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「じゃあ、お母さん本当に仕事休まなくていいのね?一人でちゃんと寝てられる?」
朝からもう何度目かのお母さんの言葉。
「大丈夫だってばー。ちょっと熱があるだけじゃん。もーいいから早く仕事行きなよ」
でもって俺の返事も朝からずっと同じ。面倒くさいなー。
「はいはい、それじゃお昼ご飯はおにぎり作っておいたから、それ食べてね。お味噌汁も飲むならインスタントになっちゃうけど…ええとあとは…」
「いってらっしゃーい!お休みなさーい!」
がばっとお布団をかぶって、お母さんの話を強制終了。ホント、仕事遅刻しちゃうよ?
いくらもたたないうちに玄関のドアが閉まって鍵のかかる音がした。
コチ・コチ・コチ…
壁掛け時計の秒針の音だけが、部屋の中を満たす。
誰もいないし、何もすることがないってことは、当然俺の頭の中は昨日の翔ちゃんのことでいっぱいになるってこと。
ちなみに今日学校を休むことになったのも、昨日のことがあって俺は翔ちゃんの顔を見ると顔が赤くなるようになったのを、熱があるとお母さんが誤解したからだ。
アレは…なんだったんだろう。
セックスなのかな?
でも、セックスって大人がするんだよね?
翔ちゃんは中学生だけど、まだ子供だと思うし…それに男だし…
男同士でもセックスが出来るのは知ってる。
そーいうの、ホモって言うんだって友達の直樹が教えてくれたもん。
でも…翔ちゃんがホモ?
うーーーーーーん……
ホモってよくわかんないけど、今まで兄弟として見てきた翔ちゃんは…そーいうのとは違うと思う。
でも、昨日の…あのときの翔ちゃんはいつもと違った。
昨日の翔ちゃんはホモ…みたいだった。(よくわかんないんだけど)
兎に角、すごい気持ち良さそうで……あ……
昨日の気持ち良さそうな翔ちゃんを思い出したら、オナニーしたくなっちゃった。
うう…まあ、今日学校休めるって思ったときからしようとは思ってたんだけど。
躯に掛かってた夏蒲団を足元に押しやって、チンコをこする。
ん…じわ…って、気持ちよくはあるんだけど……なんか…物足りない。
俺のチンコがまだ皮被ってるからかな?
んーー…物足りないよーーーー!!
お尻のオナニーなら、気持ちいいところに直接触ってるみたいに気持ちいいのに…!
でも、お尻のオナニーをし続けたら昨日の翔ちゃんみたいになるのかもって思うと……なんか怖い。
でもでも、チンコを擦れば擦るほど、お尻のオナニーがしたくなるよぉ…!
結局、5分くらいそうやってチンコを擦ってたけど我慢できなくなって…しちゃった。
意思弱いもんなぁ、俺。
「あ…うン、あ…あ…いい…き、もちぃ…」
昨日はジェルのこと翔ちゃんに話できなかったけど、また無断で使っちゃった。
秘密金庫から取り出した翔ちゃんのジェルのボトルはまた満タンになってて、多分これもあのおじさんにもらったんだと思う。
ぐちゅぐちゅお尻を弄るうちに、昨日見たあのシーンが頭の中で繰り返し思い出された。
でもって、アレをされてる翔ちゃんがもし俺だったら…って思うと…うわっ…あ…あ…!
そんなこと考えてオナニーなんかしたら、まるで俺がしてほしがってるみたいじゃんって思うけど…なんか…う…んん……
翔ちゃんみたいにサレる自分を想像したら、なんか、も……ダメだぁ……!!!!
「ああ…んン、あー…ああー…すご…すごい…きもち…よー…」
プルルルルルル…プルルルルルル…プルルルルルル…プルルルルルル…
気持ちよすぎて止まらないオナニーを中断させたのは、しつこいくらい鳴り続ける電話だった。
相手は多分お母さん。もー面倒くさいなー。
でもここで電話を無視すると、絶対仕事から帰って来ちゃう。
ぐちゃぐちゃのお尻を拭う暇も無く、脱ぎ捨ててあったパジャマのズボンだけを履いて階下の電話に急いだ。
『修ちゃん?具合どう?お熱は下がった?』
電話は案の定お母さん。もー!
「大丈夫だよ!折角寝てたのにお母さんの電話で目が覚めちゃったじゃん!もう電話してこないでね!何かあったらこっちから連絡するから!」
キレぎみの俺の返答にお母さんが『なによ、もう!可愛くなーい』って言ってるのが聞こえたけど、容赦なく受話器を下ろした。やれやれ。
すぐに部屋に帰ってさっきの続き…と思ったけど、なんか喉渇いたからお茶飲も。
冷たいお茶を飲んでほっと一息ついたときだった。
コツ・コツ…って、玄関から音がした。
お客さんならインターフォンを鳴らすはずだけど…と思いながら玄関を見に行く。
玄関ドアには小さな額縁みたいな枠が付いてて、そこにはモザイクっぽいガラスかはめ込まれている。
そこにぼんやり人影が映ってて、誰かがいるのは分かるけど、なんでインターフォン鳴らさなかったんだろ?
あ…またコツ・コツってドアをノックされた。
変なセールスとかだったら嫌だけど、鍵も掛かってるし大丈夫だよね。
「はい?どちらさまですか?」
「…修平くん?」
大人の男の人の声だった。
っていうか、何で俺の名前知ってるの?知り合い?
でも大人の男の人の知り合いなんてそんなにたくさんはいないし、知ってる誰の声とも違う。
「はい…あの…?」
玄関に置かれたお母さんのサンダルをつっかけて、玄関ドアに一歩近づいたときだった。
「オナニーばっかりじゃつまんないでしょう?本物のおチンチン、挿れてあげようか?」
「え……」
一瞬、意味が分からなかった。
でも、それが分かった途端全身からすーって…熱が引いていくみたいに…なった。
「な…なに…言って…」
オナニーのこと…なんで知ってるの?
誰も知らないはずだ…翔ちゃんもお父さんもお母さんも、友達も…。
普通のオナニーのことなら友達は知ってるけど、あれは一回だけだったしそれにチンチン…挿れるって…。
「最近修平くん、アナルオナニーいっぱいしてたよねぇ。おじさんねぇ、そこのグリーンマンションに住んでるんだ。その部屋の窓からずーっと望遠鏡で修平くんのこと見てたんだよ」
「…見てた…?窓から…?」
「うん。もうずーっと前から、可愛い子だなーって思って見てたんだ。修平くんが中学生になったら犯してあげようと思ってたのに、まだ小学生なのに、自分でアナルに目覚めちゃうんだもん。びっくりしたよ。でも、きっと僕の愛が通じたんだ。これは運命だね」
男の人の言葉が形を作って、俺の中に積み重なる。
恥ずかしいのと気持ち悪いのと怖いのがぐちゃぐちゃになって…でも、パニックなのが一番で…どうしよう…どうしよ…!!
玄関ドアのレバーがガチャガチャって鳴って、全身が硬直する。
自分の部屋に逃げ込みたいけど、躯…動かな…
「ねぇ、修平くんのアナルに、おじさんのおチンチン挿れてあげるよ。奥までズコズコされてみたくない?」
ドキン…って胸が鳴った。
「きっとオナニーなんて比べ物にならないくらい、死んじゃいそうなくらい気持ちいいよ」
頭の奥に、パッと昨日の翔ちゃんが蘇る。
あんな…ふうに……?
「ねぇ、鍵開けて?こんなところでこんな話してるとこ、誰かに見られたら修平くん困るでしょう?」
その言葉に、ギクンってなる。
そうだ、こんな話近所のおばさんとかに聞かれたらヤバイ。
俺はあんなこと、したいなんて思ってない…けど、こんなとこ近所の人に見られたら…聞かれたら困るから…だから……
仕方ない…んだ……