「悔しい…」
「調子悪いな」
無理すんなの言葉と一緒にグラスを取られる。悪循環だ。
「ポケモン達が心配するぞ」
手持ちはポケモンセンターに預けてある。ちゃんと迎えに行かないと。でも今日の試合のことを思うと、どんな顔していけばいいかわからない。
「まあそういう時もあるよなぁ」
「キバナも?」
「あるある。あいつ相手は特にな」
ずっと聞きたかったことを聞こうとして、それよりも早くぱんと背中を叩かれた。
「いたあっ」
「おつかれさま!」
振り向くと紫色の髪、太陽の瞳。噂の渦中のチャンピオン。
「惜しかったな!だがまだまだ甘いぜ!」
「ほらね…塩揉み込みに来たでしょ」
なにしにきたんだろう。ここの場所だって伝えてないのに。ちらりと横を見ればキバナが困ったように笑っていた。君か。
「あそこで交換したのはいい判断だったと思うが、それなら持ち物はオボンの実にしておくべきだろう?ステルスロックでただでさえ体力を削られるんだから、少量回復の道具ではなく一定の体力になったら即回復できるきのみを」
「ダンデ、ストップ、その辺にしとけ」
HP1/3に効果抜群急所並みの攻撃力。キバナが止めてくれなかったら倒れていたかもしれない。オーバーキルはマナー違反だ。
「全力で叩き潰してやってるだけだぜ」
「キバナ、なんで呼んだの?」
「もともと俺とキバナで食事する予定だったんだ。後から割り入ってきたのは君の方だぜ」
「どうせ迷子になって3時間は店に来ないと思ってたから、その前に愚痴に付き合うくらいならいいかと思ってな、悪い」とキバナは告白した。なーんだ、そうか。思ったより早くやってきたわけね、チャンピオン。
「帰る」
「まあまあ、まだ飲み始めたばかりだろう!君の戦略の穴を一緒に考えてあげるから、座ってくれ」
「余計なお世話です。第一何で戦う相手から指南受けないといけないの」
「君が一度も俺に勝てないからだろ」
ストレート。ノックアウトです。がたんと立ち上がって自分の分の代金を乱暴にテーブルに置いた。屈辱が過ぎる。
「おい、どこに行くんだ」
「帰る」
「許すと思うか?」
「ほっといて」
「キバナ、日向の子どもの頃の話聞くか?」
「ダンデさん、次なにを飲みますか?」
困ったなとか言ってるけど一ミリも困っている様には見えない。転がり込む気満々である。
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