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自分のターゲットを捜す、と言っても281番の顔がわからないので、結局先程と同様に他の誰かに私を見つけてもらうことにした。
今なら『幸せは歩いてこないチルチルミチル』の効果が続いているので何とかなるだろう、と鼻歌を歌いながら歩く。傍から見たらただのお散歩だ。
途中で良い感じの木の棒を拾ったので軽く振ってみる。縄跳びよりこっちの方が良い武器になりそうだと思い、木の棒にオーラを纏わせて素振りをした。不思議と手に馴染む。
その場で何度か素振りをしていると、私が木の棒で風を切る音以外に、何かが木の葉を掠める音が耳に入ってきた。素振りをする手は止めずに顔を上げると小さな物体がこちら目掛けて飛んできた。

「あっ!打っちゃった!」

眼前に迫る危機を回避するため飛んできたそれが何なのか理解する前に反射的に打ち返す。私が振った木の棒に当たって思いっきりファールになった謎の物体は、そこまで飛距離を伸ばすことなく地面に落ちた。なんだなんだと落ちた場所を確認するとそこには一枚のプレートがあった。197番のプレートだった。
197番といえば、三兄弟の受験生の一人である。どういうことだ?と状況が理解できずに首を傾げる。
すぐに円を広げてみるが、この辺りには誰もいないし、これから来る気配もない。197番本人が自分のプレートを隠すために投げたのかと思ったが、それにしてはめちゃくちゃな方法だ。私に拾われた時点で終わってる。
ということは本人ではなく197番のプレートを奪った他の誰かが投げたのだろうが、何故そんなことをするのか理解できなかった。プレートを集める試験なのに取ったプレートをわざわざ投げ捨てる意味がわからない。まあ、貰うけど。
拾ったプレートをさっさと靴の中に隠す。これで右足には私の番号、左足には197番のプレートが入った。歩きづらいけどハンター試験に受かるためなら大した問題じゃない。
やっぱり『幸せは歩いてこないチルチルミチル』は良い能力だな、とほくほくしながらその場を離れる。労せずプレートを得てしまった。



合計4点分のプレートを手にした状態で私は三日目の朝を迎えた。念能力の発動はとっくに切れていて、ここからは私の本来の実力だけでやっていかなくてはならない。朝食をとりながら先のことを考える。少しだけ不安になったが、すぐにその気持ちを打ち消すように頭を左右に振った。
大丈夫、念能力に頼らずとも私は元々それなりに運の良い人間だ。運が良かったから兄だか弟だかではなく私が育ての父に選ばれた。
義父は色んな国を回っては“素質”がある子供に目をつけ、その中の一人だけを自分の後継者として引き取ろうと時間と手間をかけて候補者達を選別していた。最後の最後まで候補に残ったのが私と私の兄弟で、私が選ばれたのは『同じ年頃の女の子と男の子なら、大抵の人間は女の子を相手にする方が油断するから』という理由らしい。そんなどうでも良い理由で私は義父に引き取られた。
義父はとんでもなく厳しかったし別に可愛がってもくれなかったけど、めちゃくちゃお金を持っていたから大きなお家に住めたし、上等な肉を食べて上等な服を着れたし、普通の子供じゃ絶対に出来ないような体験を沢山させてもらったので私は運が良かったなと思った。別に元々生活に困っていたわけじゃなかったから、仮に私ではなく兄弟が選ばれていても私は一人で普通に楽しく暮らしていたはずだ。
私はそれでも平気だったけど、兄だか弟だかはどうだろう。楽しく暮らせているだろうか。
ふと、顔も名前も覚えていない兄弟のことが気になった。反社会的勢力とかに属していないと良いけど。


***

誰かいる。
昼を過ぎた頃、偵察のつもりで歩いていたら遠くに人を見つけた。地面に横たわっていて、ぴくりとも動かない。
死んでいるのか?と目を凝らして様子を窺う。暫く待っていると、その人は僅かに動いたように見えた。
そっと近づく。段々はっきりと姿形が見えてきたその人は、私のよく知る人物だった。

「ゴン?」

倒れているのがゴンだと分かった時、思わず彼の元へ駆け寄りそうになった。しかし声をかける前に確認しておきたいことがあったので、見つからないように距離を保ったまま円を広げる。
ゴンは身体の自由が効かないのか、地面を這うように進んでいた。じっ、と見ていなければわからないほど僅かで、気が遠くなるような進み方だった。怪我でもしているのだろうか。ここからでは表情はわからないが、彼の心情を考えると気の毒に思った。
円で周囲を探る。監視役の協会員以外、特に人の気配はなかった。ゴンが囮に使われている可能性があったのですぐに傍へ行くことができなかったが、この分なら問題なさそうだ。
と、判断するにはまだ早い気もしたが、居ても立っても居られず立ち上がる。右左右の順で左右の安全を確認した後、小走りでゴンの元へ向かった。

「ゴン、大丈夫?」

地面に膝をつき、顔を覗き込む。絶対に大丈夫なわけないが、こんな時かける言葉が他に見つからなかった。
右頬を腫らしたゴンは、目だけ動かして私を見ると「シグネ」と震える声で呟いた。

「オレ、オレさ……」

大粒の汗をかきながら眉を寄せたその表情は、苦しんでいるようにも悔しがっているようにも見えた。うん、と相槌を打ちながらゴンの状態を調べる。右頬以外、特に外傷は見当たらなかった。
首を傾げる私に、ゴンは「毒矢でやられた」と途切れ途切れに教えてくれた。この症状は私にも覚えがある。筋弛緩剤辺りだろう。
私もゾルディック家でこのタイプの毒にやられた時は椅子から転げ落ちた状態から動けなかったので、固くて冷たい床の上でそのまま寝かされ(放置され)ていたが、通りがかりのミルキに踏まれたりしつつも大人しくしていたらいつの間にか治った。だからゴンも暫く寝てれば治るだろう。多分。
ここは見晴らしが良すぎるので移動しようとゴンの身体を持ち上げる。重くはなかったが、自分とそう変わらない身長の相手を運ぶのは初めてだったので少し大変だった。
尾行に注意しながら自分の拠点まで戻り、ゴンを樹洞の中で寝かせる。なんだか自分の部屋へ遊びに来てもらったような気恥ずかしさがあった。お茶とかお菓子とか出さなきゃだよね、とそわそわと落ち着かない私に、仰向けに寝かされたゴンは目を細めると掠れた声で「ありがとう」と言った。きっと喋るのも辛いと思うので、樹洞の外に出て見張り役に徹する。ゴンは時折苦しそうな呻き声を上げた。

日がすっかり暮れた頃、水しか口にしていないゴンのために木の実を差し入れた。まだ動けそうになかったので代わりに少量ずつ手に取り、様子を見ながらゴンの口に入れる。
ゴンは暫く普通に食べていたが、一度咳き込むと胃の中身が逆流してきたらしく盛大に吐いた。吐瀉物が喉に詰まるとまずいと思い、身体を動かして回復体位を取らせる。これで窒息の心配はないだろう。
食べ物はまだ早かったか、とボディバッグからティッシュを取り出し、ゴンの口元を拭く。服も汚れていたので一旦上着を脱がせた。
一通りの処理をした後、洗ってくるねと声をかけてから汚れた上着を持って水場へ向かう。自分以外の誰かの服を手で洗うなんて初めてだ。ゴンのお陰で新しい体験が出来たな、と自分が人としてまた一つ成長する切っ掛けを与えてくれたことに感謝する。
洗った上着を木の枝に干してから樹洞に戻るとゴンは小さな寝息を立てていた。やっと眠れたらしい。帰り途中に見つけて摘んだ白い花をそっとゴンの近くに置いた。特に医学的な意味はなく、花を見ると心が休まるかと思って持ってきたのだが、なんだか死んだような感じになってしまった。




「シグネ」

樹洞の前でうとうとしていたら後ろから名前を呼ばれた。ハッとして顔を上げる。空は白み始めていた。
振り向くとゴンは少しだけ身体が動くようになったらしく、上半身を起こしていた。

「ごめんね、シグネ」
「何が?」

突然の謝罪の意味が分からず聞き返す。大分喋れるようになったゴンは「シグネに、迷惑をかけたから……」と目を伏せた。

「私は別に、そうは感じなかったけど」

と答えながら、私はこの時初めて『ゴンを助けて一体何の得になるのか』と考えた。
この様子じゃプレートだって持っていないだろうから、イルミのように手間賃としてプレートを要求することも出来ない。でもそんなことは地面を這って進む彼を一目見た時から分かっていたはずだ。
“自分の得にならないことはするな”という育ての父の教えを忘れたわけではない。しかし私は今の今まで、損得勘定抜きでゴンを介抱していた。いや、介抱ってほどのことはしてないか。

「オレのターゲット、ヒソカだったんだ」

ゴンは目を伏せたまま言った。めちゃくちゃ運が悪いな、と思った。

「じゃあヒソカさんにやられたの?」
「顔はね。毒矢は他の奴……」

思い出しているのかゴンは悔しそうに顔を歪める。地面につけている右手に力が入ったのがわかった。
まだ全快した訳ではなさそうなので、詳しいことは聞かずに「もうちょっと寝たら?」と返す。

「まだ三日あるし、ヒソカさんよりプレート取りやすい相手なんて沢山いるんだからさ」
「あ、オレ、プレートはもう6点分持ってるんだ」
「……え、ヒソカさんのプレート取ったの?」

まさかと思って聞くとゴンは何とも形容し難い微妙な表情を浮かべて小さく頷いた。すごい、ボロボロになりながらもちゃんと結果を出してる。

「ごめん。私、ゴンのことナメてた」

今度は私による突然の謝罪に、ゴンは「へ?」と目を丸くした。
正直に言って私は、ゴンのことを警戒するほどの相手ではないと思っていた。一対一なら念を使える私の方が強いだろう。その認識自体は今も変わらない。
でも私は何があってもヒソカさんを相手に戦う気は起きないし、プレートを取ることもできない。ゴンは私に出来ないことを二つもやり遂げた。
思わず「すごいね」と感嘆の声が出る。ゴンは眉を寄せて「すごくない」と言った。

「……全然……ダメだったよ……」

いつもの元気な姿からは想像もつかないような弱々しい声でゴンはそう呟いた。何が起きたか知らないが、どうやっても『プレート6点分集まったよ!やったね!』みたいな気分にはなれないらしい。精神的にかなり参っているようなので、もう一度「寝たら?」と伝えた。
ゴンは何も言わずに小さく頷いた。私を信用してくれているようで、すぐに規則正しい寝息が聞こえてくる。
起こさないようにそっと立ち上がり、上着が干してある木へ向かう。気候が安定しているおかげか、なんとか乾いたようだ。上着を回収し、元の場所に戻る。
ゴンが眠っていることを確認してから上着を彼の身体にかけ、音を立てないようにこっそり出発した。私がいるとゴンが気を遣ってしまう。本当はもっと感情を曝け出したかったはずなのに、私の前だから隠しているように見えた。
悪いことをしたな、とため息をつきながらゴンから離れようと適当に歩く。人のことより私は早く自分の分のプレートを手に入れないといけない。

***

新たな拠点を作るべく探索していると小さな川を見つけた。これは良いと手を突っ込む。水って気持ちいい。
喉が渇いていたので早速掬って飲む。この辺りを拠点にしたいが、こんなに分かりやすい水場があれば既に誰かが張っていてもおかしくない。円を広げて確認するといきなり誰かが私の背後を取った。

「や、奇遇だね」

その声が耳に入った瞬間、総毛立つ。咄嗟に臨戦態勢を取った私より、相手の動きの方が早かった。

「わっ……!」
「シーッ、静かに」

と言いながらヒソカさんは活きの良い私の口を右の手のひらで覆った。
殺意も何も感じないというのに、たったそれだけの動作で私はすっかり抵抗する気をなくした。対面してすぐ分かる。ダメだ、私じゃこの人には勝てない。
口を塞がれたまま「静かにできる?」と聞かれたので冷や汗をかきながら頷く。ヒソカさんは少し間をあけてから手を離してくれた。

「な、何……?」
「何ってほら、大きな声を出すと他の受験生に見つかっちゃうだろ?」

違う、聞きたいのはそこじゃない。
などと気安くツッコめる間柄ではなかったので「そうですね……」と小さく頷く。

「あの、何の用ですか?」
「用がないと声を掛けちゃいけないのかな?」

この人、怖っ……。
ヒソカさんは別に怒ってないし、殺気も何も感じなかった。何ならちょっと機嫌が良さそうにも見える。
それでも私は彼が怖かった。それは彼が少し変わっていて、皆が警戒する危ない受験生だからではなく、単純に背が高くて対面すると圧倒されるからだ。
彼は自分が一般的に見てもかなりの長身であることを知らないのだろうか。私のような子供の目に自分の姿がどう映るか分からないのだろうか。分からないから平気で話し掛けて来るんだろうな、と思った。
こんなに広い無人島で、絶対に会わないよう気をつけていた人とピンポイントで遭遇してしまうなんてツイてない。『幸せは歩いてこないチルチルミチル』は偉大だった。

「試験の進捗はどう?」
「ぼちぼちです……」

覇気のない私の答えにヒソカさんは、ふむ、と思案顔を見せた。

「ヒソカさんこそ、どうなんですか?」

この人は自分のプレートをゴンに奪われている。仮にターゲットのプレートを手にしたとしても合格にはまだ三点足りない。
絶対に彼の前では靴を脱がないようにしないと……とドキドキしながら答えを待っているとヒソカさんはにんまりと笑った。

「うん、ばっちり。もう6点分集め終わったよ」
「!?う、嘘だ……!」
「ホントだよ」

疑いの目を向けるとヒソカさんはほら、と彼にとって計6点分となる四枚のプレートを見せてきた。

「と言ってもボク一人の力じゃないんだ。色々助けてもらってね」

私はヒソカさんが持つプレートの番号を見て、ぎょっとした。この人、281番のプレート持ってる。
驚きすぎて少年漫画の主人公みたいなことを言い出したヒソカさんの話に突っ込むことが出来なかった。彼と出会うこと以上の不運などないと思ったが、あっさり更新された。私は自分で思っているより運が悪いのかも。
意外と他人の心の機微に聡いヒソカさんは、私の様子にすぐ気が付くと「もしかして、欲しい番号があったかな」と目を細めた。この場合どうするのが正解だろう、と必死に考える。ものすごく迷ったが、このチャンスを逃すわけにはいかないと判断し、意を決して口を開いた。

「あの、実は私、自分にとって1点にしかならないプレートを持っていまして」

言いながら絶対に脱がないと決めた靴を脱ぐ。徐ろに靴の中から197番のプレートを取り出した私に、ヒソカさんは「良い隠し場所だね」と言った。

「一つお願いがあるんですけど、このプレートをヒソカさんの持つ281番のプレートと交換してもらえませんか?」
「なるほど、そうすれば君は6点分集め終わるわけか」
「流石、理解が早い」

瞬時に私の狙いを理解したヒソカさんに敬意を表してぱちぱちと手を叩く。
ヒソカさんは「う〜ん。君、可愛いから助けてあげたいんだけど……」と悩ましげに言った。

「やっぱりタダってわけにはいかないよねぇ」
「まあ、そうですね」

自分で持ちかけた話だが、ヒソカさんへのメリットが全く無いので当然の反応だと頷く。こんなのライバルを増やすようなものだ。愛嬌だけで何とかなるほど、世の中そんなに甘くない。
今いくら持ってたかな……、とボディバッグから財布を取り出すとあまりに予想外な行動だったのかヒソカさんは「えっ」と本気で驚いているような声を出した。

「ボクが子供相手に金を巻き上げるような奴に見えるかい」
「見えはしないですけど、私にはお金以外で差し出せるものがないので…」 

財布を開く。ミザイストムに持たされたカードを渡すか迷っていると頭上から「お金以外にもあるじゃないか」という声が降ってきた。顔を上げるとヒソカさんはいつもの愉しげな表情とは違う、何とも言い難い顔で私を見ていた。

「シグネって本名じゃないんだろう?じゃあ本当の名前はなんて言うんだい?」
「そんなの知ってどうするんですか?」
「ただの興味だよ」

ただの興味で私の本名を知って何になるというのか。彼の意図が掴めず戸惑う。

「教えてくれたら、このプレートは渡すよ」

ヒソカさんは281番のプレートを私に見せながら言った。破格の条件だ。その程度で合格に必要な6点分のプレートが揃うなら名前くらい教えてもいいだろう。死ぬわけじゃないし。
少しだけ迷ってから「…誰にも言わない?」と聞いたらヒソカさんは「言わない」と口角を上げた。嘘臭いと思ったが、今の私は彼を信じるしかなかった。
屈んで、とお願いするとヒソカさんは素直にその場に身を屈めた。人がいないことを確認してから彼の傍に近づき、この先二度と使うことのない名前を耳打ちする。

「………うん、思った通り。君にぴったりの名前だね」

ヒソカさんは興味本位で聞き出したとは思えないほど真面目な顔で言った。

「内緒にしてくださいよ」
「もちろん。約束は守るさ」

頷きながらヒソカさんは「こっちもね」と281番のプレートを差し出してきたので、私も197番のプレートを渡す。無事に交換が成立し、私はあっさりと合格に必要な6点分のプレートを手にすることができた。

「ご親切に、ありがとうございます」

本名を教えてターゲットのプレートを貰うなんて、どう考えても釣り合いが取れていなかったのでしっかりと頭を下げる。これは完全に彼の厚意によるものだ。
ヒソカさんは受け取った197番のプレートで口元を隠しながら「どういたしまして」と目を細めた。

「どうしてボクが君に優しいかわかるかい?」
「…………………」

ロリコンの人だから……?
とは口が裂けても言えなかった。そんなこと本人に言えるわけがない。でもこの人多分、大人の中に時々いる『年下じゃなきゃダメ』ってタイプの人なんだと思う。それ以外に説明がつかない。いや、違うかもしれないけど、それなら何だ?私が義父から相続した遺産狙い?でも、そんなことを彼が知っているわけない。となると私の中ではロリコン説が最有力だった。
気の利いた返しが出来ずに黙り込んだ私をじっと見つめながらヒソカさんは口を開いた。

「どんな人間でも無償の愛を注ぎたくなる存在はいるだろう?」

やっぱりロリコンっぽいな。

「ボクにとって君がそうなんだ」

この言い方、恐らくロリコンだ。

「君は唯一無二の存在だからね」

もう絶対にロリコンじゃん。
ついに確信し、一歩後退る。ヒソカさんは私の一挙手一投足を観察していた。逃げるのは難しそうだ。キッズ用携帯の防犯ブザーを鳴らすべきか迷う。他の受験生に自分の位置を知らせることになるが、最悪の事態を避けるためには第三者が来てくれた方が良い気がしてきた。
監視役の協会員が隠れていると思われる方向をちら、と見てから、とりあえず刺激しないように「う、うん……」と頷くとヒソカさんはどこか嬉しそうな笑みを浮かべた。

「わかってくれてよかった」
「はい、私のこと恋愛対象として見てるんですよね」
「違うよ」

違うんかい。

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