うさみみフレンズ




タクシーで向かった所はセキュリティがしっかりしたマンションの一室。

中に入って荷物を置くと、さっそく桜子はエプロンをかけ慣れた手付きで料理を始める。奏子はリビングに天を通すと少し待っててねと紅茶を出して、キッチンへ向かった。



「…食べに行くんじゃないの?」
「食べに行ったらばれるでしょう。これだけトップアイドルが揃ってるんだから。」
「この人数だしね。」
「よく3人でご飯を食べるの?」
「1人分作るの大変だから、ご飯は基本私の部屋で食べることにしてるの。」
「仲良いんだね。」
「何年も一緒にやってるからね。」
「はい、天君。これでもつまんでね。」
「ありがとう。」


テーブルに置かれたクラッカーを奏子と2人でつまみながらタクシーの中の続きをする。お互い二人とはどんな出会いだったかうという話やこれまでのグループの話、INFERNOがJIMAをとったときの話…どれも天には興味深い話だった。

あとで楽と龍が戻ってきたら聞かせよう、天がそんなことを思いながら新しいクラッカーに手を伸ばしたとき、ドアが開いて途中別れた3人がいくつもの買物袋を持って入ってきた。


「くっそー…やっぱり豆乳鍋が却下とは…」
「豆乳鍋も美味しいよね。俺は好きだな。」
「せっかくカゴに潜ませたのに八乙女くんに見つかって戻されちゃうなんて。」
「油断も隙もないな、お前。」


寒い寒いと言いながら靴を脱ぐ3人。あっちの買い出し組の3人はやり取りを見る限り大分仲良くなったようだ。


「これ。頼まれてた野菜だよ。」
「ありがとうございます。助かりました。」
「桜子ちゃん、別に敬語とか使わなくてもいいよ?俺の方が後輩だし。」
「でも、年上ですし。」
「何か慣れなくてさ。楽と天も敬語とか使わないし、図々しいかもしれないけど3人とももう友達だと思ってて…」
「十さん…」
「ダメ、かな?」
「流石に龍とは呼ばないからね。」
「うん、ありがとう。手伝うよ。」
「ありがとう。」

「ほら。買ってきたぞ。」
「わあ、ありがとうございます!ビールがいっぱい!」
「ホットワインとかどうだ?温まると思って買ってきた。」
「いいね、飲みたい!あ、楽君も座って。おつまみ、あるよ。」
「美味そうだな。」
「グラスとって来るね。」
「お前は座ってろよ。まだ顔色が悪い。」
「楽君…」
「……」
「場所、わかる?あそこの棚だよ。」
「…悪い。」

「はい、九条くんにはこれ。オレンジジュース。」
「……何これ。」
「コーラがよかった?」
「…このうさみみフレンズのパッケージじゃなきゃどっちでもよかった。」
「え!?嫌だったの?ちょうどキャンペーン中だったみたいで、八乙女くんが九条くんはこういうのが好きだって言うから…」
「…楽、ちょっとこっち来て。」


桜子と龍が出来上がった料理をリビングへ持ってくると、奏子を挟んで楽と天が睨みあっていた。そんな3人をにやにやと見ている燈子の手にはビールが握られている。どうやら自分が仲裁に入るつもりは毛頭ないらしい。


「…何してるの?」
「んー?八乙女くんと九条くんが喧嘩寸前の所を奏子ちゃんが頑張って止めてる。」
「2人とも人様の家でなにして…」
「龍は黙ってて。」
「冗談も通じないのかよお前。」
「お鍋出来たみたいだから、食べようよ?ね?ね?」
「燈子も面白がってないで止めなよ。」
「何でよ。イケメン同士の喧嘩なんてめったに見れないんだから止めるなんて勿体ないじゃん。」
「…桜子ちゃんも大変だね。」
「十さんには負けるけどね。」


桜子の鍋がさめるという一声でその場は収まり、宴会が始まった。