聖川真斗くんはDT

顔の綺麗さと性体験は必ずしも比例しない。

それが真斗くんと付き合って1年を過ごした私の結論である。


聖川真斗くんはDT


今日は私の誕生日であり、真斗くんとお付き合いを初めて丁度1年の記念日だ。1年前の今日、真斗くんからの告白を経て私たちは恋人同士となったわけだが、この間の恋人的接触体験といえば手を繋ぐ、ハグ、キス、この3つのみだ。ちなみに付き合って3ヶ月で手を繋ぎ、半年でハグ、8ヶ月でキスという亀さえも呆れる鈍足ペース。しかも全て私から仕掛けている始末だ。何とも嘆かわしいことである。

こんなペースで進んでいると勿論私の中にはある1つの確信がある。「聖川真斗は童貞である」ということだ。そもそもほぼ毎週欠かさずどこかで会うようにしていて、1年経ってセックスの1つもないって何事?訳わかんない。友達で黒崎さんの彼女に少し愚痴ったら目を丸くしてあり得ないと鼻で笑われたし、カミュさんの彼女もちゃんみなの彼氏は修行僧か何かなんじゃない?と爆笑していた。我が彼氏ながら最早私もそう思うレベルだ。

20年以上生きてきて、彼と同い年で童貞の男の人だって一定数いるのは分かっている。他人の性体験の有無にとやかく言うほど私も野暮ではない。ただ、私の彼の聖川真斗という男は顔もスタイルも(彼女としての贔屓目をなくしても)抜群で、実家もお金持ちという完璧彼氏なのだ。彼に群がる女の子たちは沢山いただろう。なのに、なぜ、現在まで童貞を貫いているのだろうか。最早性癖レベル?勘弁して欲しい、私まで巻き込み事故を食らっている気分になる。

モヤモヤとした気持ちもピークに達した今日、私は彼の脱☆童貞作戦を決行しようと決意したのである。

事前準備は勿論欠かしていない。ひと月程前から身体のメンテナンスは行ってきたし、友人たちにも勝負下着を選んでもらった。(これでダメならインポだよと真顔で言われた。とんだ下ネタである。)いつもの如くディナーまでのデートプランは真斗くんが計画してくれたから、あとは私が彼と家にしけこんで事に至るまでである。化粧も服装も彼好みにして、あとはハッピーバースデー私☆、ハッピーグラデュエーション真斗くん☆を2人でお祝いするのみだ。イケるよ私!

待ち合わせをして真斗くんは開口一番に「今日は誕生日おめでとう、ちゃんみな。俺が精一杯、めでたいこの日を祝うから楽しみにしていてくれ。……ぁ、あと、…今日のその服……に、似合っている、とても…」と辿々しくも伝えてくれた。何だかとても幸先がいい。自信がどんどんついてきた。

そんな幸せなデートのスタートから時間はあっという間に過ぎていき、気づけば彼の行きつけの料亭での和食ディナーまでも終盤に差し掛かっていた。

「ちゃんみな、実はまだ今日渡していないものがあるんだ」
「えっ、何?どうしたの?」
「お前への誕生日プレゼントだ。気に入ってくれるといいんだが…」

気恥ずかしそうに私に渡してくれたそれは細長い緑がかった水色の立派なケースに入っていて、私はすぐにピンときた。これ、ティファニーのネックレスだ!この前雑誌を読んでいて、目について暫くじっと眺めていたあのネックレスに違いない。案の定ケースを開けると件のネックレスで、真斗くんありがとうと告げながら、出来る彼氏に頬の緩みが止まらない。その反面、何でこれで童貞なんだろう?と心底不思議に思うが、彼が童貞なのも今日で終わりだ。後は一気に畳み掛けるのみ!

「今日のちゃんみなの誕生日プランは楽しんでもらえただろうか?」
「うん、勿論!すごい楽しかった!ありがとう、真斗くん。本当に大好き」
「あ、ああ!それは何よりだ!お、俺もちゃんみなのことを、その、憎からず思っている」
「うん、ありがとう。…それでね、真斗くん、今日まだ時間はあるかな。今日は一日中ずっと真斗くんといたいの」

思い切って真斗くんを誘うと、彼は顔を真っ赤に染めて驚きながらも何とかコクリと頷いてくれた。真斗くん、真斗くんも期待してるって思っていいのかな?




→つづくよ