9月1日
ダウトに参加するのは私とフランクリンとマチとシズクちゃんとシャル。
フェイタンとノブナガはウボォーさんの闘いを見ているらしい。特にノブナガはウボォーさんと仲が良いので気になるようだ。
戦闘を見たくない私やウボォーさんが勝つことを確信しているメンバーは、円を作ってじゃんけんで勝ったフランクリンから時計回りにカードを出すことになった。

「1」
「2」

フランクリン、マチに続いて順番が回ってくる。私は「3」と言いながらダブっていた8を出した。今ならダウトって言われても手元に来るカードは自分の8を含めて3枚で済むし、ゲームは始まったばかりなのでいくらでも挽回できる。
違うカードを出すならできる限り場のカードが少ない時がいいな。始まって三番目ということもあるのか私にダウトと言う人は居らず、そのままシズクちゃん、シャルと続く。

二巡目、今度は自分の出すべき8のカードを本当に出したが誰も宣言することなくそのまま過ぎ、三巡目になった。意外と皆慎重にゲーム進めるんだな。
出すべきキングがないので仕方なく9を出す。ダウトとは言われない。言われたのはシャルだった。

「ダウト」
「げっ」

フランクリンに言われてシャルが出したカードをひっくり返すと出すべき2ではなく6だった。手札が一気に増える。

「これでシャルの勝ちはないね」
「いやいや、まだ分からないでしょ?」

と言うが、皆は無視してカードを出し始めた。シャルが勝つためには本人含めて皆がもっと積極的にダウトしていく姿勢を見せないとキツいぞ。意外と慎重派が集まってるし。


「来たよ」

暫くして普通にゲームを楽しんでいた私達にフェイタンが言う。
その言葉に反応してフェイタンの見てる方へ顔を向けた皆につられ、私もそちらを見るとあれだけ居たマフィアは既に地に伏していた。
原型を留めていない人もちらほら居て、見ていられなくなって反射的に顔を背けた。ちなみにここまで全て素手による犯行である。

そーっとなるべく転がっている遺体を見ないように様子を窺うとただ一人立っているウボォーさんと謎の三人が対峙していた。
来たってあれ、あの三人?みんなの知り合い?いまいちよく分からずにフェイタン…はやめてノブナガに聞く。

「ねぇ、来たって何が?」
「んなもん、陰獣に決まってんだろ」
「いんじゅう?いや、そんな当たり前みたいに言われても…」

全く知らない、と続きを促すとノブナガが腕を組んだまま教えてくれた。

「十老頭の実行部隊だとよ。なんでも各組の武闘派を集めたとか」
「へぇ」

じゃあマフィアの最終兵器みたいなものなのかな?確かに遠目からでも異質な存在であることは分かる。
土の中からもう一人這い出てきたのを確認してから私はゲームに戻った。なんか明らかに人間とは思えない奴混ざってたぞ。

「陰獣は全部で十人。競売品を移動させたのもその内の一人の能力らしいぜ。8」
「ていうか、さっきウボォーが団長に言ってただろ、聞いてなかったのかい?9」
「さっきって気球乗ってる時にしてた電話?私景色眺めてた…10」
「まあ、さっきの構成員よりは確実に強いみたいだね。11」
「大丈夫かなウボォーさん」
「大丈夫でしょ。ダメだったら誰か行ってやればいいんじゃない。12」
「ダウト」
「げ」

マチに言われてシャルがカードをひっくり返す。出したのは4だった。

「すごいマチ、なんでわかったの?」
「勘」
「シャル、お前そんだけ手札多けりゃ12あんだろ。さっさと出せよ」
「ダブってたからさ。参ったな、また増えた」
「ビリは確定だね。シャルはダウト弱いから」
「やった、じゃあ私もシャルに勝てるかも」
「うわ、俺セリにだけは絶対負けたくない…」

場にあるカードを手札に加えながらシャルが言った。こいつ失礼にも程があるだろ。

「おい!ウボォーも本気だぜ」

ノブナガが言ったと同時に辺り一面に凄まじい衝撃が響き渡る。持っていたカードも吹き飛んでいった。

「えっ、何?何々?」

状況が飲み込めずに皆と同じくウボォーさんの方を見れば、彼を中心に地面が大きく抉れていた。何あれミサイルでも落ちた?

「気の毒に。跡形もねーぜありゃ」
「相変わらずすげー威力だな。超破壊拳」
「ぶっちゃけると念を込めただけの右ストレートなんだけどね、あれ」
「えっ、あれ殴って出来たの?」
「そうだよ。ま、ウボォーだから出来ることだけどね」
「そういやセリは見んの初めてか。お前も強化系なんだし、参考になるんじゃねぇか」

ノブナガが笑う。ちゃんとは見ていないが、抉られた地面でどれだけすごい威力だったかわかる。そしてそれはただの右ストレートで出来たのだ。
ウボォーさんレベルになると思いっきり念を集めれば殴っただけであのくらいの威力を出せるわけだ。例え人相手に使わなくても威嚇になる。

よし!私もあれパクろう。名前はビックバンインパクトUで決定だ!

[pumps]