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トリガーのプログラミングがあるおかげで生身で生活しなくてはいけなくなった。

私はボーダー内に部屋を貰って生活しているので、基本的に学校に行っている時と風呂と寝る時以外はトリオン体だった。

ので、生身という事は痛覚は勿論、腕力や体力もいじれない。
まあ、幸いにも私は生身でも体力はあるし、運動神経も良い方なのであまり困らないが、痛覚がいじれないのは少し大変である。

さっきも学校から帰ってきて、ブースに行こうと思って走り出したら足がもつれて曲がり角に足の小指をぶつけた。

普段なら学校から帰ってきたらすぐ換装してトリオン体なので痛みは最小限なのだが、今日は今でもジンジン痛む。

そして、模擬戦のためにブースへ走ったのに、模擬戦も出来ない。

「よお、名前!今日明日、模擬戦出来ないってマジか?」

「…慶ちゃん、そうだよ。模擬戦どころかトリオン体に換装出来ないから常に生身だよ。」

「マジか、通りで制服に眼鏡な訳だ。」

そう言って少し上から私の頭をグリグリと撫でてドンマイ、と言ってきた。

太刀川さんドンマイって意味わかって使ってんのかな。と少しだけ心配になったが、今はそんなのどうでもいいくらいこの状況が面白くない。

「…慶ちゃんはトリオン体なれるんだから模擬戦でもしたらいいじゃん。」

「おう、最近成長期で進化した俺の戦いぶりをしかと見とけよ。」

「身長伸びても慶ちゃんの戦い方は変わんないじゃん。」

少し意地悪っぽく言ってみても、太刀川さんは私の言った事など聞いておらず、出水くんと模擬戦をしに行ってしまった。

「…暇だ。」

生身でブースのソファに腰掛ける。
トリオン体では視力を上げて眼鏡は掛けていないので、私をまじまじと見てくる人が割と居る。

サイドエフェクトが成長したからだろうか、肌に視線がまとわりついて少しだけ気分が悪い。

「名前ちゃん!」

「…おお!うっさみー!」

下がり気味だった気分は声をかけてくれた人のおかげで一気に上がった。

彼女は宇佐美栞。尋くんとかと同じくらいにボーダーに入隊したオペレーターの女の子だ。一個上なのだが、気さくで話しやすく、とても仲良くしてくれている。

「テンション低めだね、寺島さんから聞いたよ。」

「うう〜、そうなの。テンション低いの。暇なんだよ!」

そう言って泣きつくと、ふっふっふ、と笑って面白い事を提案してくれた。

「名前ちゃんのサイドエフェクトをデータを元に、感覚共有実験してみない?」

「…何それ!面白そう!具体的にどうゆうこと!?」

「えっとね、名前ちゃんのサイドエフェクトは強化触覚でしょ?」

「うん!」

「触覚は五感の一つ、人間みんな持ってるものだから、名前ちゃんのデータを元にトリオン体にプログラ厶を送れば、一時的に強化触覚が共有できるの!」

「…おお!それってすごくない?」

シンプルな感想だが口にすれば、宇佐美はとても嬉しそうにニヤリと笑った。

「名前ちゃんの強さの一因をみんなで共有出来るの!これからの防衛任務の質が向上するかもしれないでしょ?」

「うん!防衛の質が上がれば被害が減るもんね!すごい!」

二人とも興奮気味に手を取り合って、軽い足取りでオペレータールームへ行った。

一人強いよりも皆強い方がいい。

それに、太刀川さんや風間さん、迅や桐ちゃんみたいに元々強い人が私のサイドエフェクトを共有して戦えたらもっと強くなれる。

宇佐美の提案が私の憂鬱な気持ちを一気に晴らしてくれた。