炭治郎とわたしの朝

「おはよう。今日は晴れたぞ」
「おはよう、炭治郎。わたしのお日さま」

たっぷりとしたスウェットに顔を埋める。お日さまのかおりがする。

チャコールグレーのカーテンがひかりを遮る寝室を抜けて彼の顔を見るまで、わたしはいつも、朝が来たことを信じられないでいる。
朝はとても尊くて、わたしには身に余るかがやきでもってやって来るから、いつかぱったりと姿を消してしまいそうだと、そういうふうに思えてならない。

「炭治郎は朝だね。それでいてお日さまで、わたしをいつも迎えに来てくれて、照らしてくれるの」
「寝ぼけてないで早く支度をするんだ、ほら」

炭治郎はお日さまのようなひと。朝のようなひと、朝日のようなひと。あたたかいこころのかたちをしている。
炭治郎がおはようと言ってくれて、朝が来たことを確信して、わたしの一日は、そうしてはじまる。