今日は廉造と花見をする日。
そしてうちは今、少し早いんやけど待ち合わせ場所におる。
でな、一応お弁当は作ってきたねん。
花見いうたらやっぱりお弁当やろ?
せやからうちは苦手な早起きを頑張ってして、苦手な料理を頑張ったんや。
お弁当作るん初めてやから、美味しないかもしれへん…。
廉造にホンマ申し訳ないわ。
なーんて事を考えとったら、
「名前ー!」
とうちの名前を叫びながら廉造が走って来た。
「何で走ったん?別に走らんでも、うちは逃げへんし」
なんてちょっと冷たく言ったら、
「はよ名前と花見がしたかったんや!」
なんて言われて、思わず照れてしもた。
ホンマ不意過ぎや、アホ。
「はいはい、ならはよ行くで」
照れとるとこを見られたなかったさかい、うちは廉造に背を向けて歩き出す。
「もしかして照れてます?」
なんて声が後ろからして、うちは足を止めた。
そして「照れてへん!」って言うて、また足を進める。
「あ、待って下さいっ!」
と言いながら廉造が走って追いかけて来よる。
追い着いてうちの隣に来たなおもたら いきなり廉造に手を掴まれ、繋ぐ形となってしもた。
「れ、廉造!?いきなり何や」
繋がれとるほうの腕を振って、離そうとしたが、全く離れる気配はない。
それどころかあいつは握る力を強めていく。
「デートなんやからええやろー?」
なんてことをニヤニヤしながら言うてきて、少しドキッとした。
いや何ちゅーか、こないだの焼酎事件のことがまだ頭に残っとるから廉造の行動の、一つ一つにドキッとしてまうねん。
ってか、ただの花見のつもりやったからデートやないのに。
「相変わらず廉造は、スケベやな」
うちは笑いながら廉造に言うた。
廉造は少しムッとしたみたいやけど、すぐにいつもの表情に戻った。
あれから5分程歩き、桜が満開に咲いとる公園に着いた。
うちらは適当なところにシートを敷き、座る。
「今年も桜、綺麗やね」
うちは桜が好きや。
何ちゅーか桜って、美しく、清らかで、儚いやん?
せやからうちは桜が好きやねん。
「おん。で、その荷物て何ですの?」
…はい?
さすがに今の発言には、うちも苛っときた。
花見やねんからもっと桜を見ぃや!
うちの荷物なんか気にしなや!
和やかムードぶち壊し。
「…何だってええやん。桜見とき」
うちはそう冷たく言い放ち、桜並木へと目をやる。
「お、俺 何か気に障るような事言うた!?」
廉造は慌ててうちに謝ってきたり、飲み物を渡してきたが素っ気ない態度をとった。
ホンマ廉造は、女心っちゅーもんを解っとらん。
…苛々しとったらお腹すいてきたな。
けどこの状況でお弁当は出されへんし…。
あぁぁ!どないしよ…っ。
……しゃあない。
せっかく作ったんやし、出そう。
「…ふぅ」
うちは鞄から頑張って作ったお弁当を出した。
「これ、名前が作ったん!? な、なあ!食うてええ?」
廉造がお弁当を見て、食べたいて言うてくれた。
「ん、ええよ」
うちはドキドキしながら廉造の様子を見る。
廉造は卵焼きを箸で挟み、口へと運ぶ。
「こ、これは…、」
卵焼きを食べた廉造が何かを言おうとしとる。
「な、何やねん。…もしかして変な味やった……!?」
うちは慌てて卵焼きを食べる。
うーん…、うちには普通に美味い気ぃすんねんけどなぁ。
「……まい。」
声が小さいせいで、上手く聞き取れんかった。
「ん?」
そう返すと、
「美味い!かなり美味いで、この卵焼き!」
て、いきなり叫びよった。
「え、あ、ホンマ…? よかった、安心したわ」
廉造が美味しいて言うてくれたからめっちゃ嬉しいねんけど、恥ずかしゅうでなかなか素直に喜べへん。
「さっすが名前や!将来俺ん家に嫁に来てくれへん?」
なんて言われて、更に照れてしまう。
あーぁ、それがホンマやったらええのに。
うちはそうおもた。
それから少しして、だんだん外が暗なってきたからうちらは帰ることにした。