シャルとシズク
「俺がお前のために見つけてやる!」
「ハンゾー先生…」


***

「うわっ…」
「?どうしたの、シャル」
「なんか……寒気が…」
「?」

そう言って大袈裟に腕を擦る。
室内だが、別に冷房が効きすぎているわけでもない。変なシャル。
腕を擦りながら「なんか面白くないことが起きてる気がする…」と呟いた。変なシャル。

首を傾げながら死体を片付ける。
お前も来い、と団長に言われて参加した仕事だったが、まるで大したことはなかった。
そういえば団長どこいったんだろう。

腕を擦っていたシャルは突然ピタリ、と動きを止めて携帯を取り出した。
真剣な表情でじっ、と画面を見つめたかと思うと大きく息を吐き出した。

「俺、やっぱりセリのこと好きなのかな」

なんか喋りだした。
内容的に恋愛話みたいだけど、シャルの恋愛なんて物凄くどうでもいい情報だった。
まず、そのセリって誰?と思ったが正直それすらどうでもよかった。

「それ独り言?」
「一応シズクに話してるつもりだよ」
「なんであたしに話すの?」
「ほら、シズクならどうせ忘れて誰にも言わないだろうし」

失礼だね、と言いかけてやめた。
興味のない話は大抵忘れてしまうので確かにその通りだと納得してしまったからだ。

「なら床に向かって話せば?床ならどこにも行かないし、誰にも話さないよ。あ、鏡でも面白いかもね」
「遠慮しとくよ」

親切で言ったのだが、シャルは苦笑して断った。
一応、生きてる人間に聞いてもらいたいらしい。なんか結構めんどくさいなぁ。


結局、この日シャルとした話はあまり記憶に残らなかった。
シャルの好きな子の名前、なんだっけ?

[pumps]