金曜日、放課後。
猿飛と長宗我部が私の席で女向けの雑誌を読みながら、愛がなくても性行為は出来るかどうかと語り合っている。

「あ、石田の旦那ー、旦那はどう思う?」
「くだらない。」
「まあまあそう言わずに、な!」
「性行為などただの子供を作る作業にしか過ぎない。よって愛など必要ない。」
「うわー、石田の旦那は女をオナホ扱いする最低男だね」
「さすがに俺も引いたぜ石田…」

非難轟々。納得がいかない。

「…逆に聞くが、愛とはなんだ」
「そりゃあ好きな子とキスしたいとかセックスしたいとかそういうのだろ」
「いーや、俺様は子供が出来ても責任を取ろうと思えるかが愛だと思うね!」

結局どの答えも納得がいかず、心に靄がかかったような気持ちのまま家路へと向かった。


「はっきりとした答えがないものだと思うなぁ」

多忙な両親に代わり、幼少の頃から何かと世話になっている保護者代わりである名前にも、愛とは何かを問うた。
そして、名前は私を抱きしめた。

「それは昔から私にやっていることではないのか」
「うん、私はいつも三成のことを愛情こめて抱きしめてるんだよ」
締まりのない腑抜けた顔でそう答えた。

「名前は私のことを愛しているのか?」
「当たり前じゃん」
「私もいつも名前を抱きしめたくなる。私も名前のことを愛しているということになるのか?」
そう告げれば、名前は締まりのない腑抜けた顔を更に緩めた。嬉しい、と笑っている。

「必ず私が娶ってやる」
「私、もうおばちゃんだよー?」
そう言いながら困った顔をする女を、心底守りたいと思った。


あいのかたち