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「日向さん絶対手離さないで!!」
上から鬼蜘蛛丸くんが叫ぶ。わかってる、わかってるよ、死んでも離しません。もはや感覚がなくなってきた手にもう一度力を入れる。見下ろした先には、宙ぶらりんの間切くん。泣きそうな顔、というか既にぐちゃぐちゃに泣いている間切くんを安心させるように必死に笑ってみせる。が、かくいうわたしも崖から落ちそうになっていて、今頼りになるのはひょろりと岸壁に生えた木の枝だけ。下は荒波。ぶっちゃけ笑う余裕とかない。咄嗟に掴んだその木になんとか縋り付きながら、ああ、もう、なんでこんなことになったのかというと、話は一刻ほど遡ります。
「柿かあ」
「裏山になってるんですよ」
籠を背負いながら山道を行く。水軍館にほど近い山に、柿やら栗やらがなっているらしい。鳥に食い荒らされる前に採ってしまおうということで、今日のご飯当番の鬼蜘蛛丸くんと、ちっちゃい子達で秋の味覚収穫ツアーに参りました。
「魚ばっかり食べるわけじゃないんだね」
「そりゃあ…魚も多いですけどね。山の幸だって美味いでしょう」
それもそうねと頷く。事実、鬼蜘蛛丸くんの作るご飯はとても美味しい。わたしが作るよりも美味しい。
「間切は魚の方が好きだなあ」
「俺もー!」
「間切くんも航くんもお魚好きなんだねぇ」
水軍の人たちって毎日魚食べてるけど飽きないのはそれだけここの魚が美味しいからなんだろうなあ。
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