リドル・ローズハート
ふと目覚めると、病院のベッドの上であった。あくる朝に突如姿を消した娘が、1年後にいきなり見つかったと両親は涙ながらに聞かせてくれたが。その1年間何をしていたかは、すっかりと抜けおちた記憶のせいで答えられなかった。
そんな出来事から早数年。この春からは大学生になり、キャンパスのほど近くで1人暮らしを始めた。期待と不安の混じる新生活の折に、見覚えのない名から手紙が届いた。
どうも前の住人はペンフレンドを募集していたらしい。送り主は17歳の少年で、自己紹介と文通への期待が流暢な字で綴られていた。こんな丁寧な手紙を無視するのもむず痒く、前の住人は退去してしまった旨を返送したのだ。
するとこれまた丁寧な返事の手紙が届き、流麗な字で謝罪と提案が記されていた。宛先違いの手紙に返送をさせて申し訳なく思っていること、良ければこのままペンフレンドになってほしいこと。
すぐに終わると思われた文通は未だに続いていて、今日も郵便受けには新しい手紙が刺さっている。
送り主の名前はリドル・ローズハート。顔も知らない手紙越しの友人。