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どうやら私はあの有名な漫画ナルトの世界に赤ん坊として生まれ変わったらしい。いや、ええ……?
ナルトは確かに知っているけど、一部のキャラしか知らない。というかストーリーもあまり知らない。私がちゃんと分かるのって中忍試験の話くらいだ。
その程度の知識しかないナルトだが、ここが危険な世界だということは何となく分かる。バトル漫画だし、確か里が襲われたことがあったし、何より今も現在進行形で他国との問題を抱えているようだ。ナルト達が過ごしていた時の木ノ葉の里とはどうも空気が違う。里全体の雰囲気がよくない。
何故かと言えば、今は戦争のまっただ中なのだ。それは兄達が里を離れて長期任務につくと父と母が話していたことから分かった。兄達はナルト世界に生まれた者らしく忍者だったのだ。
上の兄は漫画のナルト達とそう変わらない歳のはずだが既に中忍であり、部隊を率いて最前線へと駆り出されることとなった。下の兄は、まだ下忍だが補給部隊として味方陣営へ向かうとのことだ。子供の二人を戦場へ出すということはそれだけ人手が足りないことを意味する。
私の知っていたナルトとは違う、なんだが暗く重たい世界だった。でもここは間違いなくナルトの世界である。木ノ葉の忍であることを示す額当てをつけた兄達を見て思う。時代が違うんだろう。

まだ言葉を発することが出来ない私は、任務に出る兄達を声をかけることも出来ずにただ見送った。母が泣いているのを見て、私もうっすらと涙が出てきた。あんな子供が戦争に行かなきゃいけないなんて、悲しすぎる。

***

私が1歳になって少しして、戦争は終結した。
忙しいだろうに三代目火影が自ら里の住人達に声をかけにきて、里一番の実力者の言葉に皆一安心することができた(私が初めて生で見たナルトのキャラは火影様になった)。ただ“一応”と言った感じで、細かいところでは何も解決していないようなのは、私にもわかった。
いつまた戦争が起きるかわからないが、それを知るには今の私はまだ幼すぎる。何より兄達が無事に戻ってきてくれただけで今後のことは暫くどうでもよくなってしまった。


それから三年。4歳になった私は毎日のように母や兄に連れられて外に出ていた。
比較的自由に里を回れるようになり、自分の知っているキャラがいないか然り気無く捜したが、会えたのは漫画の時よりずっと若い火影様だけだった。里の象徴的存在の火影様が一番エンカウント率高いってどういうこと。
結構何度も出会い、その度に頭を撫でてもらったり抱っこしてもらったりしていたので縁起が良いと母が喜んでいた。凄いことなんだろうけど私としては会いすぎて火影様が近所のおじさんとしか思えなくなった。

しかし、仮にも主人公の所属していた里に生まれて、ここまで知ってるキャラを見掛けないとは意外だった。まあ、里はかなり広く人も多いので当然と言えば当然か。
火影様の若さからして、多分今はナルトが活躍していた頃よりも前だ。というか、もしかしてナルトは生まれてないのかな?だからキャラも殆ど見かけないのかもしれない。
具体的に今がいつなのか、漫画をちゃんと読んでいないのでわからない。ただ散歩をしていたら、うちは一族らしき人々を見かけたので、まだサスケの兄による事件は起きていないようだ。
サスケは人を寄せ付けないクールな性格だったが、元々うちは一族は里の中でも少し浮いた存在のようだった。エリートとか言われていたし、みんなからすると近寄りがたいのかな?
決して感じが悪いわけではないが、そもそも一族全体が周囲から距離を取っているようで、常にうちは同士で固まっている、という印象だ。同じ里で暮らしているが、彼等と他の住人との間には見えない線が引かれているみたいだ。
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