完全に日が落ちてしまう前に本島へ戻らないといけない。早足でボートへ向かうカイリとフィリアを眺めながら、のんびり桟橋を歩いているときだった。

「ソラ」

 リクの呼び止めに振り返るなり、放られたものを反射的に受け止める。リクの表情は、自分が嫌いとするあの余裕ぶったニヤケ顔だ。

「おまえ、これが欲しかったんだろ」
「パオプの実──」

 「腹は減ってるけど、これから夕飯だからいらないな」なんて思っていたら、リクがとんでもないことを言った。

「『その実を食べさせあったふたりは必ず結ばれる──どんなに離れていても、いつか必ず』試してみたかったんだろ?」

 パオプの実の伝説、恋人たちの契り。思い浮かぶ子。

「な、なに──」

 うろたえてしまって、残りの言葉はリクの笑い声に消されてしまった。
 しばし呆然とし、ハッとする。またからかわれた。パオプの実を砂浜に投げ捨てリクを追うと、「来たな」と笑いリクも走る。追いついたと同時にチャンバラの勝負を仕掛けると、カイリの叱り声が飛んできた。

「ソラ! リク! もう帰るよ!」
「だ、そうだ。勝負は明日におあずけだな」
「逃げるなよ!」

 今が夕暮れでよかった。熱を持った顔を彼女に知られずに済んだから。

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