5
光射す水の中で、ケルピーと額を付き合わせている。まるで人魚だ。
「思い出す方法があること、知ってる?」
日向の眦から一筋の雫が溢れた。朝の日の光に照らされ、宝石のようなそれは静かに頬を伝い落ちていった。
「あなたが好きだった」
濡れた掌を握りしめる。けれどするりといとも簡単に解けてしまう。ブルーのワンピースを身体に貼り付けたまま、日向は静かに踵を返した。手を伸ばそうとしてもうまく動かない。こちらを振り向くことなく彼女がまっすぐ向かったのは天井近くまで届くガラス窓。押せば簡単に開いた窓に足をかけて、彼女が窓枠に飛び乗る。
「信じてたのよ」
「日向」
「ずっと。あなたを」
背を向けたまま光の方を見つめる日向、神々しさを纏ったまま彼女は続けた。
あの夜、悪い夢だと思った、あなたがそんなことするわけないって自分の愚かしさを呪った。ボガートが変身した時もそう、あなたを傷つけたと本当に悲しくなったの。たった1人、わたしの大切な人。そんな人になんてことをって、そう思ったの。あなたがいなくなったら、わたしは本当にひとりぼっちになってしまう。だからあなたを疑いなんてできるはずなかったの。でもね、そのあなたですら、わたしの味方ではなかったのね。わたしはもとから一人ぼっちだった、そうでしょう、ニュート?