25.Grow proportionally.

「おーい、寺さん!」

「ん?おお、どした?名前、」

ここはエンジニアルーム。私は目当ての人物に声をかけた。

彼は寺島雷蔵。攻撃手だったのに、最近はエンジニアの方も手伝っている。
そして私のトリガーを見てくれている。

「なーんか、トリオン体と生身で違和感あるんだけど、トリガー正常か見て欲しくって。」

「…マジか、さすがにそれは俺よりも鬼怒田さんだろ。」

「えー、たぬさんだと忍田さんにも話がいっちゃうでしょ。あんまり心配かけたくないの!お願い!雷蔵!」

そう言って顔の前で両手を合わせて懇願すると、やれやれといった表情でトリガーを受け取ってくれた。

呼び捨てにしたことは特につっこんでくれなかった。

最近私がツッコミ待ちの発言をするも、誰も拾ってくれない。寂しい。

雷蔵は私のトリガーを解析しているらしく、私にはよく分からない機会をカタカタと動かしている。

「違和感って、具体的にどんな?」

「えー?んっとね、生身と換装後で感覚が違うというか、」

「?、どう違うんだ?」

「なんだろ、鈍いというか、全身タイツ着てるみたいな?」

私がそう言うと、動かしていた手を止めてこちらを見て眉を顰めた。

「全身タイツ?」

「そう。」

「…確か、名前のサイドエフェクトって、」

「…?、強化触覚だけど…」

私がそう答えると、雷蔵はハッとした顔でどこかに連絡をした。

「…なんで精密検査?」

「確かめなきゃいけない事があるから。」

「…そう、それはいいけど、」

「大丈夫なのか?どこか不調なのか?病気か?病気なのか??」

「なんで忍田さんも呼んじゃうかな…。」

雷蔵は精密検査の申請をした後に、わざわざ忍田さんを呼んだのだ。
私がさっき言った事聞いてなかったのかな?ひどい仕打ちだ。

突然連絡を受けた忍田さんは、状況が分かっておらず、狼狽えながら私を心配している。

こっちが心配になるほど狼狽えているので、そろそろちゃんと説明してあげて欲しい。

「…あー、名前のサイドエフェクトが
、その、成長?してるかも知れません。」

私の思いが通じたのだろうか。雷蔵は慌てふためいていた忍田さんに説明をした。

てか、サイドエフェクトが成長ってなんだ。私も聞いてないぞ。

「???」

忍田さんは鳩が豆鉄砲食らったみたいにめを丸くさせてフリーズしている。

なんか可愛い。

準備が整ったのか、私は精密検査を受けるために検査室に行った。

結果は雷蔵の言った通りで、私のトリオン器官が成長していたらしく、トリオン量が増えた影響で触覚が以前より成長したようだった。

と言われても、私自身にそんな変化は無い。いや、確かに最近やけに生身の時の反応精度が良いと思っていた。

「…トリオン器官が成長したり衰えたりするのは聞いた事があったが、サイドエフェクトも成長するなんて、初めて知った。」

「私のサイドエフェクトって先天性じゃないの?トリオン量に比例してサイドエフェクトも成長するものなの?」

忍田さんも私も疑問だらけで、二人ともほぼ同時に雷蔵に質問を投げかけると、雷蔵が一番驚いていた。

「そもそもサイドエフェクト持ちが少ないからよく分からないけど、こんな事は前例が無いはずですよ。」

そう言われてしまえば、それで納得するしかなくて、私も忍田さんももう何も言わなかった。

そのことに関しては。

「いや、成長した今でもトリオン体に反映できる?」

成長したサイドエフェクトをトリオン体に反映出来ないんじゃ、生身と換装後の感覚のギャップでおかしくなってしまう。

「大丈夫。取ったデータをすぐ反映出来るようにプログラミングするから。」

「そう、それは良かった。」

「ああ、問題無いな。」

雷蔵の一言で忍田さんは安心して司令室に戻って行った。あの人会議ほったらかしとかにしてないだろうな。

「あ、でもプログラミング二日はかかるから。」

「え、じゃあその間模擬戦は?防衛任務は?」

「出来ないよ。」

「えええぇぇぇーーー!!!???」

ココ最近で一番声が出た。

私は今日合わせて約二日、生身で生活する事になった。