Shrot story
02
「なんだか素っ気無いんだもん。」
 頭を伏せたまま言うと、視界ががじわりと滲んだ。
「私の話聞いてても、楽しいんだか楽しくないんだか分からないし、冬獅郎はあまり自分の話してくれないし。」
「……それって前からそうじゃなかった?」
「そうだけど、なんだか昔と違う。一緒にいても距離を感じる。物理的にも気持ち的にも。」
 頭上から、息を漏らす音が聞こえた。あまりにも女々しい私に、段々副隊長も呆れてきたのかもしれない。
 私はどんどん惨めな気分に押し潰されていく。
「アンタ、不安になってること隊長には言ってるの? 会話しなきゃわからないことって意外とあるものよ?」
「ちゃんとじゃないけど、……ほのめかしてはいる。私のこと好きかどうか訊いたり。」
 言い切るか切らないかのところで、頭をぺちっと叩かれた。
 予想外の刺激に私はつい、目を潤ませたまま顔を上げる。
「馬鹿ね。」
 何がなんだかわからない私に、副隊長はため息混じりに微笑んだ。それが私には余計に意味がわからなかった。
「ずーっと一緒にいるからって、何でもかんでも気持ちが分かる訳じゃないのよ。アンタ達の場合は、少しお互いに甘え過ぎね。」
 言ってる事の意味がいまいち解らず、じぃっと副隊長を見つめていると、副隊長は私の頭を優しく撫でて、ソファから立ち上がった。
「そろそろ仕事するわよ。このままじゃ今週休日無しになっちゃうわ。」
「えぇ!?」
 自分でもすこし可笑しくなるくらいに情けない声が飛び出た。
「なによ。」
 副隊長も笑いを含ませながら私に問う。
「もしかして、今ので助言終わり……ですか?」
 情けない事は自覚しながら、縋るように副隊長を見つめる。
 すると、副隊長はやれやれと溜息を吐きながら、再びソファへ腰掛けた。
「アンタね、自分でももう少し考えなさいよ。」
「だって……、冬獅郎何考えてるかわからないよ……。」
 副隊長に向けていた視線が、言葉を紡ぐごとに下へ下へと下がっていく。
「それ、そのまま隊長に言えばいいじゃない。」
 下がった視線が、私の意思を待たずに、ぴくりと少し持ち上がる。
 そのまま?言う?隊長に?何を考えているのか、私には分からないと?
「いや、無理無理むり……。」
「案外、隊長も同じこと考えてるかもしれないじゃない。」
「え?」
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