「円香が何考えてるか分からない。不安だ。って、思ってるかもしれないわよ。」
「えぇ……、そんなわけないよ。だって、素っ気ない態度とるのは冬獅郎だよ?」
苦笑混じりに言うと、じぃっと私を見つめる副隊長の視線にぶつかった。
そこで初めて、それはない、と私が一蹴しようとした副隊長の意見は、冗談や適当に言われたものではなくて、私が思っていたよりずっと重い言葉だと、言葉の真意はわからずとも、それだけは理解できた。
しかし、重大な問題かもしれないとは思えても、副隊長のいわんとしていることはいまいちよくわからない。
私の不安を作り出しているのは、他でもない冬獅郎なのだ。なのに、何故冬獅郎が不安になるのだろう。
考えるうちに、ぐいっと眉間に皺が寄る。
すると、副隊長は頬杖を付きながら、口を開いた。
「……アンタ、突然隊長から頻繁に自分のことが好きかどうか確かめられたら、どう思う?」
「え……。」
『私のこと、本当に好き?』
ここ最近、何度も私が冬獅郎に向けた言葉が蘇る。
そういえば、ああいうことを言った時、冬獅郎は少し悲しそうな顔をしていた気がする。
『俺のこと、本当に好きなのか?』
じゃあ、私は? 私が言われたら?
「寂しいし、悲しい。……かも」
「……そうね、どうして?」
「だって、私の愛を疑われてるみたい。それに、そんな事を言わせる自分が、不甲斐なくて辛い。」
わかるんじゃない、と副隊長は満足げに言うと、スッと立ち上がった。
「今度こそ助言は終わり。そろそろ仕事しないと。隊長が帰ってきたらカンカンよ。」
ほら、と副隊長がこちらに手を伸ばす。
私はその手を掴んで、立ち上がった。
すると、背の高い副隊長は、私の頭を軽く叩くように撫でた。冬獅郎にはできないな、とぼんやりそれを受ける。
「今度からは、不安になったら愛してるって言いなさい。」
「愛してる?」
復唱する私を見つめ、副隊長はにやりと笑う。
「隊長、きっと喜ぶわよ。」