35.In the middle of adolescence.

桜が舞う季節。

やたらと浮き足立っているオーラに私の心も落ち着かない。

中学二年生に進級しました。

「お、同じクラスじゃん!よろしくな名前!」

「…佐鳥、と時君!二人とも同じクラス?」

「うん、そうみたい。隊もだけど一年よろしくね。」

ほぼ広報の仕事でしか作戦室に居ない私にとても優しく接してくれる時君こと時枝充。…と佐鳥。

ぶっちゃけ時君とは打ち解けられないと思っていたが、話してみるとすごくいい子で私はとても懐いた。

物腰柔らかだし、可愛いし、下心無さげな感じがとても良い。佐鳥と違って。

佐鳥も佐鳥で良い奴なのだが、どうしてもオーラが邪魔をする。

佐鳥の出しているオーラはココ最近下心だらけなのだ。

まあ、中学二年生なんて色々お盛んな時期だろうから仕方が無いと思うのだが。

「よろしく!時君!!…あと佐鳥。」

「酷いな、俺はついで〜!?」

泣き真似をする佐鳥を少しだけ放って置いて、時君と一緒に教室へと向かった。

クラスメイトは皆新しいクラスでワクワクしているようで、仲のいい子と話す子や頑張って知り合いを増やそうとしている子ばかりだった。

「…あ、染井さん!」

私が声をかけたのは、小学校が一緒だった染井華さんだ。眼鏡をかけている美人さんで、小学生の時から実は仲良くなりたかった。

「…えっと、苗字さん?」

「そう!小学校一緒だったよね、二年生からはクラス同じみたいだから仲良くしてね!」

「…そうね、仲良くしましょう。」

頑張ってそう声をかけたが、染井さんのリアクションは意外と薄かった。

少しだけ肩透かしをくらった気分になりながらも、何とか話を振ってみようと思ったが、隣のクラスから友人が来たようだった。

「華〜!…誰、あんた?」

「…えっと、苗字名前です。」

彼女の事は知っていた。香取葉子だ。

彼女も私と小学校が一緒だった。

覚えてなかったみたいだが。

「…へぇ、確かあんたって近界民に親殺されてボーダーで保護されたって子よね?」

「…葉子、やめなさい。」

「…っと、そうだけど?」

何だか香取さんから嫌なオーラが出始めた。それは憎しみと悪意が入り交じったような、そんなオーラだ。

どこから私の話を聞いたのか、どこまで私のことを知っているのか、不安で鼓動が早くなるのがわかった。

「へえ、良かったわね運が良くって。」

「…どうゆう事?」

「葉子、」

染井さんの制止も聞かずに香取さんは言葉を放つ。

「だってそうでしょ?あの侵攻で身内を失ったのはあんただけじゃ無い、なのにあんたはたまたまボーダーの偉い人の同情を買えたから保護してもらえたんでしょ?」

「葉子!」

怒ったのは私じゃなくて染井さんだった。

私は正論すぎて何も言い返せずに黙っているだけ。

佐鳥と時君が心配しているのが肌を使ってわかる。

タイミング良くチャイムが鳴って、皆が席に着いていく。

私も席に着いて、頭の中で反芻した。

「良かったわね運が良くって。」

そう言った時の香取さんのオーラが今も体中にまとわりついているようだった。