「当真あぁぁ〜〜!!」
学校について早々に、当真に駆け寄って飛びついた。
「っ、んだよ、いきなり!?」
「…っ、っふぇ〜!」
私が泣いているのに気づいた当真は冷や汗をかきながら私の頭を優しく撫でてくれた。
落ち着く。
「どうした?ゆっくりでいいから言ってみ?」
「…っ、二宮さんが、二宮さんが!浮気した〜!!」
「………………………は?」
滅茶苦茶溜めて当真は信じられないと言った表情で私を見る。
「…もっかい言ってみ?」
「っ、二宮さんっ、が、浮気した!」
「…いやいやいや、二宮さんに限ってそれはねえだろ!?名前の勘違いだ!」
「酷い!こんなに傷付いてるのに、慰めるどころか二宮さんの肩持つなんて!鬼なの!?」
当真があまりにも酷いので、怒りが湧いて涙が引っ込んだ。
「いや、名前が浮気するのは分かるけど、二宮さんが浮気は…なあ?」
「っ酷!私は二宮さんと付き合ってるんだから浮気はしてないし、これからだってしないのに!」
「あー、ハイハイ。分かった分かった。もう少しちゃんと話聞いてやるから、とりあえず教室行くぞ。」
何やら当真は当真なりに私のことを慰めてくれているのだろか。現に二宮さんへの不信感は当真への怒りで薄れた。涙も止まったし。
当真に腕を引かれながら教室へと行く途中で、当真の意外な優しさに気づいてこれからは少し優しくしてやろうと思った。
「…で、一体何を勘違いしてんだ?」
教室に着いて当真は携帯を弄りながら私に質問してきた。なんて奴だ、片手間に相談に乗る気か!?
「勘違いじゃないよ!昨日綺麗な女の人と歩いてるの見たもん!!」
必死になってそう言うと、は?と疑心の目を向けてくる。
信じてくれたっていいのに。
当真は弄っていた携帯を机に伏せた。私の話を真剣に聞いてくれる気になったみたいだ。
「それ本当に女だったのか?女装した男とか?」
「それはそれで浮気じゃん!二宮さんが男もいけるのが分かるだけじゃん!」
「いやいや、二宮さんに限って男は無理だと思うんだよな…。」
当真は真剣に考えているだろうか?
「心のどっかで二宮さんは私以外の女をゴミクズ同然に思ってるって思ってたの。」
「ひでえな。」
「なのに、女の人と歩いてたって事は二宮さんには私以外にも女として扱ってる人がいるってことでしょ!?」
私は半泣きで当真に詰め寄った。
「いや、まじで落ち着け。お姉さんかも」
「二宮さんは一人っ子だもん!」
「じゃあ、お母さん」
「あんなに若くないし、お母さんは見たことあるもん!」
「…でもなあ、いい機会じゃん。お前が今まで二宮さんにどうゆう思いさせてきたのか分かったんじゃないの?」
「…え、」
当真が意外と心を抉ることを言ってきたので、私はもう涙で前が見えない。
当真の前でよく泣いてるせいか、さっきとは打って変わって当真は動じない。
「…こんなに、辛いんだね。好きな人が知らない異性と居るのって。」
自分の今までの軽率な行動全てを呪った。
そりゃあんなに好き勝手していたらやり返したくもなるかもしれない。
そんな事を思っていたら涙は止まること無くどんどん机の上が濡れていく。
「やっぱり同年代の金髪ロングで口元に黒子があるちょっとえっちな雰囲気の女の人の方がいいよね…。」
「…は?え、それ加古さんじゃん。」
私が昨日見た女の人の特徴を言ったら、当真は知ったふうに名前を出してきた。
「…誰、加古って?」
「いや、ボーダー隊員にその特徴ピッタリの人がいるんだよ。」
「…男?女?」
「女。二宮さんとは同期で元同じ隊。」
「っ、なんじゃそりゃ!?元カノよりも嫌なんですけど!!」
私が怒りを叫んでいると、当真は爆笑していた。
何笑っとんだこいつは。
「ちょっと待って、って事はボーダーって女多いの?」
「ああ、結構居るな。戦闘員もオペレーターも。」
「は?何それ。二宮さんの近くにも居るって事!?」
「ああ、オペレーターはほぼ女だし」
「年下!?」
「…ああ、氷見とか?」
「氷見〜!?誰それ!!」
「三輪も仲良いぞ。」
「三輪!?なんだそれ、二宮さんの恋愛対象年齢ばっかの女!?」
私が切れていると当真は変わらず爆笑している。
何をそんなに笑うことがあるのか。
「…許せん。なんで地球上には女がこんなにいるんだ?」
「っはー、やべーってその発言!」
「……二宮さんが、私以外の女と会って話さなくなればいいのに…。」
ボソリとそう言えば当真は冷や汗をかきはじめた。
「…当真?なんか汗かいて」
『言っておくが、三輪は女じゃない。男だぞ。』
「…え、は?」
その声は聞き覚えのある声で、機械越しに聞こえた。
「っ、このタイミングで話すんですか?」
『これ以上名前の珍しい姿を当真に見せる訳にはいかないからな。』
「え、ちょっと、どういうこと?二宮さん??」
そう、その声の主は私の彼氏二宮さん。
あろう事か当真の奴最初に携帯を弄っていた時に二宮さんと通話をしたままにして机に伏せていたのだ。
つまり、先程までの私の乱心ぶりを全て聞いていたのだ。
「…二宮さん、名前の顔が真っ赤です。」
『あ?あんま見んなよ。』
「…消えてなくなりたい。」
『おい、名前。俺は浮気はしてねえからな。昨日もたまたま道端で会って付きまとわれてただけだ。』
「それ加古さんが聞いたらキレそうですね。」
『言うなよ。』
いつの間にこんなに仲良くなったのか、元々こんなに仲が良いのか、よく分からないが当真と二宮さんが赤面している私を放っておいて話をしているので、とりあえず当真の脇腹を思い切りつねっておいた。
後日顔を両手で覆い隠す私の写真が二宮さんの待ち受けになっていた事で喧嘩になるのであった。