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二次試験は演習場でのサバイバルだそうだ。
天と地の文字が書かれた巻物を手にゲンマさんが説明する。あの人、二次試験の試験官だったのか。だから昨日もアカデミーにいたのかもしれない。

二次試験では一次試験を突破した十チームを五チームずつに分けて片方に天、もう片方に地の巻物を渡し、互いの巻物を奪い合うこととなった。両方揃えてゴールまで持ってきたチームが合格となる。……って、あれ?なんか知ってるぞこれ。
同意書を書かされて、それと引き換えに巻物を一つ渡される。私達の班は地の巻物だった。
やっぱり、これナルト達がやってたやつと同じだよね?試験課題は使い回しというか、毎年場所を変えて同じようなことをしているのだろうか。まあ参加者は入れ替わるし、この手の攻略法は『強くなる』一択なので同じでも問題ないのだろう。
演習場は入り口となるゲートが三十五個あり、そのうち二十五〜三十五ゲートが各班に一つずつ割り当てられる。正午になったらそこから同時にスタートすることになった。天・地両方の巻物を集めたら三日以内に今回のゴール地点である第一ゲートまでいかなくてはならない。三日を過ぎたら巻物を持っていても失格となる。

「巻物は誰が持つ?」
「お前でいいだろ。戦闘になっても相手と近距離での接触は少ないし、慎重だし」
「そうですね。アザミさん、お願いします」
「あ、そう……わかった」

先程受け取った巻物を片手に言えば、二人にそう返されたので頬を掻きつつゆっくりと懐にしまう。
個人的にはイタチに持っていてもらいたかったのだが、仕方がない。男女混合のスリーマンセルじゃ普通はくノ一が真っ先に狙われると思うのだが、よく考えたらうちの班は今残っている受験生の中で一際幼いイタチの方が狙われやすいだろう。まあ、守りきれるだけの実力が彼にはあるのだけれど。
私達のスタート地点となる第二十九ゲートの前で待つ。時間になると各チームに一人ついていた中忍の試験官がゲートの鍵を開けてくれた。
ゲートから飛び出した私達は、真っ先に水場を探し始めた。この試験で食糧などは用意されておらず、自給自足となっている。ご飯は食べなくてもまだ大丈夫だが、水はそうもいかない。他の班もおそらく同じことを考えるだろうから、周辺を張っていれば誰かしらに遭遇するだろう。その時巻物が奪えればラッキー。私達が持っていない天の巻物だともっとラッキー。

***

どうやら目論見は外れていなかったようだ。
三人で協力してようやく見つけた水場には、既に別の班が辿り着いていた。それに気が付いたのは、私達の足元に煙玉が投げ込まれた時だ。
濃い煙で視界が遮られていく中、声を出さずに三人ですぐに背中合わせになった。戦闘中は無駄に喋るな、死角を作るな、術の解説はするなとシダ先生に言われ続けていたからだ。
周囲を警戒しつつ、私は一気にチャクラを練り上げる。

「風遁・烈風掌!」

掌を合わせれば突風が起こる。風遁忍術の中では基本的な術で、かまいたちとは違うのでこの術自体には殺傷力はそこまでない。本来は手裏剣やクナイなどの飛び道具と合わせて使われる術だ。
煙幕は晴れたが、敵の姿はどこにもなかった。見える範囲に居ないという事は。

「上!」

私が叫ぶと同時に上から飛び降りてきた砂の額当てをつけた男が、てっちゃん目掛けて刀を降り下ろす。斬られた、と思えば彼の姿は一瞬で消えた。てっちゃんは煙幕が張られたと同時に分身を作り出していたらしい。
両サイドから敵チームの残りの班員が現れ、こちらへ向かってきた。片方が走りながら水遁を使う。
砂隠れと言えば風遁のイメージだったが、恐らく私達が木ノ葉の忍であるため火遁を得意とすると判断しての水遁だろう。すぐそこに水場があることも関係し、かなりの威力だった。慌てて距離を取る。

「跳べ!」

頭上から聞こえてきたてっちゃんの声に私とイタチが地面を蹴ると雷遁による雷が落ちる。咄嗟のことに反応出来なかったのは先程の刀を持つ男だけで、彼に直撃した。
水遁で辺り一面に水が流れていたのであのまま下に残っていたら危うく感電するところだった。私達と同様にそれを逃れた残りの砂隠れ二人の舌打ちが聞こえる。
私とは反対方向の樹上に飛び移っていたイタチが寅の印を組んだことを確認し、もう一度風遁を使う。火遁を使うときは風遁と合わせて威力を高めると決めていた。

どう考えても下忍レベルではない威力のそれが水遁を使った下忍に当たり、残るはあと一人。
その最後の一人は、迷いなく私の方に向かってきた。あれだ、始まる前に言った男女三人組なら女が真っ先に狙われるってやつ。この場合、殺すのではなく人質にするのだ。
冷静に考えつつ、右手にチャクラを一気に集める。回転を加え、球状に圧縮したそのチャクラを向かってきた砂隠れの身体目掛けて叩き込んだ。

相手の鳩尾に入ったそれの威力は絶大だった。
砂の下忍は目を見開き、回転しながら吹っ飛んで木にぶつかり、そのまま下に落ちていった。ドサッという音が聞こえた時には、てっちゃんもイタチも私のすぐ側まで来ていた。二人ともひどく驚いた顔をこちらに向けていたが、ぶっちゃけ私自身が一番吃驚している。螺旋丸ってすごい。

「な、なんだよ今の!掌底打ち!?」
「え、えーっと、螺旋丸もどき…?」

自分でやっておいて疑問系な私の答えに「なんだそりゃ!」とてっちゃんの突っ込みが入る。
印を組む様子もなく端から見れば掌底打ちをかましただけ。初見じゃ何をしたのかよくわからないだろう。これってひょっとして奇襲用なのかな。
まだまだ未完成の技だったのだが、それでもここまでの威力を誇るとは思わなかった。
ただ、たった一発にも関わらず結構なチャクラ消費だ。強い技はリスクが大きい。

そんな大技を隠していたなんてずるい、とてっちゃんに文句を言われつつ倒した砂隠れの三人の持ち物を漁ると出てきた巻物には天の文字。やった、ラッキー。
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