エボンの老師、シーモア・グアド。
こちらへ近づいてきたと思えばユウナちゃんの前で足を止めた。優雅な動きでエボンの祈りを行う。
私はその光景をキマリさんの後ろで見ている。
なるべく老師の視界に入らないように。
両脇に控えている護衛の動きも確認出来るように。
穏やかにユウナちゃんと会話をする老師。
私たちの事情を知ると、ここを通れるよう討伐隊に掛け合ってくれた。ちょっと親切すぎるのでは?
何かあったら責任も取ってくれる……ですって。
ほーん?なんだか恩を売ってる感があるなぁ?
シーモア老師はアーロンにも一言声をかけて、この場を去って行く。どうやら今回のシン討伐作戦の総責任者らしい。計画を立てたのも彼だろう。
ルカのスタジアムでの一件もある。
何が起こっても……何を起こしても不思議じゃない。
もしかしたらあの召喚獣を喚んで戦う、とか?
いやいや、まさか。
そもそも老師は召喚士ではないはずなのにどうして召喚獣を喚べるの?祈り子たちはシンを倒したいと願っているから協力してくれてるんじゃないの?
……シーモア老師、ちょっとよく分からない存在だ。
老師が去った後、詳しく話を聞く。
ジョゼ寺院への道は拓けたけど、討伐隊の士気を上げるために作戦本部へ来て欲しいと頼まれた。
ユウナちゃんだけではなく、ガード含めた全員で。
全く、本当に嫌な予感しかしない。
というか……戦闘に巻き込まれる予感すらある。
「ナナシ、顔が強ばっている」
「……マジですか。頭をヨシヨシしてください」
「?話の流れがよくわからない」
「キマリさんに頭を撫でられたいだけです」
不穏な予感に顔が強ばるのは仕方がないわけです。
それを緩和するにはキマリさんのもふもふな手で、よしよしして欲しいわけです。私が満足します。
突然何を言い出してんだこいつ?そんな表情は見えません。見えてません。さぁお願いします!
首を傾げながら、ぽむ、と頭に手を乗せてくれた。
柔らかく……ない。けど、もふもふ感はある。
「これで満足か?」
……乗せただけで撫でてはくれないようだ。
くっ、もう少しだったのに!
でも乗せてくれただけでだいぶ嬉しいので満足!
キマリさんへお礼を言い、ルールーさんの元へ。
彼女は彼女で複雑な表情をしている。
「決して大きい声では言えないけれど。油断も隙も見せられない相手……に、見えたわね」
「ルールーさんもそう感じましたか?」
「ええ。ほら、ワッカでさえ頭を抱えてる」
今回のシンを討伐するという作戦。
攻撃手段の多くがアルベド族が有する機械だ。
エボンの教えで“機械を使うのは悪”とされている。それなのに老師自ら使用を許可していて、なおかつ機械に頼った作戦ともなれば完全に教えに反する。
シンを倒せるなら機械も利用する。……ワッカさんは老師の考えに納得が出来ていない様子だった。
海岸線に沿う崖の道を進み、さらに高台へ向かう。
大きく隆起した岩が足場となり道になる。
崩れる心配は無さそうだが少し歩きにくい。
植物、エレメント系、小型のモンスターや翼を持つ大型のモンスターが行く手を阻むように現れる。
それらのモンスターを交代しながら倒していく。
経験値を稼ぐには良さげな場所だけど矢を射る私にとって、ちょっと足場が悪すぎる印象。
強く引き絞りすぎた矢がモンスターを貫通し、上の岩に当たって崩れて来た時は……流石に怒られた。
わざとではないんです、わざとでは……!
かなり高い位置までやって来た。
立派な昇降機があるということは目的の作戦本部もまもなくだろう。昇降機へ向かう直前、近くの岩場で見知った二人が何かを言い合っている。
見知った二人。─ルッツさんとガッタさんだ。
ルッツさんはシンと対峙する前線へ。
ガッタさんは司令部を守るために後方へ。
その配置に不満があるガッタさんが、ルッツさんに詰め寄っている。自分はシンを倒すためにビサイド島を出たんだ。と。それに対しルッツさんの答えは『わかっているが命令だ。さっさと位置につけ。』
突き放すような言い方にガッタさんは走り去る。
崖に佇むルッツさん。
彼へ近づき声をかけたのは顔見知りのワッカさんやルールーさんではなく、ティーダだった。
この状況で話しかけにいく度胸、すごいと思う。
ワッカさんが突っかかるように歩み寄り、苦笑いするルッツさん。この二人もよく分からない関係だ。
何かがあったのは明白だけど……。
「ワッカ……、もう話す機会がないかもしれないから……。謝っておきたいことがある」
図らずも話してくれるらしい。
ルッツさんとガッタさんのやり取りを見て顔色が悪くなってしまったユウナちゃんの側に立ち、彼女を気にしつつ次の言葉を待っていると、まさかの人物がワッカさんたちの間に割って入った。
「ルッツ、だめ!」
ルールーさん、だ。
ここで彼女が出てくるとは。
……なるほど、ルールーさんは“今から謝る内容”を知っているわけか。ルッツさんは一度ルールーさんへ視線を送り、すぐにワッカさんへと移す。
「お前の弟を討伐隊へ誘ったのは……オレだ」
小さく息を飲むユウナちゃん。
顔を背けたルールーさん。
驚いた直後、怒り、拳を振り下ろすワッカさん。
もう二、三発!と怒りに任せルッツさんを殴ろうとするワッカさんを後ろから止めに入るティーダ。
うわ、これは……紛うことなき修羅場だな。
事態を静観してる私だがいまいち内容を把握出来てない。ので、詳しく聞きたいし、こんなやり取りを見せられて部外者のままで居たくないと思う。
それにこんな崖っぷちで殴り合うのは危なすぎる。
急いでティーダに加勢してルッツさんからワッカさんを遠ざけた。どうどう、落ち着いてください!
この修羅場の最重要人物、ワッカさんの弟。
名前はチャップ。討伐隊に入っていたが、故人。
かの人を討伐隊へ誘ったのはルッツさんで隊に入る前はブリッツボールの選手だった。試合で勝てたらルールーさんへ結婚を申し込むつもりでいた。
だが、チャップさんは討伐隊で戦うことを選んだ。
『好きな女と一緒になるよりも、そいつの近くに
“シン”を近づけさせないように……戦う。そっちの方がかっこいいかも。』
ルッツさんへそう語ったチャップさん。
……思わず隣にいるティーダを見てしまう。
なんとなく、ティーダも言いそうな台詞に思えた。
当の本人は複雑な面持ちで唇を噛み締めている。
ルールーさんもビサイド島を出発する前にルッツさんから直接話を聞いたらしい。聞き終えた後、得意の黒魔法はぶっ放さず拳を振るった、と。
……きっと二人は想い合っていたんだろうな。
大事な話の途中だが、チョコボ騎兵隊の隊員が前線に配置された者はすみやかに海岸へ。と声をかけていく。前線に配置された者……、ルッツさんだ。
静かに立ち上がり、前線へ向かおうとするルッツさんへ最初に声をかけたのはワッカさん。
次いでルッツさんの行く手を阻む、ユウナちゃん。
そんなユウナちゃんを諭したのは……アーロン。
ユウナちゃんが召喚士の道を選んだ覚悟と、ルッツさんの覚悟は同じだ。と。
なるほどそれは……聞き捨てならないな。
スッ、とユウナちゃんの隣へ並ぶ。
「……ナナシ、」
「死ぬために戦うつもりなら、今ここで私があなたと戦います。ルッツさん、シンを倒したい気持ちは私も同じです。あなたが死んで喜ぶ人はいません。悲しみが連鎖するだけです。死なないために……、
いえ、生きるために戦ってください」
「死ぬ覚悟ではなく、生きる覚悟……か?」
「まさしく!……ね。ユウナちゃん」
「はい。必ず、戻ってきてください……!」
「……ああ、わかった。善処するよ」
アーロンからの視線が痛い。
余計な真似をするな、でしょう?わかってますよ。
これ以上は引き止めませんとも。
ただ、少しでも心に留めておいてほしかった。
ルッツさんを怒る人、心配する人、引き止めようとする人がいることを。死を望む人はいないことを。
ルッツさんを見送り、私たちも先へ進む。
作戦本部はもう間もなくだろう。
崖の際に砲台がずらりと並び、それをアルベドの人たちが入念に調整している。数は確かに多いが……果たしてシンに通じるかどうか。それが重要だ。
……通じはしない、だろう……けど。
「詳しく尋ねてこないのね」
「ルールーさん。それは、そうですよ。私が気軽に尋ねていい話題ではなさそうですし」
「でもあなた、ワッカがルッツを殴りつけた瞬間、
『うわ、修羅場だぁ!』って顔してたわよ」
「……否定はしません。聞きかじった内容的に深く突っ込んで尋ねていいのか、迷ったので……」
「そうね……。この話は、いずれまた」
「えっ、聞かせてくださるんです?」
「時と場所次第よ」
時と……場所?
どうも引っかかる言い方だ。だがルールーさん自ら話をしてくれるなら、静かにその時を待とう。
ワッカさんが八つ当たり気味に砲台を蹴りつける。
金属で出来た砲台なので硬く、足の指を強打した。
タンスの角に小指をぶつける……的なアレ。
八つ当たりしてカウンター喰らうとか、だいぶヤバいですワッカさん。物に当たらないでください。
本部へ近づくにつれ、討伐隊の人数が減っていく。
大半の隊員は海岸線に沿う高台、砂浜、どの部隊も限りなく海に近い位置に待機しているようだ。
チョコボ騎兵隊も同じく。
「……なんか、すっげーやな予感する」
「わかるよ。少しずつ空気が重くなってるもん」
「オレ、鳥肌が止まんないんだけど!」
「うわぁ……それ見て私もぞわぞわしてきた!」
「ナナシ、エスナかけてください」
「鳥肌は状態異常じゃないから治らないでーす」
腕を擦るティーダと並んで歩いていたら砂浜の方にシンのコケラを収容している檻を見つけた。
一匹二匹ではない、おそらく数十匹。
閉じ込め鳴かせて……シンの本体をここへ呼び寄せるつもりなんだろう。なんと無謀極まりない作戦。
文字通り命を賭けたものといっても過言じゃない。
陣頭指揮を執っているのがエボンの老師だから例え作戦に反対でも、声は挙げづらいよなぁ……。
「もう、やめようよ」
少し先を行くユウナちゃんの言葉が耳に届く。
あー、ワッカさんが何か余計な一言を放ったな?
二人を後ろから見守る。
「無謀な作戦かもしれない、教えに背いているかもしれない。だけど討伐隊もアルベドの人たちも……すごく真剣だよ。みんなシンを倒したいって心から願ってる。その気持ちは私たちと全然変わらない。そう思わない?」
「へっ、わーったよ!でもな、オレは機械を認めない。教えに反することは認めない!」
強い語気を放った直後、数歩踏み出しユウナちゃんの横に並ぶ。そしてワッカさんを見上げて一言。
「認めないものが多いと視野が狭くなりますね!」
「うるせー!どうせオレは色々と狭い人間だよ!」
「ほう、自己分析はお済みなようで」
「ナナシだってエボンを認めてねぇだろうが!」
「認めてないというより、怪しさと不信感しかない相変わらずヤベェ組織だな。と思ってますね!」
「……ユウナ、ナナシはいいのか?」
「ナナシさんはまだ説得に応じてくれるもん」
やーい!ユウナちゃんにプイッてされてやんのー!
どっちもどっちね。と身も蓋もないルールーさんの言葉が飛んできて、この会話は終了。
立派な天幕が見えてきた。
作戦本部が近い証拠だろう。
入口付近へ行くと見知った顔……いや、不服そうな顔をしたガッタさんが立っていた。司令部を守ると言っていたけど、まさか真ん前とは。何気に重要な場所の警護を任せられているじゃないか。
「まもなく戦いが始まります。いろんな準備を忘れないでください」
なんというあからさまな棒読み!!
ビックリするほどやる気が見られないガッタさん。
そんな彼にアーロンが「認められたいのなら、まず与えられた任務を黙ってこなしてみろ」と声をかけた。ガッタさんは悔しさを滲ませた表情で作戦本部前から離れていく。ちょっ、ちょいちょい!!どこへ行くんです!?職務放棄か!?
このまま黙って見送ることは出来ない。
ガッタさんを追いかけてきます!とルールーさんに伝えて彼を追う。それなら、と何故かワッカさんも着いてきた。なんと珍しい。
「どういう風の吹き回しなんです?」
「ナナシ、本部へ一人で帰って来れるか?」
「おっふ……ありがとうございます!!」
「頭ん中に地図を作れないタイプだな!」
「はい!マッピング能力皆無です!」
「誇らしげに言うんじゃねぇよ」
ティーダが着いてくるかと思ったんだけどなぁ。
……ん?
あ、いや、別に、来て欲しかったわけじゃない。
ティーダはユウナちゃんの側を離れない方がいい。
うん。ワッカさんが来て不満とかそんなことは。
首を振って前を見る。
よく分からないが、落ち着け私。
ガッタさんを呼び止めて表情を窺う。
「……なんですか」
「どこへ向かっているのか気になりまして」
「どこだろうと関係ないですよね」
「関係ない人を追いかけるほど暇じゃありません」
鋭く刺々しい言葉を投げかけてくるなら、こちらも相応の言葉で返させていただく。
現に歩みが止まったのでオールオッケー。
振り向いたガッタさんの表情は先ほどと変わらず、非常に不満げだった。ルッツさんより感情の起伏がわかりやすい彼に、私も苦笑いしてしまう。
「お説教なら聞き飽きてます」
「そういうんじゃないですよ。ガッタさんの戦いたいという気持ちを否定しに来たわけでもないです」
「それなら、何のために……」
「死なないための助言、ですかね!」
「……はい?」
にっこり笑う私。怪訝そうなガッタさん。
「召喚士のガードである私ですが、シンの全貌は見たことがありません。戦ったのも海上での一度だけです。後はシンのコケラを二匹倒した程度で、本体の攻撃パターンに関しても全くわかりません」
まだまだ予測不可能な攻撃をしてくるだろう。
なんせ災害級。読めるわけもない、が。
「ガッタさんが人知れず戦いに行くと言うのなら、これだけは覚えていて欲しいことがあります」
シンは海からやってくる。
恐らくシンが陸へ上がることはない。
そのシンに攻撃を仕掛けるとなると、海へ入らなければならない。見渡した限り船があるわけでもないから、泳がないといけないだろう。それでは攻撃すら出来ないはず。ワッカさんやティーダのように水中戦を得意としていなければシンを目指すより先に波に飲まれてしまうと思う。
では、どう戦うのか?
「私はアルベドの機械は有効だと思うんですよ。
……はいはい、ワッカさん。言いたいことはわかります。教えに反してますね。でも今回は老師自らアルベドの皆さんに協力を仰いでるわけです。それなら、その武器を大いに使うべきですよ。今まで届かなかった攻撃が、届くかもしれないんですよ?
倒したいなら、一矢報いたいなら、何かを守りたいと思っているなら。時に手段を選ばないことも大事じゃないかと、私は思います」
「……それが覚えておくことですか?」
不満げな表情から不安そうな表情へ変わる。
戸惑うガッタさんの心情すら、わかる気がする。
「今言ったことも覚えててほしいです!それとは別にもう一つ。常にシンの動きを見ていてください。きっと討伐隊へ向けてコケラを飛ばしてくるでしょう。それを倒す分には構いません。でも、本体が光ったらすぐにその場を離れてほしいんです」
「本体が光ったら……?」
「はい。恐らくですけど、ビーム……光線を撃ってくると思います。あの巨躯で高圧エネルギーを体内に宿してないわけがないんですよ。でもそれを撃つ時、必ず前兆があるはずです。皮膚が光ったり、口を大きく開けたり。そのような動きを見せたら離れてください。海より砂浜へ。砂浜より崖側へ。崖側より陸地の奥へ。ガッタさんが逃げられる場所へ。出来る限り……遠くへ」
足場が崩れる、とか。
床が抜ける、とか。
地面が炎や氷の床になる、とか。
砂浜にそんなギミックがあるとは思えない。
引き寄せ、ノックバックはありそうな雰囲気だが。
なんにせよ本体から遠ざかることが一番生存率を上げられる手段だ。少しでもガッタさんの頭の片隅に私の言葉が残るといいな。
「……逃げているだけじゃ勝てませんよ」
「それはその通りなんですが、ただ勝ちたいからと無策で突っ込んだら攻撃を受けて普通に死にます」
後ろにいるワッカさんが「経験則か?」と尋ねてくる。そうです、蛮神戦やインスタンスダンジョンで床を掃除しまくった私の!経験則です!!
こういう知識は無いよりある方がいい。
ルッツさんだけではなく、ガッタさんも生きるために戦ってほしい。生きる覚悟を持ってほしい。
「色々言っちゃいましたけど、私的にはルッツさんとガッタさんはこの作戦が終わったらもう一度顔を突き合わせて喧嘩してほしいんです」
「先輩と、喧嘩……?」
「はい。生きてさえいれば、喧嘩も出来ますし……その後に仲直りだって、出来ます」
「……どうですかね」
「ガッタもルッツをぶん殴ればいいんだって!」
「ワッカさん、表現がストレートすぎません?」
「でもそういうことだろ?」
「ええまぁ、そういうことですね!」
今まで討伐隊で二人は一緒だったんだ。
拳で語れることもあるはず。
……あんまりおすすめしたくないけど!
“生きて会う”ことが大事だから。その理由として、もう一度喧嘩する・ってのもアリでしょう。
「……わかりました、覚えておきます」
「はい。よろしくお願いします!」
「ガッタ!お前も死ぬんじゃねぇぞ!」
約束はできませんよ。
そこは約束しろよ!
最後にそんな言葉を交わし、ガッタさんの元を後にした。きっと生きてくれると……信じたい。
隣を歩くワッカさんを見つめる。
「ワッカさんは何のために戦っているんですか?」
「お?なんだ、突然どうした」
「大好きなブリッツボールを引退してまでガードを務める……というのはどういう心情なのかな、と」
「そりゃあお前、」
ちらりと私を一瞥。
次いで背中をバチンと叩かれた。
「ユウナは妹みたいなもんだし、ルーは家族みたいなもんだ。手が届く限り守ってやりてぇのさ!」
「なるほど……。守るために、戦ってるんですね」
「まぁ、そう言っちまえば格好良く聞こえるけどな。……オレは弟を亡くしてる。だからこそ、あいつらは死なせない。いや、死なせたくない。
……はは。結局、オレはオレのために戦ってんだ」
ナナシ、お前だってそうだろ?
目を合わせた後、私の背中をもう一度大きく叩いてワッカさんは作戦本部へ向けて歩き出した。
その通りだ。
私も、私のために。
私の目的のために、戦っている。
死なないために戦っているのは、その目的のため。
それぞれがそれぞれの理由で戦う。
ひとつだけ確かなことは皆、“シン”を倒したい。と考えている。シンの脅威に、死に怯えなくても良い平和な世界を望んでいる。そのために戦う。
今は穏やかな海を振り返り沖の方を見つめた。
嫌な予感は、まだ消えない。
海を見つめる私へ「置いて行くぞ!」と、声が飛んできて目を反らす。ここで迷子になるわけにいかない。急いでワッカさんの後を追った。