今日はかげまさの実家のお好み焼き屋さんに行く。
「お好み焼き楽しみだなぁ〜!かげまさん家のお好み焼き本当に美味しいもんね!」
「確かに美味いけど、ちゃんと二宮さんに連絡してるよな?名前。」
「……」
「…はっ?まじで?お前この前焼肉食べそびれたんだから学習しろよ。」
当真が言っているのはつい先日の事。
かげまさと荒船くんと当真の四人で焼肉を食べに行ったら、二宮さんが私を連れ帰ったのだ。私まだ焼肉食べてなかったのに!
二宮さんと付き合う事になってから、私はセフレを切っていってこの前やっと皆整理することが出来た。
それからというもの、何処かに行く時は二宮さんに報告をする。という約束をしたのだが、なんか信用されてないみたいでちょっと反抗している。
「当真うるさーい!今日は焼肉のリベンジなの!だから、二宮さんが迎えに来たとしてもお好み焼きを食べるまで私は帰らない!!」
「いやいやいや、二宮さんに連絡入れれば普通にお好み焼き食えるだろ。何意地張ってんだ。」
「そうだぞ、苗字。これ以上二宮さんに心配をかけない方がいい。」
「な、荒船君まで二宮さんの味方なの!?」
私が二宮さんと付き合い始めてから、何故か当真は二宮さんの肩を持つようになった。なので、荒船君まで二宮さんの方につかれたらすごい悲しい。
何とか味方が欲しくってかげまさの方を見る。
「…店に乗り込まれると迷惑だから連絡くらい入れとけよ。」
「…な!かげまさまで!?どうして?何がそんなに君達を変えたんだ!?」
「…何訳わかんないこと言ってんだよ。」
頭を抱えて私は道端でしゃがみ込んだ。
「おい、迷惑になるからこんな所でしゃがみこむなよ。」
「…ちょっとしゃがんだだけじゃん!すぐ立つもん。」
「……何やってんだ?名前」
「え、あ!透だー!」
誰も私を心配してくれないので若干涙目だった私に声をかけてきたのは、幼馴染の奈良坂透だった。
「ん?奈良坂じゃん。え、名前と知り合い?」
「…当真さん?荒船先輩に影浦先輩まで、何してるんですか?」
何故か当真やかげまさ、荒船君まで透の知り合いみたいで、私はボケっとしていたが、そう言えば透はボーダーだった。
「ボーダーの人って皆仲いいの?」
「いや、皆がみんなそういう訳じゃ無いけど、この人達はすごい人達だよ。」
「いや、奈良坂?俺の質問答えてくんねーの?」
透は当真の質問よりも私の質問に優先して答えてくれた。何だか当真が哀れに思えて、肩に手を置いてドンマイ。と言うと、うるせーと言われた。
いつかのお返しだ。
「透はねー、幼馴染なんだよ!」
「は?名前三門市来たのに最近だろ。どうゆう事だ?」
「母親同士が学生時代の友人で、よく会ってたんですよ。」
「そうそう!透は私の弟みたいなもんだよね〜!」
そう言って透の頭を撫でようと手を伸ばしたら透は頭を少しだけ下げてくれた。うむ、良い図らいだ。
「え、奈良坂って普段あんなにスカしてんのに、わざわざ撫でられに行くようなキャラなの!?」
「ああ、驚いたな。」
「…どうでもいい、つか来んなら早く来いや!」
「あ!そうだ。今日かげまさのお店行くの!透も一緒に行こ〜。」
そう言って透の腕を掴むと同時に、誰かに私の頭を鷲掴みにされた。
「随分と楽しそうだな?名前。今、影浦の店に行くと聞こえたが、俺に連絡来てねぇな?」
「…なんで、いるの?」
「俺が呼んどいた。」
「…二宮さんまで?」
当真が二宮さんを召喚したせいで、私はこのまま強制送還させられることになった。せっかく透に会えたのに。
「透!連絡先おしえっぶ!」
「お前な、彼氏の前で他の男引っ掛けるのはどうかと思うんだけどよぉ?」
「ほほるはおははあいみなんれふ!」
両頬を鷲掴みにされながらも懸命に喋ったが、二宮さんには通じず、後ろで当真とかげまさが笑っている声が聞こえた。
二人は明日何かしら嫌がらせをしてやる。
「…名前は二宮さんと付き合ってるのか?」
「ん、奈良坂だったか。そうだ、こいつは俺の彼女だから手は出すなよ。こいつに誘われてもだ。」
「っぷは、ちょっと!透に手は出しませんよ!透は私の幼馴染です!最早弟!」
私と二宮さんが言い合いをしている横で透がポカンとした顔で立っていた。
「…奈良坂?どした?」
「当真さん、いや。名前に彼氏が出来たのが、信じられなくて。」
「ひっど!透、聞こえてるんだけど!」
「いや、悪い意味じゃなくて、名前が本当に好きな人と出会えたのが嬉しいんだよ。」
透がものすごい恥ずかしい事を凄くいい笑顔で言うので、その場に居た全員が言葉を失った。
「…な、に言ってんの?二宮さんとは遊びかもしれないじゃん!」
「ああ?何ふざけたこと言ってんだ。」
「二宮さんといる時の名前は凄く可愛いからすぐ分かったよ。」
「っな!」
「奈良坂って、幼馴染とはいえ名前の事好き過ぎないか?」
またしても恥ずかしい台詞を言われ、私は赤面してしまった。
一人真っ赤になって放心している私を二宮さんが連れて帰るのだった。
「んで、結局名前は焼肉のリベンジは出来なかったな。」
「ああなるって分かってて呼んだのは当真だろ?」
「すみません、影浦先輩俺までご馳走になっちゃって、」
「あ?いいんだよ、奈良坂の分は当真が払っから。」
「はあ!?」
「ご馳走様です。当真さん。」
スマホの向こうで楽しそうにお好み焼きを食べている彼らを見ながら、私は二宮さんの家で二宮さんの作ったお好み焼きを食べるのであった。
「美味いか?」
「…美味しいです。」