???


 こつりと足音が響く。のんびりと鼻歌を歌いながら、五条は楽しげに口を開いた。
「いやあ、本当やらかしてくれたよね。久々に焦っちゃったよ」
 こつり。軽快に歩きながら五条はひとり話すのを止めない。
「僕がどれだけあの子の事想ってるのか知っててやったのか、それとも単純にあんな低レベルの女で僕に取り入ろうとしたのか、どっちだろうね?ま、そんなのどっちでもいいんだけど。大事なのは千寿に僕が他の女を作ったって思われた事なんだから」
 こつり。歩みを止めた五条はゆっくりと腰を折る。
 目の前で震える男に五条はにっこりと笑みを向ける。
「本当はオマエのその首、引きちぎってやりたいところだけど……バレたら千寿に逃げられかねないし。良かったね?千寿が優しい子で、命拾いしちゃったね」
 男は何も答えない。否、五条の手によって喋る事すら許されてはいなかった。
「とりあえずその間抜けな面を堂々と外で晒して歩けないようにする位で勘弁してあげる。にしても酷いと思わない?あんなにあっさり僕の前から居なくなろうとしてるなんてさあ」
 男の前に腰掛けながら、五条はとんとん、と端末を弄り出す。
「まだ僕の事、本気で考えてくれてない証拠だよねぇ……ま、逃がしてあげる気なんてさらさらないんだけど。ゆっくり時間かけて慣らしていってあげなきゃね」
 これで良し、とそう呟けば、五条はバチンと男の真横ギリギリに呪力を飛ばす。
「じゃ、僕もう忙しいから行くね。他の連中にも言っておいてよ。──次は無いからな、って!」
 いつもの軽薄な笑顔でそう言い残せば、五条は男を残してその場から消えていった。



- 11 -

*前次#


ページ:

もくじ