27.Talent is not shared.

宇佐美は優秀なオペレーターで、あっという間に私のサイドエフェクトのデータをプログラムに作り替えた。

宇佐美曰く、触覚というのは情報量が多くて、感覚をトリオン体に反映させるにはトリオンの消費が激しいらしい。

なので、共有出来たとしてもトリオン量が一定以上の隊員にしか共有出来ないみたいだった。

「んー、数値で言うとトリオン量が五以上の人には可能かな。」

「五以上か、結構いるよね?」

「うん。ひとまず、本部長に話してみて実用試験をしてみよう!」

「うん!」

二人ともテンションはMAXだ。

ルンルンとスキップをしながら忍田さんに会いに行って話をすると、忍田さんは、驚いていた。

「…確かに敵の位置を正確に把握できる名前のサイドエフェクトが共有出来れば、戦闘力が格段にあがるな。」

「でしょ!?うっさみーが思いついたんだよ!試してみてもいいよね?」

「…いや、私だけの判断ではダメだ。」

「え、」

意外にも忍田さんは、何かを心配しているようだった。

「とりあえず、城戸司令にも話を通して了承が出れば私と慶で試してみよう。」

「城戸さんにも話すの!?許可が出れば即実用じゃん!」

「…本部長と太刀川さんが試用するんですか?」

「…ああ。」

私はルンルンしていたが、宇佐美はどこか心配そうだった。忍田さんと太刀川さんが試用するからだろうか?

確かに、ノーマルトリガー最強の忍田さんとその弟子の太刀川さんが宇佐美の作ったプログラ厶を試すのだ。緊張するかもしれない。

忍田さんは早速城戸さんに話をしてくると行ってしまった。

「早ければ明日試用だって!」

「…うん。」

宇佐美はすっかり緊張してしまっている。さっきまでの自信に満ちた笑顔は無く、今は顔が強ばっている。



翌日、城戸さんから許可が出たので、プログラミングをした宇佐美と私と忍田さんと太刀川さん、そして城戸さんの五人で試用が行われることになった。

「せっかくならギャラリー集めて試用すればいいのに。」

「…名前、これは遊びじゃないぞ。」

「はーい。」

城戸さんは元からだけど、私以外の表情が硬かった。

「…それでは、宇佐美始めてくれ。」

「…はい。」

宇佐美が返事をして、私がトリオン体に換装する。

勿論サイドエフェクトが成長する前のトリガーだ。新しいトリガーは今雷蔵がプログラミング中なので。

私の換装が終わると共有が始まった。

私はワクワクで胸がいっぱいだった。
何がどこにあるのか、誰がどこにいるのか肌を伝って分かる。
それがあれば戦闘力は格段に上がるから。そう信じて疑わなかった。

「っ、う、、」

「っ、、し、のだ、さん、」

「っ、え、どうしたの?慶ちゃん?忍田さん?」

共有が始まった途端に、忍田さんと太刀川さんが苦しみたした。

痛いとかじゃなくて気持ちが悪いようだ。顔色がどんどん悪くなって、太刀川さんは今にも吐きそうだった。

「止めたまえ。」

城戸さんがそう言って、宇佐美が共有を解いた。

太刀川さんはその場に倒れてしまった。とても苦しそうで、全身から滝のように汗が出ていた。

忍田さんは、かろうじて立っているが、今にも倒れ込みそうだった。

「…なに?なんで?どうゆうこと?」

「強化触覚というサイドエフェクトは、常人には負担でしかないという事だ。」

私の疑問に答えてくれたのは城戸さんだった。

その言葉はシンプルで、でもとてもわかりやすくて、直ぐに理解出来た。

「じゃあ、私のサイドエフェクトの共有は、」

「実用は無理だ。」

「…そう、ですか。」

城戸さんはそう言うと、宇佐美と何かを話していた。

良く考えれば分かったことだ。私がこのサイドエフェクトを普通に扱えているのは、生まれた時からあったからだ。

私にとっては普通の事。でも、他の人にとっては異常、だから“副作用”。

忍田さんは、私に何かを言おうとしていたが、それどころでは無い。相当負担だったのだろう。私は二人のために水を買いに行った。

宇佐美とすれ違った時、小さな声でごめんね。と言われてしまった。

うっさみーは何も悪くないのに。
私も謝られるような事はしていないのに。

明るい日の下にいたつもりが、いつの間にか闇に突き落とされた気分だった。