入学して三ヶ月。なんとなく周りの子達の名前も覚えてきたし、アカデミーがどんなものなのか分かってきた。
なんというか、思っていたよりもアカデミーはレベルが低かった。まだ三ヶ月なので何とも言えないが、現段階では予想を遥かに下回っている。
教科書は全部ひらがなでまずは朗読。いきなり忍術を習うのではなく、歴史から。グラウンドに出たら体育どころかお遊戯レベルの運動開始。クナイ・手裏剣は本物ではなく、厚紙で作ったものを使用し、大体は遊び気分で投げている。
まあ、いくら忍者学校でも6歳を対象にした授業なんてこんなものか。ナルトの世界だからって皆が皆超人ではないのだ。私はちょっと漫画で活躍していたキャラ達の印象が強すぎるんだと思った。しかもあれは殆ど12歳以上だったし。
初めて集団行動を学ぶような新一年生への授業だと思えば普通のことだ。ここからどんどんレベルが上がっていくんだろう。
少なくとも今の段階では忍者の勉強というより現代でやったような一般教養が中心であり、女の子だけのくのいちクラスでは専門科目という扱いになるのか礼儀作法としてお花や茶道なんてものもある。こういうのは潜入任務で身分を偽る時に役に立つんだろう。
ただ、こんな授業ばかりなら確かに天才はレベルが違いすぎて浮くだろうからすぐに卒業していくのも頷ける。
その天才だが、今のところ私の周りには見当たらない。世代が違うからか同級生には漫画で見たような有名な一族出身の子はいなかった。
とは言っても、やはり親兄弟が忍者という子が多く、実際に使うことはできないが、それなりに術の知識を持っていたりする。
しかし中には親類縁者に忍者は一人も居らず普通の家庭で育ったという子も一定数いるわけで、どんな子でも関係なくしっかりやれば卒業までにはちゃんと忍者になれるように学べるのがアカデミーなんだろう。
私はといえば、兄達がそれぞれ上忍・中忍という立場にいるが、父や母の家系はほぼ商人で忍者になった人はいなくはないが相当少ない。兄達は家を継げないなら忍者になろう、みたいな感じでアカデミーに通っていたそうだ。危険だけど老後を考えると手に職があった方が良いもんね。
また、十年以上続いたとされる第二次忍界大戦の渦中に生まれたということもあり、跡取り以外の男子は忍者になるべきという世論に流された部分もあったとかないとか。
そんな感じで私は身内に忍者がいるが、実際のところは一般家庭の子達とそう変わらない。まあ、漫画の知識のおかげでやり方は分からないものの術自体は結構知っているので皆からは物知りだと思われている。ズルしてる気分だ。
「アザミ、次三階の教室でしょ?早く行きましょう」
「あ、うん」
さて、そんな私にも一応友達が出来た。卯月夕顔ちゃんという初日に隣の席に座ったあの美人さんだ。
くのいちクラスの最初の授業でたまたまくじ引きでペアを組んだのがきっかけで「友達になろう」とか言った覚えも言われた覚えもないが、気付けばそれ以来私達は常に行動を共にしている。
夕顔ちゃんはこんな私でも付き合いやすいと思うくらい歳の割に妙に落ち着いていてお姉さん的な性格だったので、もしや彼女も人生やり直したんじゃないかと疑ったが、アカデミーの帰り道に一緒に立ち寄った駄菓子屋で嬉々とした様子でお菓子を選ぶ姿を見てその疑いは晴れた。
夕顔ちゃんも私を気に入ってくれたのか、当たり障りのない会話をして、そこそこ仲良くなった私達はべったりというほどでもないが、大体二人で固まっていた。というか他の子とあまり仲良くなれなかったのだ。
私も夕顔ちゃんも話し掛けられたらきちんと返すが、積極的に他の子に声をかけることはしなかった。それがまずかったのだろう。
二人とも同年代の中では成長が早いのか頭一つ分くらい背が高く、夕顔ちゃんは謎だが私は年を重ねていることもあり比較的落ち着いていて、授業では他の子が苦戦するような事でもそれなりに何でもこなすため、周りから「大人っぽい子達」として見られ、一歩引かれてしまった。
元々夕顔ちゃんは顔も綺麗で一際目立つ上に性格が滲み出ているのかどこか近寄りがたい雰囲気を持っていたし、私は他の子に家のことを聞かれた時に素直に話したら後日その子達が親御さんにそこそこ大きな家だと教えられたらしく“お嬢様”とか思われている。
そんな二人が固まっていた結果、私達は理由は多少異なるにしろ入学三ヶ月にして周りから一目置かれる存在になっていたのだ。なんというか、サスケみたいなものだろうか。
私はからくりがあるのだが、夕顔ちゃんは一体何者なんだ。
