06
常人離れした嗅覚を駆使して『レオリオがつけている香水の匂いを辿る』という離れ業で二次試験会場までやってきたゴンは、建物の中に入らず外で待機している受験生の様子に首を傾げた。
キルアがゴンを建物の前まで連れて行き、扉の上に書かれた文字を見せながら説明する。それを横目に、私はレオリオに怪我の具合を尋ねた。
「というか、何が起きてこんなことになったの?」
「それが湿原に入った辺りから記憶がはっきりしなくてよ。オレにもわかんねーんだ」
レオリオはゴンが届けてくれたトランクを開くと替えのシャツを着ながらそう答えた。事情を知ってそうなクラピカに視線をやると彼は「う、う〜ん……」とちょっと微妙な顔をしてから言いにくそうに口を開いた。
「私も見ていたわけではないから詳しくはわからないが……あの湿原には変わった動植物が多く生息しているからな。きっとそのうちの一つにやられたんだろう」
「こんながっつり殴ってくる動物いたんだ……怖いね……」
想像してゾッとする。こんなに顔が腫れ上がるなんて、物凄い力だ。私はヒソカさんと遭遇した程度で済んだが、やはりサトツさんのお話通りあの湿原は相当危険な場所だったらしい。レオリオも未知の生物の姿を思い浮かべたのか「マウンテンゴリラみてぇのが居たのかもな……」と眉を寄せた。クラピカはまた「う、う〜ん……」とちょっと微妙な顔を見せていたが、結局何も言わずに頷いた。私はレオリオを襲った動物に遭遇したのが自分ではなかったことに安堵の息をつく。
「私は動物苦手だから遭わなくて良かった〜」
「動物が得意とか苦手とかそういう問題ではないと思うが………まあ、シグネは怪我が無くて良かった」
クラピカは妹を見守る兄のような優しい眼差しを向けてくれた。私も自分に怪我がなくて本当に良かったと思っていたので「うん!」と元気に頷くとクラピカとレオリオは笑った。
試験開始となる正午まで残すところあと一分。外で待つ受験生達の間には、次第にピリピリとした空気が漂い始めた。
「……周りが緊張してきたな」
「何が起きるかわからないからな」
という二人の横で、私も静かに待つ。運動したからお腹が空いたなぁ、と思っていると時計の針が同じ数字でぴったりと重なり、建物の扉が音を立てて開いた。
現れたのはソファーに腰掛けた若い女性とその後ろで座っている大柄なんてレベルじゃない体格の男性。男性が規格外のサイズなので女性が随分小柄に見える。
「どお?お腹は大分空いてきた?」
「聞いての通り、もーペコペコだよ」
女性の問いに、男性がお腹に手を触れながら答えた。先程から絶え間無く聞こえてくる猛獣の唸り声のような音は、彼のお腹が鳴る音だったらしい。
フランクなやり取りを交わすと女性は私達をまっすぐ見て「そんなわけで二次試験は料理よ!」と言った。
「美食ハンターのあたし達二人を満足させる食事を用意してちょうだい」
まさかそんな課題が出されるとは思わず、ぱかっと口が開く。それは他の受験生も同じでそこら中から「料理!?」と驚きの声が上がった。
二人は動揺する受験生達の顔を眺めながら試験の詳しい説明を始める。まずは男性試験官が指定する料理を作り、そこで合格した者だけが女性試験官の指定した料理に挑めるそうだ。二人から合格を取れれば二次試験突破という、二部制のような試験になっているらしい。ちなみに二人がお腹いっぱいになった時点で審査は終了となるので、単純な料理の腕前だけでなく手際の良さも求められる。
私の横でレオリオが「くそォ、料理なんて作ったことねーぜ」と呟いた。ハンター試験を受けに来る受験生の殆どは武道家のおじさん達なので、料理などパンをトースターで焼くかコーンフレークにミルクを注ぐくらいしかできないだろう。偏見かもしれないが周りの反応を見る限りそこまで見当外れでもないはずだ。
課題となる料理次第で受験生の数は一気に減るだろう。受験生達の間に再び強い緊張感が走る中、男性試験官が腹の音を響かせながら「オレのメニューは」と口を開いた。
「豚の丸焼き!オレの大好物」
試験官がキラキラと目を輝かせながら発表した料理名が思っていたよりも単純なものだったからか、数人が安堵の表情を見せる。しかし私は豚の丸焼きを作るために必要なものがどこにも準備されていないことに気が付き、この先の試験官の言葉を予想して一人冷や汗をかいた。
「料理に使う豚だけど、森林公園に生息する豚なら種類は自由」
私の予想通りの言葉が聞こえてくる。やっぱり。やっぱり豚は自分で捕まえないといけないんだ。他の受験生が森へ視線を向ける中、私は口元を手で覆った。
「それじゃ二次試験スタート!」という試験官の合図で皆一斉に森へ向かって走り出す。とりあえず私も足を動かした。ブタ、ブタ、と呟きながら森を探索する皆のあとを追いながら考える。どうしよう。私、動物に触れない。
困りながら森を進んでいくと私達の倍以上はある巨大な豚の大群を見つけた。普通の豚と違って、やけに鼻が大きい。豚はこちらに気が付くと、勢いよく突進してきた。慌てて手近な木に登る。逃げ遅れた受験生が巨大な鼻に押し潰された。
動物は苦手だ。可愛いとは思うし、嫌いでもないけど犬にもハムスターにも馬にも触れない。死んでる動物なら大丈夫だけど、生きている動物は何をしてくるかわからないので怖い。
そもそも何故私が動物に苦手意識を持つようになったのか、ハッキリとは覚えていないが薄っすらとした記憶の中に、顔が細長くて手足の長い、ボルゾイに似ているがそれよりもずっとずっと大きな犬の姿があった。
確か名前は……ミケ。そう、ミケだ。可愛いのは名前だけで本当に悪魔のようだった。気のせいじゃなければ普通に人間を食べていた気がする。人類の敵だ。
そのミケは、どこかの大きなお家で飼われていた番犬だった。あまりにも大きなお家だったので、私は敷地内で迷子になり、たまたま遭遇したミケに追いかけられたことがあった。
その家の子供(男の子だった)が迎えに来てくれたので事無きを得たが、ミケとの追いかけっこは生きた心地がしなかった。男の子は怯える私に「ミケは遊びたいだけなんだよ」と言っていたが、ミケは私を見てダラダラとヨダレを垂らしていたので絶対に嘘だと思った。私が食い殺されたら責任取れるのか?と思った。私が動物に触れないのはきっとそれが原因だ。
とはいえ、いつまでもこうしている訳にはいかない。
流石あのマラソンを突破してきただけあって、大抵の受験生は豚に怯むことなく的確に弱点を見抜いて苦戦することなく仕留めている。そのうち何人かの受験生は既に焼く工程へと進んでいた。一応試験官が“美味しい”と言ったら合格になるはずだが、素人が作る豚の丸焼きの味に差が出るとは思えないし、そもそも満腹になってしまったら審査すらしてもらえない。メニューが簡単な以上、今回は実質先着順だ。
木の上から受験達の様子を窺う。一際目立つハゲ頭を見つけた。あの人は隙がなくて強そうだから駄目。他を探すと私に絡んできた三兄弟を見つけた。あの人達はずっと一緒に行動してるから駄目。
木から木に飛び移り、場所を変える。すると他の受験生から離れた位置で、一人で豚を焼いている受験生を見つけた。あれだ。きょろきょろ辺りを見回し、誰もこっちに来ないことを確認してから“はぐれ”受験生の背後に忍び寄る。
こちらに背を向け、豚の焼き加減をチェックするはぐれ受験生の姿は一次試験を突破したとは思えないほど無防備だった。絶を使わなくても気付かれないのは、それだけ目の前の作業に集中しているからか、普通に鈍いからか。
まあ、一次試験なんて所詮はただのマラソン大会。足が速くて体力があればクリアできる程度の試験だったから、まだまだ実力的に足りてない人が残っているんだろう。
背負っているボディバッグを外し、両手で持つ。周を使ってオーラを纏わせればこれも立派な鈍器だ。
じりじりと近づき、十分距離を詰めてから、はぐれ受験生の頭部目掛けて「ヤーッ!!」と背後からボディバッグで殴りかかる。
ゴッ!という鈍い音と共にはぐれ受験生は一言も発さずその場に倒れた。死んでないかな?と脈を取り、生きていることを確認してから、こんがり焼き上がった豚を拝借してずらかる。やったー、大成功!
ほくほくと豚を担いで試験官の元へ戻る。他の受験生から奪っちゃダメなんてルールは聞いてないし、ハンター試験は受験生同士の諍いも全然オッケーってサトツさんが言ってた………いや、オッケーとは言ってないけど、受験生の間で何が起きても試験官は基本ノータッチのはずだ。やはり暴力。暴力は全てを解決する。
試験官がいる建物の前まで戻ると既に審査は始まっていて、順番待ちの列が出来ていた。てっきり一口だけ食べて終わりだと思ったら、男性試験官は差し出された豚の丸焼きを「うまいうまい!」と言いながら物凄い勢いで完食していった。大変、出されたものは残さず食べる派の人だ。
出遅れたかとハラハラしながら待っていたが、ラーメン屋の行列より進みが早く、男性試験官は私が持ってきた豚の丸焼きを「これもイケる!」と笑顔で完食してくれた。超人的な胃袋を持つ人で助かった。
審査を終えて端によるとゴン達も無事に通過したらしく、私の名前を呼びながら笑顔で手招いてくれた。皆で固まって残りの審査を見守る。試験官の食べっぷりに、もしかして全員受かるんじゃないか?と思ったが、流石に彼の胃の容量にも限界があり、71頭もの豚の丸焼きを平らげたところで審査終了となった。
「あんたねー、結局食べた豚全部美味しかった!って言うの?審査になんないじゃないのよ」
呆れた様子の女性試験官にこっそり頷く。本当にただの先着順だった。
近くにいるゴン達と結構簡単だったね、と笑い合う。始まる前より私達合格者の気が緩んでいるのを感じ取ったのか、女性試験官は「あたしはブハラと違ってカラ党よ!」と宣言した。
「二次試験後半、あたしのメニューはスシよ!」
少しの沈黙の後、受験生達は顔を見合わせ、首を傾げた。
“スシ”ってなんだろう。聞いたこともない料理だ。分からないのは私だけでなく、ゴンもキルアも「スシ……?」と不思議そうに呟く。
そんな私達に女性試験官は「ヒントを上げるわ!」とずっと入れなかった建物の中へ入るよう促した。
中には調理台がずらりと並んでいて、それぞれに調味料や包丁など料理をするために必要なものが揃えてあった。
「スシに必要不可欠な“ゴハン”はこちらで用意してあげたわ」
女性試験官が言う。スシとはライスを使う料理である、ということだけがわかった。
さらに最大のヒント“ニギリズシ”という謎の単語が伝えられた後、試験官の合図で後半戦がスタートした。各々適当な調理台につくと用意されたものを眺めながらスシとやらについて考える。
「ライスだけで作るのかな?」
「道具とか見ると他にも何か使いそうだぜ」
ゴンとキルアがそう言っている横で私は調理台の下にある調理器具をチェックした。シンクの下の棚を開けるとフライパンが入っていたので何となく取り出す。
一部の調理台にだけコンロがついていた。加熱調理も出来るようだが、普通は公平を期すため全てにコンロを設置するはず。コンロがない調理台の方が多いということは、スシとやらは火を使わずに作れる料理なんだろう。そんなのコーンフレークしか思い付かない。
三人でう〜ん?と頭を悩ませていると隣の調理台にいたレオリオが「魚ァ!?」と大きな声を出した。周りの受験生達が素早く外へ飛び出す。
「あいつ声でけーな」
「えっ、魚使うの……?」
「キルアとシグネも行こっ!」
戸惑っているとゴンに手を引かれる。慌てて調理台に用意されていた包丁を一本手に取り、外へ出た。スシは魚料理だったらしい。
皆に続いて川を探すと色んな魚が泳いでいた。持ってきた包丁をモリ代わりにして捕ろうとする私を見かねたゴンが竿で釣った魚を何匹か分けてくれた。
建物まで帰る途中、ぐう、とお腹が鳴る。マラソンが終わった辺りからずっとお腹が空いていたが、食べる時間も食料もなく我慢し続けていた。
だが、今は料理の試験中。調理台も調味料も調理器具もライスもある。味見と言ってこっそり食べていても怒られないだろう。
しかしメインとなる食材は魚しかない。魚はあまり好きじゃないな……とため息をつく。ゴン達と建物の前まで戻ってきた時、私の視界にあるものが映った。
それは試験官のブハラさんがお腹いっぱいになってしまい食べられなかった豚の丸焼きの残りである。まだ片付けずに外に置いてあった。こ、これだ!
ゴン達を先に帰し、いそいそと豚の丸焼きに近寄る。ハンター試験で残飯を漁る今の私の姿を見たらミザイストムは何を思うだろうかと少し不安になったが、それよりも空腹が勝ったので包丁で豚肉を切り取る。残飯といっても口をつけてないからセーフだろう。
肉の部位などよく分からないので適当に切りやすいところを切る。私が選んだ豚は、よく見ると中に火が通っていなかった。恐らく強火で表面だけ焼いてそのまま持ってきてしまったんだろう。これじゃ食べてもらえても結局不合格だったろうな、と思った。その代わり育ち盛りの私の腹を満たすことが出来るので喜んでほしい。
豚肉を持って中へ戻ると受験生達は捕ってきた魚を前に悩んでいた。必要な食材はわかったが完成形がわからないのだ。
一人くらい合格者が出ているかと思ったが、この調子なら暫くは大丈夫そうだ。私も焦らずゆっくり食事をすることが出来る。
皆が魚と睨み合う中、私は一人まな板に豚肉を乗せた。食べやすい大きさにカットし、油を引いたフライパンに入れて火にかける。
肉の焼けるニオイと音に、周りの視線が集まっていくのを感じた。私の調理風景を目にした受験生達が「焼くのか……?」とボソボソ話し合っている声が聞こえてくる。焼かないよ。これはスシじゃなくて残り物の豚肉を使った賄いだよ。
そういえばタレを作らなきゃ、と思い出し、フライパンを火にかけたまま一旦離れる。調理台の下からボウルを取り出し、調味料を混ぜ合わせているとゴンとキルアが傍に寄ってきた。
「あれ、魚使うんじゃないの?」
「お前何してんの?」
「まあまあ、黙って見ててよね」
ふふん、と得意げな顔で調味料をフライパンに入れようとした時、バチッとコンロの火が燃え上がった。
やばい、と思った瞬間、豚肉の油に引火したのかフライパンから凄まじい炎が上がる。咄嗟にフライパンの持ち手を掴んでコンロから遠ざけると火は自然と消えた。ゴンとキルアがびっくりした顔で「おおーっ!!」と感嘆の声を上げる。
「すっげー!料理人がよくやるやつじゃん!」
「ふ、ふら……、なんとかってやつだよね!すごいやシグネ!」
「ま、まあね!!」
ドキドキしながら片手でコンロの火を消す。びっくりした。油が多すぎたのか、火が強すぎて高温になっていたのか、危うく火事になるところだった。
すごいすごい!と手を叩くゴンとキルアに動揺を悟られないよう笑って誤魔化すが、一部始終を目撃していたらしいレオリオは「つーか今の普通に炎上しただけじゃねーか?」と見抜いた。流石は大人だ。鋭い。
「ちょっとそこ!あたしの試験でボヤ騒ぎなんてやめてよね!」
騒ぎを聞きつけたらしい女性試験官が注意に来る。彼女はフライパンの中身をちらっと見ると「てかなんで豚肉炒めてんのよ……」とぼそっと言った。これは今日の賄いですとは言えなかったので「私の思う“スシ”を全力で作ってます!」と力強く答えた。
真っ直ぐ目を逸らさずに答えたのが良かったのか、女性試験官は色々思うところはありそうだったが他の受験生へのヒントになってしまうからか口には出さず「ホント気を付けなさいよね〜!」とだけ言って元の場所へ戻っていった。助かった。
「シグネ、火は危ないからコンロを使用する時は慎重にな」
「わ、わかってるよ。大丈夫だから……」
火から下ろしたフライパンに調味料を入れているとクラピカまで傍にやってきてそう言った。なんか恥ずかしくなってきたから私の周りに集合しないでほしい。
口を尖らせる私の反応が気に入らなかったのかクラピカは本当にわかっているのか?と疑わしそうな目を向けてきた。
「……よし、心配だから次に火を扱う時は呼んでくれ。私が監督する」
「大丈夫だってば!ミザイストムみたいなこと言わないでよね」
「誰だそれは」
クラピカの発言に、ハンター試験出発前、昼食を作ろうとキッチンに立った私をずっと後ろで見守っていたミザイストムの姿を思い出す。顔も雰囲気も服のセンスも似ていないが、性格は似たところがある二人だ。
知らない名前が出てきて困惑するクラピカに「シグネのおじさんだってさ」とキルアが代わりに答えた。クラピカってクラス委員長みたいな人だな、と思いながら再びフライパンを火にかける。
甘辛いタレで味をつけた豚肉は、若干焦げていたがとても美味しそうだった。ぐう、とお腹が鳴る。
「それで、これをどうするの?」
ゴンが首を傾げる。彼は私がスシを作ると信じていた。
「それでね、ここにライスがあるじゃない?」
「うんうん」
「このライスを深めのお皿に盛ってね……」
「おいおい、まさか……」
キルアは何となく察したのか半笑いになる。
「はい、豚丼の完成。いただきまーす!」
「お前が食うんかい」
スプーンを持ちながら手を合わせると隣の調理台で様子を窺っていたレオリオが呆れた目で言った。
はふはふ、と幸せいっぱいで豚丼を食べ始めた私をゴンは温かく見守ってくれたが、クラピカは「マジかこいつ……試験中だぞ……」みたいな顔をしていた。キルアは飽きたのかもう完全に無視していて、捕ってきた魚の尾を持ってブラブラと揺らしていた。
「おいコラ45番!!何してんのよ!!」
突如女性の怒声が響く。いっけね、見つかった。
カツカツとこちらへ向かってくるヒールの音が聞こえてきたので慌てて残りをかき込むと「いや、食うな食うな!」と試験官のツッコミが入った。
「あんた何を普通に料理楽しんでるのよ!いや、楽しむのは良いことだけど、良いことだけどさ!?あたしが言ったこと覚えてる?スシを作れって言ったわよね?豚丼作れとか言ってないわよね?何食ってんだ?」
「落ち着いてください!これはスシを……スシを作る過程で発生した副産物を処理しようと思っただけで、私はお腹が空いたから豚肉を炒めて食べているわけじゃありません」
「あんただけにスペシャルヒントあげるわ。スシに炒めた豚肉は使いません」
「ええ〜〜……」
やる気のない声を出す私に、試験官は眉を吊り上げると「あんた次やったら失格だからね!」とビシッとこちらを指差して言った。キルアが「目つけられてんじゃん」と笑う。早速嫌われてしまったかもしれない。