「名前、ハガキが届いている」
「うわ、同窓会のお知らせだ」
「行くのか」
「うーん、あんまり気乗りしないけど行かなかったら行かなかったで面倒なことになるしなあ」
「行くのは許可しない」
「すごいんだよ、マウントの取り合いが。結婚しててもおかしくない年齢だし、子供だっている人はいるし、未婚だと高確率で余計なお節介されるし。行かなかったら悲惨な人生送ってるって笑われる…それが女なんだよ…」
「面倒だな」
「でしょ…だから二次会は行かないけどとりあえず参加させてほしいなー?」

そんな会話をしてから早2ヶ月。とうとう同窓会の日が来た。

「三成ー行ってくるねー」
「一次会が終わったらすぐに連絡しろ」
「迎えに来てくれるの?」
「ああ」
「じゃあその後ご飯食べに行こうね!いってきまーす!」
「気を引き締めていけ」
「はい!!」

一次会ではさほど皆酔わず、三成とご飯を食べに行く約束もあって私は立食パーティなのに食べることもなく、軽い社交辞令程度の会話を交わし、参加費結構高いのになんか無駄なお金使った気分だなあ、なんて思いながら締めの挨拶を聞き流した。
集合写真も撮り終え、二次会へ移動する流れになっている間に三成へ連絡をする。送信後、幹事に二次会は参加しない旨を伝え、三成の迎えを待った。

「あれ?名前ちゃんだよね?」
「あ、えーと…」
「ひどいなー、俺達何回も同じクラスになったのに」

あまり思い出せていないが、元クラスメイトは私に話しかけ続けた。

「二次会参加しないの?」
「うん、用事もあるし、もう満足って感じだし」
「俺もそんな感じなんだよね、俺と抜けない?」
「抜けたらみんな悲しむよ」
「大丈夫だよ、俺この辺よく来るからいいバー紹介するよ、もちろん奢るし」
「いやいやいや…みんなこっち見てるし」
「俺は名前ちゃんと2人で飲みたいんだけど」

これはまずった。
嫌な予感はしていたが、まさか本当に同窓会お持ち帰りが目の前…というより自分の身に降りかかるとは。どうやって振り切ろうか頭をフル回転させていると、聞き慣れた大好きな声が聞こえてきた。

「名前」
「っ!三成!」

待ったか?と私を三成の背後に隠すように立たせ、いつもの5倍は優しくエスコートしてくれる三成の行動にこの後のお説教を覚悟し少し泣きそうになった。

「私の女が迷惑をかけたようだな、礼を言う」
「ごめんね、用事があるってこの事だったの」
「あ、そうなんだ。じゃあ俺二次会行くから」
「私達も行くね、三成いこー」

そうして事なきを得、行きつけの和食屋さんへと向かう道中で、案の定お説教は始まった。

「だからあれほど言っただろう、気を引き締めろと」
「だってまさかあんなこと起きると思ってなかったし」
「貴様は私の妻になる女だという自覚が足りない」
「え、え、妻?えっ?」
「…なんだ、私と夫婦になるつもりはないのか」
「もっとほらなんか雰囲気があるでしょ!?」
そう言って顔を真っ赤にしている私を抱きしめ、三成は耳元で囁く。
「私と結婚してくれ」


はいかYESの話