。
「???」
忍田さんは鳩が豆鉄砲食らったみたいにめを丸くさせてフリーズしている。
なんか可愛い。
準備が整ったのか、私は精密検査を受けるために検査室に行った。
結果は雷蔵の言った通りで、私のトリオン器官が成長していたらしく、トリオン量が増えた影響で触覚が以前より成長したようだった。
と言われても、私自身にそんな変化は無い。いや、確かに最近やけに生身の時の反応精度が良いと思っていた。
「…トリオン器官が成長したり衰えたりするのは聞いた事があったが、サイドエフェクトも成長するなんて、初めて知った。」
「私のサイドエフェクトって先天性じゃないの?トリオン量に比例してサイドエフェクトも成長するものなの?」
忍田さんも私も疑問だらけで、二人ともほぼ同時に雷蔵に質問を投げかけると、雷蔵が一番驚いていた。
「そもそもサイドエフェクト持ちが少ないからよく分からないけど、こんな事は前例が無いはずですよ。」
そう言われてしまえば、それで納得するしかなくて、私も忍田さんももう何も言わなかった。
そのことに関しては。
「いや、成長した今でもトリオン体に反映できる?」
成長したサイドエフェクトをトリオン体に反映出来ないんじゃ、生身と換装後の感覚のギャップでおかしくなってしまう。
「大丈夫。取ったデータをすぐ反映出来るようにプログラミングするから。」
「そう、それは良かった。」
「ああ、問題無いな。」
雷蔵の一言で忍田さんは安心して司令室に戻って行った。あの人会議ほったらかしとかにしてないだろうな。
「あ、でもプログラミング二日はかかるから。」
「え、じゃあその間模擬戦は?防衛任務は?」
「出来ないよ。」
「えええぇぇぇーーー!!!???」
ココ最近で一番声が出た。
私は今日合わせて約二日、生身で生活する事になった。