梅雨

うわ、最悪や。


え、何が最悪なのかやって?

そらこの時期なんやから決まっとるやろ。

いきなりの雨や。

朝から晴れとってもうすぐ放課後っちゅー時に降り始めよった。


はぁ、と溜息を零しながら窓の外を眺める。


雨のことが頭にいっぱいで授業の内容が全然頭に入ってこうへん。


「……なんやねん、ほんま」

窓の外をボーっと眺めながらポツリと呟く。




ずっと窓の外を見ながらボーっとしていたせいで授業がとっくに終わり、放課後になっとったことのに廉造が迎えに来るまで全くうちは気付かへんかった。


「何かあったん?」

ずっと窓の外を見とるうちを不思議そうに見ながら声をかけてきた。


「傘、忘れてしもた」


「ふっふっふ…」


うちの返事の後にいきなり廉造が不気味に笑い始めよった。

うわ、完璧頭逝かれたな。


「…きも」

真顔で廉造に言ってやった。
そうしたら廉造は得意げに鞄から折りたたみ傘を出した。


「傘なら持ってます。相合い傘して帰りましょうよ」「廉造と?相合い傘?嫌に決まっとるやろ」

相合い傘するんなら濡れたほうマシや。と最後に言うて席を立つ。


「濡れたら風邪引いてまう!名前が風邪で苦しんどる姿は見たないんですよ」


「うちが風邪を引こうが廉造には関係ないやろ」

つーんとした態度を取り、歩き続ける。


が、



…え……?

右手に違和感。

引っ張られているような感じがし、右手の方に目をやると廉造がうちの手を掴んどる。




「何や、」


「名前には苦しまんでほしいねん」



…れん、ぞ?


廉造の目は真っ直ぐにうちの目をとらえとる。

逸らせへん。


目を逸らして、掴まれとる腕を振り払えば終わることやねんけど、それはうちには出来へん。


…何で出来へんのやろ。





「…傘、入れて」


「喜んで」


腕がパッと離され、二人で玄関へと向かう。