私とてっちゃんが連れていかれたのは二階の空き教室で、先生はそこで暫く待っていろと言うと十分な説明もないまま居なくなってしまった。
なんで?なんで私達だけここ?合格が取り消されるわけではないようだが、二人だけ班が発表されずに別室へ移動させられた意味が分からない。
「なあ、なんで俺らだけここなわけ」
「さあ」
自分に分からないことがあるのが大嫌いなてっちゃんは、不機嫌丸出しの顔で聞いてきた。私が彼の求める答えを導き出せなかったため、さらに機嫌が悪くなる。
それから特に会話もなく、指示通り大人しく待つ。広い教室で一番前の席に陣取ったてっちゃんは真新しい額当てが気になるのか、頻りに触れては結び直していた。
夕顔ちゃんと同じ班じゃなくて残念だったね、と意地悪のつもりではなく正直に思ったことを伝えたら、彼はガタン!と音を立てて席から転げ落ちた。おい、リアクションが完全に売れない若手芸人のそれじゃないか。
顔を赤くしたてっちゃんの口から怒声が響く前に教室の扉が開いた。
「遅くなった。アザミとテツだな」
そう言って私達を見た若い男の人は、木ノ葉マークの額当てに上忍が着用する緑色のベスト、そして真っ黒の妙にごついゴーグルで目を覆っていた。なんだあれ、ハイパーゴーグル?サイ◯ロップスでもあんなの着けてないぞ。
私達の理解の範疇を超えた存在とのファーストコンタクトにあれは一体……!?と二人揃ってごくりと唾を飲み込むとその男の人は「一緒に来い」と顎をしゃくった。
「いや、お前誰だよ!」
てっちゃんが警戒した面持ちで突っ込む。お前の口の聞き方どうにかならないのか。
顔の半分近くを覆うハイパーゴーグルのせいで表情が良くわからないその人はてっちゃんの方に視線を向けて言った。
「俺はお前達の担当上忍だ。言葉遣いには気を付けろ」
「えっ、じゃあ私とてっちゃんは同じ班ってことですか!?………、嘘……」
「なんだテメェその反応!」
二人揃って別室に通された時点でなんとなくそんな気はしていたが、いざその事実を突き付けられるとあまりにもショックで目眩がした。
昔よりはマシになったわけだけど、やっぱりてっちゃんって扱いづらいと言うか、ナルトとは別の意味でトラブルメーカーだから彼がいたらチームとしてまともに機能しない気がする。
というより、私とてっちゃんが同じ班?スリーマンセルって各班の戦力が均等になるように組むものじゃなかったっけ?男女それぞれのトップである私達が同じ班って、バランス悪くないか。
一人考えていると私達の担当上忍だと言う男の人が騒ぐてっちゃんの肩を押して廊下へ出した。次いで此方を向いたので、私もあとに続くと男の人は教室の扉を閉めてから「もう一人のところへ行くぞ」と先頭に立って歩き出した。私とてっちゃんは既に卒業している下忍と組まされるのだと廊下を進みながら教えてもらう。
なるほど、人数の関係上そうなるのは仕方がないか。でもやっぱりバランス悪いよね?
そのまま男の人に着いていくと外へ出て、アカデミーの近くにある小さな休憩所に辿り着いた。
そこのベンチには黒髪に黒い目のまだ幼い少年がちょこんと座っていた。
私達よりずっと小さいのに忍の証である額当てをつけているその子を見て、私が真っ先に思ったのは「サスケに似ている」だった。
「あーー!!あいつ、オイあいつだよ!!」
「うっ、ちょっ、何?」
てっちゃんが後ろからぐいっと服を引っ張ってきたせいで首が絞まりかける。
そんなことお構い無しの彼はサスケに似た黒髪の少年を堂々と指差して言った。
「前に言っただろ!うちはイタチ!」
なんだと。
驚いてサスケ似の少年を見た。あの、たった一年でアカデミーを卒業した天才新入生うちはイタチ?サスケと同じうちは一族のうちはイタチ?
え、いや、ちょっと待って。うちは一族って皆こんなにサスケそっくりな顔してんの。
それだけでも驚きなのに、この『うちはイタチ』が可愛らしく座っている休憩所に私達は連れてこられた。と言うことは……。
「今日からこの三人で班を組んでもらう」
ハイパーゴーグルな我らが担当上忍の言葉に、てっちゃんが私の後ろでもう一度大きな声を出した。
