ご先祖様
 

ヒトの祖先は猿だったというのは、数百年前までの常識。
四足歩行の猿が長い長い時を経て、二足歩行となり、言葉やコミニュティ、文化を持った。

中にはこの進化論を認めなかったヒトもいたと言うが何世紀もの時は移ろい世界は新しい進化を目の当たりにしたのだ。

進化したのはなにも猿だけでないとーーーー





「みけー、腹触らせて」
「たまくん…もう触ってるじゃない」
「ふへ、ふかふか」

シルバーダビーの猫耳をぴょこぴょこ横に向けて、大きく尻尾を揺らして気持ち良さそうに目を細めるのは御方(みけた)。同年代の男子と比べて少し膨よか気味だ。
みけ、と呼んでくる真っ黒な夜みたいな色の耳に、お尻と垂直にぴんと伸びた、耳と同じ色のしっぽを持つ玉野(たまの)にその腹をもみもみ手で揉まれ、抱きつかれ、手加減された力でつねられ、と現在好き放題されている。

彼らの遠い先祖は猫で、御方はジェントルジャイアントという愛称で親しまれたメインクーンの、玉野は黒猫の血を引いている為、体格や耳、尻尾にその特徴がよく表れていた。

猿を祖先に持つサル目ヒト科と比べると繁栄の歴史が未だ浅いネコ目ヒト科の人間、御方や玉野の体は進化過程途中であったりする。その為、サル目の人間ならばありえないその耳や尻尾、驚異の身体能力を兼ね備えているわけだ。
まだまだ遠い将来だろうが、ネコ目ヒト科も猫耳や尻尾が無くなってサル目らと同じようになくなっていくのでは、とその筋の専門家がよくテレビなどで話している。

そんな事を蚤の大きさほど気にもせず、御方と玉野、お互いをみけとたまと呼び合って二人は学校の昼休み、食事を終えてじゃれあっていた。


「みけの体は一生触ってれんねえ」
「デブで悪かったねえ」

そう悪態をつくも御方は玉野に触れられるのが好きだ。ふみふみ両手で腹をおされ、揉まれるのが。優しい手つきで、悪い気はしない。たまにいやらしく撫でて挑発してくる時もあるがそれはそれで可愛いのだ。

逆もまたしかりで、玉野も好き放題に御方の体を触るのが好きだ。特に二の腕と弾力あるおなかがお気に入り。二の腕にぎゅっとしがみついて頬を擦りよせながら腹を触る。
もみもみぷよぷよひたすら揉んでも飽きない、抱きつくもよしの御方の体を隙あらば玉野はいつでも触っていた。

「みけぇ。俺以外に触られちゃだめだかんね」
「たま以外に俺なんかを触るヒトなんていないよ。…あ、でも。たまも他のヒトにベタベタしたらだめだよ」
「あたまえー。…んう。みけはかっこよくて優しいから、しんぱいだ」

御方から自分以外のヒトと親密に関わろうとする事は決してないのでそこに不安はないのだが、逆はありえる。自分以外のヒトにべたべた触れられる御方を想像するだけで玉野は少し不機嫌になった。

実際、御方は顔貌の造形はそれなりに整っているものの肉付きが良すぎるせいでそれを少し台無しにしている部分がある。その為、玉野が心配するほど他の誰かに御方が言い寄られるということは全くと言っていいほどないのだが、そこは玉野の御方フィルターがかかっていた。

そしてもちろん玉野もそんなことを言うぐらいだから御方以外の人間に触れる理由なんてないし、触れるつもりすら全く無かった。

いくら昼休み中とは言え、教室内には幾人か生徒らも残っている。公衆の面前だという事も意に介さずネコ目の特有の行為、頸をすりすりと御方の腕、肩、背中、腹、触れられるところ全てに玉野はマーキングした。

「ふふ、みけは俺のものだよお」
「たまもだよ」

ネコ目だけに猫っ毛な玉野の黒髪を追うように御方も同じくマーキングで返す。

猫がやるのとヒトがやるのとでは少し訳が違う、ほんの微かに色を纏う行為だがクラスメイトたちは見慣れたその光景にもうなにも思わない。2人はある意味空気だった。


(ああ、あの2人?いつものことだよ)
(あれで付き合ってないんだって)
(あいつら見てたら付き合うって意味が分かんなくなるんだよなあ)





……

合法的(?)けもみみ。動物は猫が1番好きです。
そのうちイヌ目とかウサギ目とかも登場するんじゃないでしょうか





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