思ったより簡単だった。
12歳になって規定通りに卒業試験を受けた私の感想は一部の人には怒られてしまいそうなものだが、本当に拍子抜けした。
今期の試験課題となった術は分身の術。教科書忍術が課題になるのは分かっていたが、それにしたって初歩の初歩だ。苦手な子は苦手かもしれないけど、私はずーっと前から出来ていたので今更慌てることなく披露したらあっさり合格。ナルトが第一話の時点で中々手に出来なかった額当てをいとも容易く手に入れてしまった。
こんなに簡単なら少し無理して単位取れば、一年早く卒業出来たんじゃないか?なんて思ってしまう。
ただそうなると夕顔ちゃんや今まで同じクラスだった子達より一期上になってしまい、卒業後は全く知らない子達と班を組まなきゃいけなくなる。下忍は三人一組に担当上忍一人の小隊での行動が基本だったはずだ。
そう考えると皆と同期の方がいいよね?いきなり知らない人とチームってキツいし。
貰った額当てを女子トイレの鏡の前で早速つけてみる。ナルト世代の子達は首とか腕とか好きなところに付けていたが『額当て』なんだから額が定石だろう。一目で所属が分かるし、どこかに引っ掛かって落とすこともない。
その姿を同じくあっさり合格した夕顔ちゃんと見せ合って笑った後、家に帰って卒業試験の結果報告をした。父は褒めてくれたが未だに兄達のことを引き摺る母はあまり良い顔をしなかった。
次の日、合格者のための説明会を聞きにアカデミーへ行くとクラス全員が教室に揃っていた。なんだかんだ皆受かったらしい。まあ、六年も勉強してきたんだから当然と言えば当然か。普通にやれば大体の子は合格できるものなんだ。
卒業後は三人一組の班を組むという話は皆とっくに知っているようで、仲の良い子同士で「同じ班になりたいねー」なんて話をしていた。
いつも通り隣の席に座った私と夕顔ちゃんは、そんな話は一切しなかった。女子の方が男子よりも人数が少ないので、チームバランスを考えると男子二人に女子一人という組み合わせになるはずだと分かっていたからだ。無駄なことは話さない。マジ私らクール過ぎんだろ。
夕顔ちゃんと下忍になってからの任務についてお話していると先生が教室に入ってきた。説明会開始の予定時刻より五分遅い。
「みんな卒業試験合格おめでとう。今後は三人一組の班に、担当上忍が一名ずつ付くことになる。下忍の間はこの班での行動が鉄則だ」
そう言うと皆がキャーっと子供特有の高い声で騒いだ。まだまだアカデミー生気分が抜けないらしい。
先生が騒いでいる子達を注意している間、私は誰と組むことになるのか考えてドキドキしていた。てっちゃんは嫌だ……てっちゃんは嫌だ……。
「班は此方で決めてある。第一班から発表するからよく聞くように」
紙を見ながら先生が名前を読み上げていく。そういえば、三人一組というけど人数が足りなかったり、逆に余ったりとかしないんだろうか。そういう時は四人一組?
などと考えながら自分の名前が読み上げられるのを待つ。第十三班まで呼ぶと先生は「以上」と言った。私の名前は呼ばれなかった。
……………え!?隣の夕顔ちゃんが私の方を向いて「呼ばれてない?」と口を動かす。声は出さずに何度も頷いた。えっ、なにこれ!
「おい!俺呼ばれてねーんだけど!」
それ先生への口の聞き方じゃない。
私よりも先にてっちゃんがそう叫んだので、彼に視線が集まる。てっちゃんも呼ばれていなかったようだ。
呆れた顔をした先生が「落ち着け」と口にした。
「テツとアザミはこの後一緒に来てくれ。他の者はこの部屋で担当上忍の到着を待つように」
なんて言われて、私とてっちゃんは顔を見合わせた。合格取り消しとかじゃないよね?
