ぎるぎる 3


「くっそぅ〜〜!一体、どうなってやがる!?」
ベジータはハァハァと息を切らせ、何度攻撃を加えても、そのまま跳ね返してくる目の前のマシンミュータントを睨み付けた。
「ベジータ、キケンキケンキケン!!!!!」
「うるっせぇぇえええ!!」
ズバババババババ
「ぐっ…」
「ぎるるる〜」
まただ。やっぱりベジータの攻撃はギルに少しのダメージも与えることなく彼に跳ね返ってきた。それをすんでのところでかわす。
ベジータはチッと舌を打ち鳴らし肩をがっくりと落とした。
「暖簾に腕押しとはこのことだな」
これだからこんな意味不明なロボットとは関わりを持ちたくなかった。
それなのにこいつは気付けばベジータの近くにのこのこ現れ、彼を苛立たせる。
しかし、変だなとベジータは思った。
自分の記憶が正しければ、自分の体がベビーに乗っ取られていた際、彼はギルに攻撃を加え倒したのでは無かったか?
確かにベビーに乗っ取られたことでその間少しはベビーの細胞が彼の肉体に影響していたとは思う。
が、戦闘能力はベジータ本人が操るよりも遥かに劣っていたはずだ。
それに、あれからベジータも修行を重ね、あの時より格段にパワーアップしている。
それなのに何故傷一つ付けられない?トランクスが改良したのだろうか?
「いや、あいつはブルマほど優秀じゃない」
壊れたのを元に戻すのが関の山だっただろう。
それすらもブルマの力を借りねば難しかったのではないか?ベジータはそう考えた。
かといってブルマが改良したとも思えない。彼女の気性ならツフル人のメカを改良した日には凄いでしょと自信満々にそれをベジータに報告しにきていたはずだ。
他の人間には決してそんなことはしないのにベジータが相手となってはその優位さをアピールせずにはいられないのだ。
そんなわけで、やはり解せないこの状況が気になりだしたベジータは何としてもこの疑問を解決せねば夜も眠れないと思った。
「おい。こっちに来い」
まずは隅から隅まで見てみないと始まらない。見て理解出来るかはまた別の話だが、兎に角傍に置いて見てみようと思った。
「イヤダ」
散々攻撃を加えられてギルが素直に応じるはずはなく速攻で断られた。
そりゃあそうだろうなとベジータは苦笑した。
「もう攻撃はしない。いいからこっちに来い。ちょっと体を見るだけだ」
「………イヤデス」
体を見ると言われて余計に警戒したギルは自分が解体されてしまうのではないかと震え上がった。
このベジータという人間はトランクスの家族なのに彼とは全く違う。
それは短い期間といえど一つ屋根の下で暮らしてみてよくわかった。
ここで彼の要求に従えばもう二度とトランクスやパンたちとは遊べないかもしれない。それぐらいこの男はキケンなのだ。
ギルはまたベジータに照準を合わせミサイルを打った。
何とかこの部屋から出る方法はないだろうか?どうしても見つからないようなら扉を壊すしかない。でもどうやって?
「ソウダ!」
溶かせばいいのだ!いくら強力な金属でもギルならそれを溶かす事ができる。
善は急げ!この体をバラバラにされる前に!
ビビビビビビビビ
「お、おい!ふざけるなよ!」
急にまた攻撃を仕掛けてきたと思えば今度は重力室の扉に向かい、ビームを放つギルにベジータは焦っていた。
コイツ、トレーニングマシンを食うだけでは飽き足らず重力室そのものをダメにする気か!?
冗談じゃない!今直ぐそのふざけた体を扉から引き離してやる!
攻撃が効かなくとも捕まえることは出来るはずだ。
ベジータは思いっきり気を高めた。
そこまでする必要が有るのかは甚だ疑問であるが状況は差し迫っているのだから仕方が無い。失敗は許されないのだ。
扉が完全に壊される前に奴を捕まえねば…!
充分な気を練ったベジータはそれを両の脚に集中し次の瞬間にはギルに向かってダイブしていた。
「ギルゥ!?キケンキケン!キケェ…ン!?」
流石のギルもこれを回避するのは難しかったらしい。というか回避したつもりだったが回避した先にもベジータがいたのだ。
ギルの健闘も虚しく、あえなく御用となってしまった。
「ふんっやはり所詮は機械。処理が追い付かなかったようだな」
次は逃がさんぞと、先の数倍以上の力を込めてギルの足を掴んだ。
「よう、ガラクタ。今度こそ覚悟は出来たか?」
「ギルゥ……。」
遂に諦めたらしい。
また逆さ吊りにされたギルがぐったりと腕を垂らしたのを見てベジータはニヤリと笑った。



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