秋田藤四郎
人生が終わる瞬間はあっけないものだ。
審神者として指揮を振るい幾数十年。弟子に本丸を譲り、あとは隠居するばかりのこの身にもようやっと終わりがきた。ひゅうひゅうと鳴る喉が、少しずつけれど確かに止まる。
その瞬間に、にっこり笑った秋田が私をのぞき込んでいることに気が付いた。驚く私をよそに、彼は優しく手を差し伸べてくれる。
隣町のお寺では猫さんが子供を生みました。公園では紫陽花が咲いてますよ。最近は暑いですから帽子と水筒を持っていきましょうね。
ひとつひとつゆっくり話してくれる秋田と、私は布団から起き上がって手を繋ぐ。すっかり軽くなったからだにも気づかず、ふたりはどこまでも歩き続けて。私たちは果てのない散歩に出たのだ。