甘くとろける

スマホを見つめているひなさんがふと「今日ってキスの日なんだって」と呟く。何それ。キスして欲しいってこと? そう思いひなさんを見るけど、当のひなさんはスマホの画面を見つめたまま。え? どういう事? 俺たぶらかされてる? そう思いながら隣に座っているひなさんに少し近付く。
「なぁ、今のどういう意味?」
問い掛けると、ひなさんがスマホから顔を上げてきょとんとした顔をする。小首を傾げて、なんの事? とでも言わんばかりに俺を見上げるので「キスの日の話」と言うと、少し考えてから「情報の共有……?」と本当に何も考えてないだろう表情で俺を見る。うーん。意識してるのは俺だけか。ちょっとくらい意識してくれても良いだろうに、変なところ鈍いんだよな、と心の中で悪態をつきながらひなさんの左手に触れる。
「キスしたくなった」
「えっ」
「してもいい?」
「……い、いい、け、ど、んぅ……」
言い終わる前に、ちゅ、と触れるだけのキス。直ぐに離れた俺をちら、と見上げてくるひなさん。これで終わるわけないと理解してるひなさんは、俺が少し顔を近付けると、ゆっくりとまつ毛を伏せる。そのまま少し待つと、ひなさんが不思議そうに目を開ける。そして「うさみくん……?」と俺を呼ぶ。あー。可愛すぎる。
「なに?」
「……な、んでも、ない、です」
勘違いをしたと思ったのだろう。恥ずかしそうに、唇を、きゅ、と固く結び少し俺から離れる。またスマホを見ようとするひなさんからスマホを奪いテーブルに置き、右手で腰を引き寄せると、ひなさんが「な、なに……?」と不思議そうに俺を見上げてくる。ふっくらとした唇を左手の親指でふにふにしながら「ひなさん」と名前を呼ぶと、ぱちり、と瞬きをする。
「キスの日ってキスする日なのかな? もしそうならいつもよりいっぱいした方が良いよな。せっかくの記念日な訳だしさ」
羞恥から視線をきょろきょろと動かすひなさんに「目閉じて?」と言うと、言われた通りにゆっくり目を閉じる。素直で可愛いなぁと思いながら、ちゅ、とおでこにキスをする。次は瞼。次はほっぺ。そして唇に。ふに、ふに、と数回触れて、離れる。
「ひなさん、ベロ出して」
「…………ぇ」
恥ずかしそうに、ちろ、と舌を出すひなさん。可愛すぎて頭がどうにかなりそうだ。ぺろ、と軽く触れて、そのまま舌を絡み付かせる。少し逃げようとするひなさんの腰を引き寄せながら、反対の手で後頭部を固定する。逃げられないひなさんの舌から離れて上顎をべろりと舐めるとひなさんの身体がびくりと跳ねる。反応を確認する様に今度は舌先で、すーっと撫でるとビクビク身体を震わせながら、ひなさんが目をとろり、と蕩けさせた。そのまま唾液を絡ませるように舌を擦り合わせていると、呼吸が追い付かないのかひなさんが軽く俺の胸を押す。仕方ないか、とゆっくり離れると、肩で呼吸を繰り返している。とろとろに蕩けて涙の膜を貼った瞳で俺を見上げるひなさんは余りにも捕食対象で、あー、もう駄目だ、そう思いながらゆっくりとソファに押し倒す。
「ひなさんさ、それわざとだろ」
「な、なにが……?」
「エロすぎ」
そう呟いて、噛み付く様なキスをした。