流石は主人公が所属する隠れ里。こんな言い方はよくないが、木ノ葉は一年に一回は大なり小なりキャラ達が関わる事件が起こるようだ。ついに、あの大蛇丸が里抜けをしたらしい。
物語では正義側、培ってきた歴史や忍の能力・環境面から見て五大国の隠れ里の中じゃ住みやすさNo.1の超正統派と思われる木ノ葉の里でもやっぱり悪の道に進んでしまう奴は少なからずいるわけだ。
そしてその里抜け話がアカデミー生にまで届くのだから、大蛇丸の存在がこの里でどれだけ大きなものだったのかが窺える。
三代目の弟子で自来也様の同期で、今回初めて知ったんだけど実は四代目火影候補の一人で、あとは漫画ちゃんと読んでないから分からないけど、ポジション的には悪の親玉みたいなもんなんでしょ?そりゃ話題にもなるわ。
恐ろしい奴が離反したものだが、これはジャンプ漫画。最終的に悪が勝つなんて有り得ないので、きっとナルトが倒してくれるんだろう。
なんだか無責任だが、本来存在しないはずの私になんとか出来るわけがないので主人公の未来の活躍へこっそりエールを送った。頑張ってね。
***
もうすぐあの九尾の事件から一年となる。いつものように慰霊碑へ向かうと二人分の人影が見えた。小さいのと大きいの。
近付いてみるとイルカ先生と三代目火影様だった。
「別に、悲しくなんかないんだ。忍が任務で死ぬのは名誉なことなんだ!」
どきっとして足を止めた。
イルカ先生が泣きながら火影様に言ったそれは私の胸にも刺さる。私の存在に気が付いていないイルカ先生は、自分の両親は里を守った英雄で自分はその英雄の子供だと震える声で続けた。
「だから…一人になったって悲しくなんかないんだ…これだって嬉し涙だ…」
やばい、これ私来ちゃいけない感じだった。もう遅いかもしれないが、慌てて近くの茂みに身を潜める。
相変わらず時間帯が被っているせいでよく会うイルカ先生は、アカデミーじゃ明るくやんちゃだと有名なのに慰霊碑の前ではただただ静かな子だった。そりゃ、あそこで煩くはしないだろうけど。
でも、いつも静かに立っているだけで、あんな風に泣いたりはしなかった。
少し意外にも感じたけど、よくよく考えてみればきっと普段から泣きたい気持ちでいっぱいだったんだろう。だってあのイルカ先生はまだ子供だ。ひょっとしたら私が居合わせた時は泣くに泣けなかったのかもしれない。うわぁ、私すごい邪魔してたんだな。
火影様はイルカ先生に、里の人はみんな家族なんだよ的なことを言っていた。火の意志ってやつらしい。
「お前もそうだろう、アザミ」
「!?はい!」
バレてた!!
ばっちり名前を呼ばれてしまったので、反射的に返事をして茂みから顔を出すとイルカ先生が私を見て「お前…」と呟いた後にハッとした様子で涙を拭った。やはり私には見られたくなかったようだ。
火影様は優しく微笑み、こちらに来るよう手招く。盗み聞きをしていたので気まずいと思いながら側へ行くと火影様が私とイルカ先生の頭にそれぞれ優しく手を置いた。
「火の意志をもっておる限り、この里にいるものは家族そのものなんじゃ。イルカ、アザミ、お前達は持っておるかのう」
火影様の独り言のような問いかけに私とイルカ先生は顔を見合わせる。イルカ先生は小さく笑って頷いたが、私は黙ったままだった。
さて、話は変わって私が10歳になった頃、イルカ先生の卒業(然り気無く飛び級である)と同時にアカデミーにとんでもない奴が入学してきた。
「6歳のくせに超生意気らしいんだよそいつ。だから今から一緒に新入生のクラスまでガン飛ばしにいかね?」
「行かねーよ」
間髪入れずに断るとその穏やかじゃない誘いをしてきたてっちゃんは片眉をピクリと動かした。
なんだガン飛ばしにいかね?って。私を問題児の道へ引き込むな。その新入生がどのくらい生意気な奴なのか尚も言ってくるので無視していたら、最終的に「この根性無しが!」と罵られた。ええ……意味わかんない……。
結局てっちゃんが一人で様子を見に行った新入生の名前はうちはイタチ。
この一年後、彼は7歳でアカデミーを卒業した。紛れもなく本物の天才だった。
