『わたしのおにいちゃん』
 

『今日はわたしの大好きな家族の話をします。

わたしにはお父さん、お母さん、お爺ちゃん、お兄ちゃんがいます。うちは林檎を育てて売っているので、わたしが暮らす家より、大きくて広い果樹園があります。家族五人で食べる分の野菜も何種類か家の脇で育てています。

お父さんはとても大きくて、熊みたいな人です。カゴ一杯の林檎を軽々抱えてしまう力持ちで、わたしはその力瘤にぶら下がって遊びます。

優しくて綺麗なお母さんはその様子をクスクス笑っていつも温かく見守っていてくれます。いっぱい遊んだ後お母さんの作るアップルパイを食べるのが大好きです。

お爺ちゃんはよくロッキングチェアに揺られながら新聞を読んでいます。とても厳しい人でいつも怒ったような顔をしています。お父さんはお爺ちゃんによく怒られています。

そしてお兄ちゃんは魔力を持った人で、ルイス魔法学園で勉強して、今は魔法を教えるすごい先生です。長いお休みの時にたまに帰って来て、わたしと遊んでくれます。

わたしとお兄ちゃんは十歳差です。
この夏休み、お兄ちゃんは去年の冬ぶりに帰ってきてくれました。
しかも今回は一人ではなく、おともだちと一緒にでした。
お兄ちゃんのおともだちはとーってもとーってもかっこ良くて、身長もすっごく高くて、優しい人で、わたしともいっぱい遊んでくれました。

お兄ちゃんたちは一日だけ泊まって次の日にはマッケンジのお家に帰ると言っていたのでわたしはお兄ちゃんとお兄ちゃんのおともだちにたくさんたくさん遊んでもらいました。

果樹園の横の庭で三人で追いかけっこをして遊んでしばらく、お兄ちゃんが少し一人で遊んでいてくれる?とわたしを残して二人は家の中へ入っていきました。
お兄ちゃんは真剣な顔だったのでわたしはちゃんと言うことを聞いて待っていました。


しばらく待っていると泣きながらお兄ちゃんが家から飛び出して来て、突然わたしを抱きしめました。お兄ちゃんの後ろにはお兄ちゃんのおともだちがいて、わたしは恥ずかしかったので離してほしかったのですが大人なのにわんわん泣くおにいちゃんが可哀想だったのでわたしは仕方なくヨシヨシしてあげました。
お兄ちゃんのおともだちはそれを笑って見ていて、わたしはどうしたらいいか分かりませんでした。

するとおにいちゃんはわたしに「家族が増えるよ」と言いました。わたしが「だれ?」と聞くと「おれ」とお兄ちゃんのおともだちが言いました。
お兄ちゃんのおともだちがわたしの家族になるの?どうして?いつ?とわたしにはいろいろハテナが浮かびましたがお兄ちゃんが泣きながら笑ってわたしをとにかく抱きしめるので、わたしはなんだかおもしろくなって一緒に笑いました。

お兄ちゃんのおともだちが私のお兄ちゃんになるのはとてもいいことです。なぜならかっこよくて優しいお兄ちゃんがもう一人増えて嬉しいからです。

そしてその日の晩ご飯はお母さんがいつもより美味しいごうかなご飯をいっぱい用意してくれました。お兄ちゃんのおともだちを交えての食事はとても賑やかでした。
お父さんとお爺ちゃんはたくさんお酒を飲んで、さらにお兄ちゃんのおともだちにたくさん進めてお母さんに怒られるほどでした。

お兄ちゃんのおともだちは次の冬にちゃんとしたわたしの家族の一員になるとお母さんは言っていました。
だけどわたしの中ではお兄ちゃんのおともだちは、もうわたしのお兄ちゃんです。

わたしにはステキな家族がいて幸せだと思いました。

ノノ・バルバーニ』




……

結婚の挨拶にきた二人を妹視点で。
このときシノ・ソー二十二歳。
ノノちゃん十二歳です。





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