義勇さんと夜景

「えっち」
「なにが」
「義勇さんのえっち」
「結構」

夜景の見える公園を通り過ぎて、目立たない道に入り坂を上ってゆく。途中でちいさなチャペルがあった。夜中なのでひとの気配はない。チャペル脇の坂をもっともっと上のほうまで走れば、整備の行き届いていない、展望台とも呼べぬちいさなスペースがあった。
寄りかかると倒れてしまいそうなこころもとない木柵が気持ち程度に用意されているだけで、地面は舗装されておらず、大小さまざまな石ころででこぼことしている。

義勇さんの身体に覆われて、わたしは身動きがとられない。わざと音を立てるように首筋を吸い上げられて、ひくつくわたしの身体に反応するように車体が揺れる。

「だ、だめ」
「やめてもおれは構わない」

義勇さんの硬い指がショーツをなぞる。どんなふうになっているのか、自分でもわかる。
「それはいや」とこぼしたほぼ吐息のような呟きも、狭い車内ではいやに鮮明に響いてしまうようだった。
フロントガラスの向こう側には星くずのようにきらめくうつくしい街が見えるというのに、わたしは今のところ、与えられる快楽に脳をとろけさせることのみに夢中であった。