義勇さんとダイアリー

朝。
朝は弱い。大概、彼女のほうが先に起きる。
今日はめずらしく先に起きたので、野菜とベーコンのバターソテーと、目玉焼き、ルイボスティーを用意した。
すこし遅れて起きてきた彼女が、とびきりのご機嫌だった。


昼。
かまどベーカリーで、サンドイッチと、新作のベーグルを買う。炭治郎はいつも、おまけでちいさなマフィンをつけてくれる。今日はチョコレート味だった。
彼女も炭治郎をえらくかわいがっており、ふたりであれやこれやと世話を焼きたがるのは、もはや親兄弟を通り越し、さながら祖父母のようであると思うがこれはやめられない。

昼食は彼女の気に入っている公園でとった。敷地内に、おおきな博物館が建っている。
特に書き留めておくようなことも話していないが、彼女との会話はたのしい。
同じテンポで生きていると感じる。


夜。
DVDをレンタルするため、外出。
歩いて片道二十分ほどかかるので、いい散歩になる。
風がすこしだけ冷たくて、金木犀のかおりがした。
金木犀は、澱粉糊とおなじかおりだね、と言われたが、ピンとこなかった。

おれのパーカーでぷくぷくと着膨れているのがかわいい。
かわいい、と常々思ってはいるのだが、しかし、口に出して伝えたことはほとんどなかったように思う。
たまには口に出して伝えるほうがよいと思ったが、意識するとタイミングが掴めず、帰り道、呼び止めたもののなにやら腰が引け、結局言えないままだった。
意味もなく抱き上げると彼女がきゃらきゃらと楽し気に笑うので、口に出せないぶんの愛情などが、すこしだけ伝わったようで、うれしかった。