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二学期になって、半月。
俺は学校から帰っても、あんまり外で遊ばなくなった。
夏休みの終わり頃、アレを始めてシテ…その気持ちよさにハマっちゃって、家族が出かけたらすぐお尻を弄りはじめて…し終わっても、当然夏休みの宿題なんか全く手に付かなかった。
結局、夏休みの最終日に友達のを丸写しさせてもらって宿題は終わらせたんだけど、当然お母さんにはすっごい怒られた。
だから、俺が外であんまり遊ばなくなった理由はお母さんに禁止されてるから…っていう言い訳に、友達は納得したみたい。
でも、本当は…学校から帰って家族が帰ってくるまでの間にお尻のオナニーをちょっとでも長くしていたいから…なんだよね。
俺が学校から帰るのが大体4時くらいで、部活のある翔ちゃんが帰って来るのが7時半。
つまり、3時間半はあるわけだけど、その間に宿題も終わらせておかなきゃいけないし、お風呂も入っておかなきゃいけないんだもんなぁ。
翔ちゃんの持ってるあのジェルだったらお風呂場でさっと流すだけで大丈夫なんだけど、翔ちゃんにバレない程度にしか使えないじゃん?
だからあのジェルの代わりになりそうなものをいろいろ試してみて…結局サラダ油が一番よかったんだけど、油って後始末が結構面倒くさい。
下手なところに零したら油染みになるし、部屋の中はほんのり油が匂うし、しっかりお風呂で石鹸を付けて洗わないと落ちないんだもん。
あーあ、俺も翔ちゃんのあのジェルほしいなぁ。
そういえば、夏休みの最終日にあのジェルに関してひとつわかったことがあった。
夏休みの宿題を片付けるために部屋からほとんど出なかった俺の目を気にして、例の秘密金庫に仕舞えなかったんだろう、あの紙袋が翔ちゃんの机の下の物陰にこっそりと置かれてあった。
真夜中、翔ちゃんが完全に眠っちゃってるのを確かめてその中を見ると、容器にあと五分の一くらいまで減っていたはずのジェルが、容器いっぱいまで増えてたんだ。
つまり、翔ちゃんはあのジェルを自分で買ったか誰かに分けてもらってるってコトだよね。
いい加減サラダ油の減りが早いことにお母さんも気が付いちゃいそうだし、俺ももうサラダ油はヤダなーって思ってる。
だから、覚悟を決めて翔ちゃんにお願いすることに決めたんだ!
だって、他の人には言えないことだけど、元はと言えば俺は翔ちゃんの真似をしてるだけだもん。
翔ちゃんに言うのはそんなに恥ずかしくないんじゃん?って思ったワケ。
そんなわけで夕方、翔ちゃんの帰りを待って川沿いの遊歩道をぷらぷら歩く。
本当なら今日は翔ちゃんの部活がいつもより早く終わるはずの日なんだけど、最近は寄り道が多いからなぁ…と思ってたとき、橋の上を歩く翔ちゃん発見!
だけど、橋を渡ってすぐの道を右にまがるはずの翔ちゃんは、早歩きみたいなスピードでその道を真っ直ぐ歩いて行っちゃった。
「え…なんで?」
急いで遊歩道を上がって翔ちゃんの後を追いかける。
普通に大声出して呼び止めたらいいんだけど、相談したい内容がアレだからなぁ…。
どうしよ…翔ちゃんが家に帰ってからでいいかなぁ…でも、相談してるときにお母さんがこっそり帰ってきちゃったりしたら怖いしなー。
ウチのお母さんってば時々、俺や翔ちゃんが悪さしてないかチェックするためにこっそり外から帰って来たりするんだよね。
(でもって怒られるのはほぼ俺。どーせ翔ちゃんみたいに良い子じゃないよーだ)
そんなことを考えながらだったから、なかなか追いつけないでいるうちに俺もたまに利用するグラウンドに付いちゃった。
真ん中にサッカーが出来る程度のグラウンドがあって、その周りを花壇と木と遊歩道が囲んでるだけのそこには、犬の散歩をするおばあちゃんくらいしか人影はない。
「あれ?」
グラウンドの片隅の、普段はそこにあることも忘れてたようなトイレに翔ちゃんが入ったのが見えた。
えー、なんで?トイレならわざわざここまで来なくても家と同じくらいの距離だったのに…。
ワケわかんないと思いつつ、花壇を囲う低いレンガんとこに座って翔ちゃんが出てくるのを待つことにしたんだけど……出てこない。
時計を見ると、翔ちゃんがトイレに入ってからもう10分以上たってる。
その間に犬を散歩させてたおばあちゃんはいなくなって、ちっさいカバンを持ったおじさんがトイレに入っていった。
うーん、どうしよう。翔ちゃん、お腹痛いとか?
さらに5分待ったけど、出てこない…。
もしかして、トイレの中で出られない状況になっちゃってんのかな?
急いでトイレに入ったけど間に合わなくってズボンを濡らしちゃったとか…
もしそうなら助けてあげなきゃーと思いつつ笑っちゃうかも。
そーっと、なるべく足音たてないようにトイレに近づいて…あれ?って気が付いた。
そういえば、あのおじさんもまだ出て来てない…?
なんか…よくわからない不安が胸を騒がせる。
薄暗いトイレの中は、静かだった。
外から聞こえる大型車のエンジン音や、小さな子供のはしゃいだ声がやけに耳につく。
小便器の前にも手洗い場にも、誰もいない。
二つしかない個室もドアが開いていて、翔ちゃんがそこに隠れてる様子もない。
翔ちゃん、どこに行ったの?
それにあのおじさんも…
そう思ったときだった。
ギシ…って、何かが軋む音と低い…ぼそぼそした話し声。
そのときやっと、そこに身障者用トイレがあったことを思い出した。
白いスライドドアに白い取っ手のそのに耳を近づけると……二人分の人の気配。
翔ちゃん、あのおじさんと知り合いだったのかな?
てゆーか、なんで二人で一緒の個室に…?
声の感じからして、話をしてるのは主におじさんの方みたい。
翔ちゃんはしゃべってるって言うより、短い声だけ。
低い声って聞き取りにくいんだなー。あ、でも…もっとドアに塚づいて耳を澄ませば……
『ど…だ…しょうへい…お尻にズルズルはいって……ぞ。きもち……』
『しょ…へ…のチンポも、も…ギンギンだね。さっき私のチン…をおしゃぶりしたせ…かな?それとも、お尻に入れられたせ…?』
『いっしゅ…か…ぶりなのに、アナル気持ちよさそ…だね。私のあげたバイブで………してるの?』
この人、何言ってるの?
お尻が…どうかしたの?しゃぶった?翔ちゃんが?何を?アナルってなに?バイブ…?
全然意味がわからない。
けど、翔ちゃんの荒い息遣いと漏れる小さな声が…なんか…
『き…気持ちいい…よ…あっ、あっ…バイブより…くゎ…さんの生チンポのほうが…イイ!』
え…………?
なに言ってるの…翔ちゃん……?
俺の声とそんなに変わらない、高めの翔ちゃんの声ははっきり聞こえた。
けど…意味が……
確かめたくて、ドアの細い隙間に目を凝らしてみる。
ドアには鍵がかかってたけど、細い隙間から中がちょっとだけ覗け…る……あ………・・・
手すりに挟まれる形で置かれた洋式便座に座るおじさんの顔はちらっとしか見えない。
だって、おじさんの膝の上には翔ちゃんが……学校指定の白い半そでシャツを腕に絡めて、下半身には白靴下とローファーを履いただけの翔ちゃんが…座ってるんだ……。
翔ちゃんの腕はおじさんの首に回されてて、まるで甘えているみたいに見える。
それに…
「あ…」
小さな声が自分の喉からこぼれそうになって、慌てて口を両手で押さえた。
だって、びっくりしたんだ…。
おじさんの顔のいろんなとこに、翔ちゃんがキスをして…でもって、口と口でもして……。
それだけじゃなくて、友達に見せてもらったエロ本の漫画にあったみたいな…ベロをからめる……キスも。
そのとき、ゾクゥ…って、何かが俺の中を流れた感じがした。
オナニーのときみたいに、チンコからジンジン広がるっていう感じじゃなくて、背中からチンコに何かが流れてくる…みたいな。
もっと目を凝らしてよく見ると、白いシャツのスソからチラチラみえる翔ちゃんのお尻には赤黒いモノが押し当てられてて……
あ、違う……。
お尻に入ってるんだ…アレ…翔ちゃんのお尻の、肛門に……大人の男の人のチンコ…入ってる。
す……ごい……
おじさんが躯を揺する動きに合わせるみたいに、翔ちゃんのお尻も上下に……ときどき前後に……揺れる。
『ああ、ああ……だめぇ…おっき…ぃ……硬い……熱い……チンポがぁ……』
おじさんの頭を胸に抱きかかえて仰け反る翔ちゃんは、俺の知ってる翔ちゃんじゃない。
お父さんやお母さんの前にいるときのいい子の翔ちゃんとは全然別人……夜中にお尻でオナニーしてたときとも違う。
まるで……コレをするために作られた、高級な人形みたいだ。
うっとり蕩けたみたいな目はうつろで、でも綺麗で……
見ていられない。
『チンポ…生チンポ…もっと…もっとズコズコして…ぇ…しょうへ…のアナルにぃ……』
『ああ…ズコズコしてあげるからね…う…ん……翔平のナカ…私のチンポを絞る、ね…いいよ…』
『あっ…はっ…あ・んン…はぁン!はひっ…ひンッ・う…』
ギシッ・ギシッ・ギシッ・ギシッ・ギシッ…
便座の軋む音に追い立てられるみたいに、俺はトイレの外に出た。
音を立てないようにゆっくりだった動きは、トイレから離れていくごとにどんどん早くなって、そのまま夢中で走って走って…………
さっきのアレは、なんだったんだろう。
やってることはエロ本に乗ってたセックスと同じ…だったけど、翔ちゃんは男で……
つまり、アレは男同士のセックスってこと??
……ホモ…?
翔ちゃんが?
そんなはず…ないよね…?
だって、翔ちゃんは子供だもん。
セックスって、もっと大人がすることだもん…ね?
足の動きがだんだんゆっくりになってきて、家の数メートル手前で完全に止まる。
翔ちゃんのことを気持ち悪いとか嫌いとかは全く思わない。
けど…でも……
何かを考えようとしても、頭の中がいっぱいでクラクラする…
ふと気が付けば空はすっかりオレンジ色に染まってて、俺かなんだか急に寂しくて……
ちょびっとだけ、泣きたくなってしまった。