記念すべき二回目の任務は護衛だった。
護衛と言うとナルト達が騙されて酷い目にあっていたような気がするが、私達はそんなこともなくスムーズに目的地まで着いた。これが主人公との差か。
護衛任務はそこで終了なので、後は里へ帰るだけなのだが初めて他国へ来た私やてっちゃんに気を遣ってくれたのかシダ先生は折角だからと一時間だけ自由行動とした。
両親に何か買っていこうかと土産物屋を覗く。するとイタチも同じ店に来ていて、無視をするのも変だと思い声をかけた。
何か買うの、と当たり障りのない質問をすればまだ決めていないけど家族にお土産を買っていきたい、とのこと。イタチの家族、と私が真っ先に思い浮かべたのはサスケの顔だった。いやだってイタチとサスケって本当に似てるんだもん。
「イタチってさ」
「はい」
私が口を開くとイタチはこちらを見て素直に返事をした。
初めは『イタチさん』と噂に聞いていた彼の実力と一年先輩であることに敬意を表してそう呼んでいたのだが、当の本人に「敬称なんていりませんよ」と首を傾げながら言われて結局その呼び方はやめた。自分の方が年下だから、というのが理由らしい。
確かに年は私とてっちゃんの方が上だが、忍者としては彼の方が先輩で実力もあるのだからもう少し大きな顔をしても良いのに。
前の班で上手くいかなかったことを気にしているのだろうか。特にてっちゃんは面倒な性格なので持て余しているのかもしれない。
まだ8歳の彼を気の毒に思いながら「兄弟とかいるの?」と何となく気になっていたことを聞いてみる。
「はい、弟が一人」
「そうなんだ…」
こくりと頷くイタチにサスケの兄説が浮上する。
サスケの兄ってなんて名前だっけ。なんかカワウソみたいな名前だった気がするんだけど正しくは覚えていない。
けど、主人公のライバルが憎んでいる相手がうちはカワウソって言うのも締まりが無いかな。いや、でも主人公がうずまきナルトだしな。
ぶっちゃけ弟の名前を聞けばすぐに解決するのだが、流石に怪しいのでやめておこう。そんな私の胸中など知る由もないイタチは、その黒い目で弟へのお土産を眺めていた。
「弟と仲良い?」
「ええ、まあ。まだ三歳なんですけどね」
これからどうなるかは分かりません、とイタチは冗談っぽく言った。
イタチが兄なら兄弟仲が悪くなることはないだろう。彼は年の割に随分と落ち着いていて大人だから、喧嘩にもならない気がする。
「アザミさんこそ、ご兄弟は?」
「兄さんが二人いたよ」
「そうなんですか」
それっきりイタチは私の兄弟に関して何も聞いてこなかった。私の返答が過去形だったことに気が付いたらしい。
初めはどんなものだろうと思っていたが、同じ班になって接してみれば8歳とは思えない程うちはイタチは良く出来た子供だった。
愛想が良くて礼儀正しく年上を敬うし、自分の実力を鼻に掛けない。あと重い物を代わりに持ってくれるし、一緒にいればドアだって開けてくれるし……少なくとも私から見ればよく気が利く子だ。
人生三週目くらいなんじゃないかって思うレベル。同年代と話合わなそう。
それとも戦争を経験し、死が身近にあることで幼いながらに人として成熟するのだろうか。忍って皆そんなもんなのかな。
