あの日、金縛りが解けた後。部屋に入ろうとしていた子供のためにドアを開け、私はかなりびびっていたが、結果的に子供を部屋に招き入れた。
軽く自己紹介をしあい、特徴的な前髪をした可愛い男の子が佐吉と言うことを覚えた。
どこからか落下してきた子供を放っておくわけにも行かず、とりあえず眠かったし金縛りで体力を使ったため、一緒に眠ることにした。

「名前、」
「なあに、佐吉」
「私は朝になったら帰れるのか」
「ごめんね、分かんない。とりあえず寝よう。起きたら帰れてるかもしれないし、ね?」

そう言ったのを最後に私は意識を手放した。


「名前、まだ起きないのか」
「んん…いまなんじ…」
「名前は起きるのが遅すぎる」
「まだ8時だよ…」
「はちじ…わからんが、陽はもう登っている。それにこの世界の勝手が分からない、教えろ」

そういえばこの子は昨日どこからか落ちてきた謎の少年だった。まだ小さな子だし、1人で居るのも寂しいのかもしれない。そう思った途端に愛おしくなってきて、自然と目が覚めた。

「よし!佐吉!出かけよう!」

そして私は、この後起こることなど何も知らず、呑気に出かける準備を始めたのだった。